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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国編
75/176

動きだす世界の裏側

 帝国に戻ってことの顛末を報告した。

「ううむ……それほどとはな」

「そんなに頭を悩ませるほどか?」

「ガルはこの状況をしっかり認識していないのか?」

「あぁ………なんかすまん」

「謝る必要はないぞ」

 バルザムークは苦笑いする。

「とにかくこれは王国と協議する必要があるな」

「ではわたくしたちと一緒に行きますか?」

「よいのか?」

「はい。人数が増えた方が旅路も楽しくなりますから。それにリーゼも喜ぶでしょうし」

「え?特にそうは思わないぞ」

「そこはっきり言うのやめない?」

 ほら、バルザムーク殿も泣きそうになってるから。








 王国に着くと早速会議が行われた。

「ではこれより行われた王国と帝国の協議を始めます」

 この場にいるのは王国側からはウォレン国王、ジークロット王子、リューク宰相、それから文官兼歴史研究家が数名、帝国側からはバルザムーク皇帝、アドナクト宰相、文官兼歴史研究家が数名、そして当事者である俺、ティーベル王女、リーゼロッテ皇女、リリア、フィリアのメンバーだ。なぜ歴史研究家がいるのかといえば過去の現状と照らし合わせて協議を進めていくためだ。

「それで、この度の件は帝国でも危険視している、と?」

「そうだ。魔族によって街の一つが壊滅した。これは帝国として不甲斐ない事態であるが今までの歴史の中でも何回かあった。だが今回は五体の魔族がそれぞれ人工遺物を持っていた。こんなこと、歴史上ない」

「そうであるな、そなたらよ?」

「はい。間違いありません」

 歴史研究家たちはそろって頷く。

「これは魔族の活動の活発化、およびその背後にいる魔王が本格的に動き出したと考えていいだろう」

「となるとこれから魔族による被害が増えるかもしれないですね」

「情報の交換は定期的に行うべきですね」

 次々と話し合いが決まっていく。

「それでガーリングにも聞きたいのだが、そなたから見て魔族たちの動きはどう見えた?」

 ようやく俺たちのところに回ってきた。

「そうですね。僕個人の意見を申しますと確実に魔族の動きは目立つと思います」

「なぜそう思う?」

「なぜ、ですか……」

 それはダリューンがあの場に現れたことに起因する。ダリューンは絶対に魔族の中でも上の立ち位置にいるだろう。あいつの実力からすれば当然だ。そんな存在が帝国――人間側に姿を現したということはもう姿を隠す必要がなくなったとみてもいい。

 しかしそんなことを馬鹿正直に言えるわけがない。そんなときに使える魔法の言葉。それは―――

「勘、です」

 勘と言えばだいたい許される。

「そうか。他の者たちはどう思う?」

「わたくしにはわかりかねます」

「そうですね。私もティーベル王女と同意見です」

「……これはヒノワ国や神聖ミニナリア法国、ラトニア王国とも連携した方がよいな」

 世界全体の話になってきたな。

「私は一つ聞きたいことがあるな」

「なんだリーゼロッテ、言ってみよ」

「では。白い剣を持った魔族に対する情報は何かないのですか?」

「白い剣を持った魔族?」

「はい。私はその魔族によって死にかけました」

 リーゼロッテの『死にかけた』という単語によって空気がさらに重くなる。

「わたくしからもいいでしょうか?」

「ティーベルも何かあるのか?」

「はい。その魔族はガルさんと互角に戦っていました。少なくとも魔族の中でもとても強いと思われます。情報があるに越したことはありません」

「そ、それは本当か!?」

「間違いありません」

 慌てる国王に冷静に返す。

「それで、ガルは勝てるのか?」

「なんとも言えませんね」

 前世ならともかく今のあいつは魔力暴走により常に身体強化が発動しているようなものだ。それだけでなく聖剣すらも持っている。簡単な事ではない。

「そ、それほどの魔族といえば幹部であることは間違いあるまい。そなたらは何か知っているか?」

「い、いえ。存じ上げません」

 歴史研究家たちは一斉に首を横に振る。しかし一人だけブツブツ言いながら考えている。そして

「お、思い出した……白い剣を持った魔族……」

「そうか!それでその魔族はどのような存在なのだ!?」

「たしかはるか昔、この国が建国される前に存在していた国の文献にその存在が記されていたはずです」

「そんなに前からか」

「はい。おそらく最古の魔族と思われます。その魔族と敵対した者で生き残った者は誰一人としておらず、この存在が認知されたのも遠くから一度だけ見ただけと言われています。その強さから『剣魔』と呼ばれていたそうです」

『剣魔』とはよく言ったものだな。

「そのような存在が帝国に現れたのか……頭の痛い話だ」

 まぁあいつは俺以外にも止められないだろうな。それにもしかしたらダリューンだけでなくかつての仲間も魔族になっている可能性が高い。

 本格的に対策する必要がありそうだな。








 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 そして北の塔では――――

「君から見てどうだったかしら、彼は?」

 女は自室と思われる空間で寛ぎ、その扉のそばに一人の男が立っている。そしてその男は先程まで帝国にいたダリューンだ。女は《《魔王の仮面》》を取っているようだ。

「間違いないかと」

「君がそこまで言うならそうなんだろうね」

「あの強さ、そして霊装。ガーリング・エルミットはアルス・マグナです」

 それはダリューンにしては珍しく会話をしている。

「じゃあこれからはもっと派手に動いても問題ないわけね」

 そして女は不敵に笑う。

「アルス、早く私たちを――――――――――――殺して」

第三章が終わりましたがどうでしたか?

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