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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
死の森編
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王子の独白

 青年は思う。自分は何者なのか、と。



 青年――ジークロットはランバルト王国の第一王子として産まれた。

 ジークロットは時期国王として様々な教育を受けた。政治、経済、計算、魔術、そして剣術。その中でもジークロットが突出していたのが剣術だった。

 ジークロットはその腕を見込まれて幼い頃から騎士団長に稽古をつけてもらっていた。そして成人してからは騎士団長と遜色ない強さを身につけていた。

 これなら大切なものを、人たちを守れる。そう信じていた。

 そんな自信はたった一人によって崩れ去ってしまった。

 きっかけは二つの出来事だった。

 一つ目は春に起きた事件。妹であるティーベルが通うことになった英雄学校が魔族によって襲われたのだ。英雄学校で何が起きていることは王城にいたジークロットも把握していたが詳しいことまではわかっていなかった。そのためジークロットがその全容を知ったのは収束してからだった。ジークロットがいたからというだけで事態が好転するとは限らない。それでも何とかできると思っていた。大切な妹を守ることはできると思っていた。

 しかしそれは全てガーリング・エルミットによって解決されていた。そしてジークロットにガーリング・エルミットという名が刻まれた。

 二つ目はティーベルの結婚騒動だ。王国で魔物の出現が多くなっていたのは知っていた。だがそれは一つの国では対応できないものとなってしまっていた。そしてこの時初めて挫折というものを味わった。大切な妹一人を守れなくて何が守れるというのか。個人でどれだけ力をつけようと組織には決して届かない。自分自身に失望した。無力さを痛感させられた。今までの自信が底から崩れる音がした。

 自分でも何も出来なかったことをまたもやガーリング・エルミットがたった一人で解決させた。しかも王国の問題さえも解決して。圧倒的な差だった。どうしようもない、努力などで埋められるものではないものだと、本能で悟ってしまった。

 ガーリング・エルミットのことは認めている。それでもその力を、強さを羨ましい、妬ましいと思ってしまう。ガーリングが何かをする度にジークロットの全てを壊していく。自尊心も、プライドも、自信も、存在意義さえも。

 考えてしまうとどうしても考えてしまうことがある。それはジークロットはなぜ努力していたのか。もう頑張る必要はないのではないか。すべてガーリングがやってくれる。



 自分は何者なのか。何もできない弱者ではないのか。しかしそれを認めてしまえば今までの全てを否定することになってしまう。

 俺はそれに気づかぬふりをし続ける。それは王族としてのプライドか。それとも―――

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