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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国編
73/176

死闘のあと

「うっ………」

 目眩がしながらゆっくりと目を開ける。目の前には見知らぬ天井……天井!?

「ここどこ!?」

 俺はガバリと起き上がる。

「布団?」

「起きたのですね!」

 俺が起きたことに気がついてティーベルが近づいてくる。

「みんな、寝てるのか?」

 俺が寝ていたベットの隣にもベットが並べられていてリリア、リーゼ、フィリアが眠っていた。

「はい。リーゼは血が沢山流れてしまったことによる貧血、フィリアはわたくしを庇った時の負傷、リリアはリーゼ、フィリア、ガルさんへの光系統魔術の連続行使による魔力欠乏ですわ」

「そうだったのか。みんな、無事だったんだな」

 あの状況で全員生き残ったことはとても大きい成果だ。心から安心する。

「ここは街の宿舎のようで使わしてもらいましたわ」

「どうやって?」

「がんばって運びました!」

 ティーベルが力こぶを作る。もしかして四人とも一人で?

「はい!」

 つまり俺も運ばれたってことだよな。ティーベルに運ばたってなんか恥ずかしい。

「なんか顔赤くなってますわよ?」

「気にするな!そ、それより俺はどれくらい眠ってたんだ?」

「だいたい一日くらいですわね」

「結構寝てたんだな。ティーベルは休んだのか?」

「え?えーとですね……や、休みましたよ?」

「本当か?」

「はい!本当ですよ!」

「俺の目を見て」

「……………」

 ティーベルはプイッと顔を逸らしてしまった。

「寝ろ」

「いえわたくしは」

「いいから寝ろ」

「………はい」

 そして俺は起き上がってベットを空ける。

「ここで寝るといい」

「そ、そこでですの!?」

「なんだ?不満か?」

「い、いえ!では、失礼いたしますわ!」

 それからティーベルはゆっくりとベットに横になる。

「俺は少し外の様子を見てくるからちゃんと休めよ」

「はい…………匂いがガルさんのでドキドキします」

「何か言ったか?後半の方が聞き取れなかったんだが」

「な、なんでもないですわ!おやすみなさい!」

 ティーベルは頭まで布団を被ってしまった。何だったんだろう?








 俺は街の外に出る。すでにあたりは暗くなっていた。

「ここが戦いの跡か」

 さきほどの戦いの跡だ。いくつものクレーターができておりまだ魔力の残滓が残っていた。

「いろいろあったな……」

 外に出たのは戦闘跡を確認したかったこともあるが、得た情報を一人で整理したかったこともある。

「魔族が魔力暴走者であることが確定したな」

 それはダリューンがいたことが決定打となった。

 魔力暴走者は老いることはない。つまりあいつはずっと生きてきたのだろう。魔族として。

 なぜそんなことをしているのか。魔力暴走者はなぜ魔族になっているのか。疑問は尽きない。だがダリューンは何も答えなかった。

 あいつは『また』と言った。ならばまた会うこともあるだろう。

 それにあの忠義の権化といったダリューンが誰かに命令されて動いているのも気がかりだ。本来あいつに指示できるのは俺だけなのだが。もしかしたら魔王という存在が関係しているのかもしれない。もしや魔王の正体は俺が知っている奴かもしれない。まさか魔王は――――。いやそんなはず!それにあいつが本気で世界を滅ぼそうとしているならとっくに世界はなくなっているはずだ。………軽率な考えは止そう。これは世界の根幹を揺るがしかねない事案だ。下手につついて事態を悪化させたくはない。




 あとは俺の体があの剣の現出に耐えられたことも大きな収穫だ。

 あの黒い剣、あれは霊装だ。

 霊装とは自らの根源、魂の形である。その人によって形が変わり、剣であったり槍、弓であることもある。ランクとしては聖装に並ぶ武具だ。当然権能も存在する。しかし霊装は特殊で魂の力である霊力によって権能が発動される。霊力は魔力とは少し異なる。魔力も含まれるが魂から発せられるエネルギー、霊魂を多量に含む。そのためエクスカリバーでも効果を抑えることはできるが完全なる無効化はできない。だからこそあのエクスカリバーとも打ち合えていたのだ。

 その分、魂そのものに莫大な負荷がかかる。これが俺が霊装を普段使いしていなかった理由だ。前世での成熟した魂ならば普通に使うことができる。それでも負荷がかかることにかわりはない。しかも今の俺は12年しか生きていない。魂は年齢とともに成熟していき20歳でようやく完全に成熟した状態となるのだ。それでも俺が霊装を使えたのは前世での経験があったからだ。そうでなければとっくに死んでいる。

 この件で俺は霊装を現出させたことで俺の魂は確実に成長した。これでもしもの時は今日よりも奥の手を長く出せることになる。負荷をかければかけるほど魂は成長する。だが危険だ。引き際を見極めねば死ね可能性がある。

 霊装の件はあの四人に説明しなければならないだろう。元々いつかは説明しなければならないと思っていたが時期早々だ。本当なら教えたくないんだがティーベルにがっつり見られてしまった。誤魔化すことは不可能だろう。霊装は強力だが、危険だ。

 霊装を現出させるには始めに魂を分離しなければならない。しかしそれを失敗してしまえば例外なく死に至る。そして今の四人では確実に失敗する。挑戦させることは阻止しなければならない。

「考えなければ山ほどあるな……」

 俺は夜空を見上げながら、考えを巡らせる。

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