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記念作品シリーズ

お屠蘇

作者: 尚文産商堂

カラカラカラと引き戸を開けてあいさつをする。

ここは自分の家の本家筋に当たるところ。

毎年こうして、親戚一同勢ぞろいしてあいさつを交わすことが通例となっている。

本家だけあって、かなり大きな家構えをしている。

なんでも室町時代から砂賀藩の家老をしていた家柄だそうだ。

自分はそこの端っこに位置している家の末裔だ。


まず家に上がると、祖先の位牌に一礼する。

仏間もかなり大きく、各家の物故者はここで祀られることが習わしだ。

ちなみに、各家ごとにも仏壇はあるので、どちらで拝んでもいいらしい。

もっとも自分ところは小さなものしかないけど。


それが終われば、今度は大広間だ。

大広間といっても、本当はふすまで間仕切りされている4つか5つくらいの部屋を、全部取っ払って座れるようにしたところになる。

そこで毎年恒例となっているのが、家長からのお年玉をもらうことと、お屠蘇をもらうことの2つ。

それと合わせて宴会も開かれるが、メインになるのはこの2つらしい。

お年玉は、家長の人が上座に座って、年齢に応じてお金をくれる。

子供がいる家庭には、家に帰って食べる用の餅も人数に応じてくれることになっている。

そしてお屠蘇は去年の不運を屠り、今年の幸運としてよみがえらせるとかいう意味らしいが、これは昔親から聞いた話。

アルコールが入っているということで、20歳未満の親戚はお屠蘇の代わりに甘酒を同じようにしてもらうことになっていた。

今年初めていただいたお屠蘇であったが、味としては漢方薬の味がするアルコール飲料といったところだろうか。

少し苦く感じたのが、大人の味という感じがしておいしかった。

そして最後にお屠蘇が入っていた杯を家長へと返すと、また次の人の番を見守るために宴会での自分の場所へと戻る。

あとは、ご飯を食べて、翌日に出発して終わりとなるのが、この家のいつもの光景だ。


そして全員のお屠蘇が終わると、宴会となる。

宴会は必ず最初に家長の挨拶が入る。

コホンと軽く咳払いをしてそして挨拶の口上をした。

「ではみんなあけましておめでとう。毎年よく集まってくれている。今年も無事に集まれたことを感謝する」

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