帝国からの依頼
与えられた屋敷に行くとすでに使用人たちが準備していた。
「「「「お待ちしておりました」」」」
「お、おぉ……」
今までにない待遇にちょっとばかし感動してしまった。
「早くいきますわよ」
「ほらほら」
「中に入った方がいいぞ」
他の三人はグイグイと背中を押してくる。やはり慣れているからだろう。
中に入るとすでにフィリアもいた。
「おかえりなさい、ガル様」
「ただいま、フィリア」
この会話をしてようやく帰ってきた感があるな。
「君がフィリア殿か?」
「はい。あなたがリーゼロッテ様ですね」
「私のことはリーゼでいい。私もフィリアと呼ばせてもらうよ」
「はい!」
そういえば二人は初対面だったな。
「今日はこの四人で女子会しようよ!」
「そうですね。私もリーゼさんとお話したいですし」
「今のうちに妻の間で親睦を深めておくのも悪くない」
「決まりですわね」
なんか早速意気投合してるな。
というか明日の学校で絶対揶揄われそう。
学校にはすでに俺のことが広まっているようでそこら中で噂されている。
「よぉガル、いやガル騎士爵様というべきか?」
「やっぱり来た……」
そんな中。朝、俺のところに揶揄いにきたのはスティアードとケルストだった。
「でも気にはなるよ。まだ成人前なのに叙爵されるなんて今までなかったからね」
「しかも騎士爵ってすごい特権持ちなんだろ?今のうちに懇意にしといて損はないだろ」
「そんな下心丸出しのやつとは仲良くしないぞ」
「そんな!」
「冗談だよ」
スティアードはいじってると反応がおもしろいんだよな。
「僕としては大物と婚約したことに驚いてるよ。フィリアさんとももちろん婚約したんだろう。あとはティーベル様やリリア様ならわかると思ってたけどいきなり帝国の皇女様とも婚約するんだもん。そもそもどうしてそんなことに至ったのか知りたいね」
「まぁ色々あってな」
そして俺はティーベルを助けてから帰ってくるまでのことをざっくりと話した。
「あの皇帝殿下に買ったのかい!?」
「そんなに凄いことなのか?」
「皇帝殿下は今まで誰にも負けたことのない『剣帝』と呼ばれているんだよ!戦う姿は圧巻で味方は盛り上がり敵は逃げ帰るという、まさに生きる伝説!」
「どうしてケルストがそこまで盛り上がってるんだ?」
「むしろスティアードはどうしてそんなに冷静なのさ!あの皇帝に勝ったんだよ!これは偉業だよ!」
「父上がどうかしたのか?」
「うわぉう!?」
「どうしてリーゼがここに?」
ケルストが一人盛り上がっている中、気配を消して後ろに立っていたのはリーゼだった。
「国王陛下の厚意でな。婚約者といる方がいいだろうとのことで今日からここに通うことになった」
あの国王、随分と軽いな。
「わたくしとしてもリーゼが来てくれるなら嬉しいですわよ」
「ティーベル様もいらしたのですね。復学おめでとうございます」
「ありがとうございます、ケルストさん」
「……復学っておめでとうなのか?」
「スティアードは空気読めよ」
俺は思わずツッコミを入れてしまう。
「なになに?何の話をしてるの?」
「リリアさん、走ってはいけません!」
「またスティアードがなにかしたの?」
「どうして俺が何かやる前提なんだよ!?」
「ど、どうも……」
なんか朝から大所帯になったな。まるで前世に戻った気持ちだ。あの時もこうして仲間たちと集まったものだ。
まぁ、悪くないな。
リーゼが同じ学校に通うようになってから数日、リーゼは順調にクラスに馴染んでいった。これはリーゼの物怖じしない性格が幸をそうしたのだろう。
そして今日は俺はリーゼ、ティーベル、リリア、フィリアを連れて王城に呼ばれていた。
ちなみにリーゼも学校の厚意により同じパーティになった。
応接間で俺を中心にティーベル、リリア、リーゼが座り、フィリアは後ろに立っている。
「すまぬな、何度も呼び出して」
「構いませんよ。それで今日は何の用でしょうか?」
「実は帝国の件なのじゃ」
国王がそう言うとピクリとリーゼに反応があった。
「詳しくはリーゼロッテ皇女に聞くといいと皇帝から言われておるのじゃが、何でも街の調査をしてほしいとの事じゃ。しかも名指しされておる」
「名指し………」
非常に面倒な予感するな。
「そうだな。私から詳しいことは話そう」
リーゼはそう言うと真剣な顔をする。
「実は先月くらいにとある街の人間が忽然と姿を消したのだ」
「それはどのくらいなのですか?」
「街の人間全員だ」
「それはまた物騒ね」
「あぁ。父上は調査団を編成して調査に行かせたが誰一人として戻ってこなかった」
「……それって非常にまずいんじゃ?」
「リリアの言う通りだ。父上自ら出向こうとしたが家臣たちに止められてな。しかし何度も調査団を送っているが何の成果もない。だから王国の協力を得られないかという話が前からあったのだ」
「だからあの時ギルディアはあんなことを言っていたのか」
あー、あいつのこと思い出すだけでも腹立ってきたわ。
「でもどうしてそれをガルさんに?」
「ガル殿は王国、帝国において最強戦力なのだ。ガル殿ならばよっぽどの事がない限り大丈夫だろうという判断だと思う」
「なるほどのう」
国王は顎に手を当て考える。今の俺は王国の貴族だ。別に国王の許可がなくとも行動できるが他の貴族から睨まれる可能性がある。だからできるだけ国王の許可は取っておきたい。
「それどれのことは同盟国として見過ごすわけにはいくまい。ガーリングよ、頼めるか?」
「承知しました」
これで気兼ねなく帝国に行けるな。
「お父様、わたくしもついていきますわ」
「ティーベル!?」
突然の申し出に俺は困惑する。
「わたくしはガルさんとともに行動致します。その許可をくださいませ」
「何言ってるんだ。いくら何でも危険すぎる」
「ならば尚更一人で行かせることはできませんわ。わたくしはガルさんの婚約者なのですから」
「そういうことなら私も行くよ。回復薬なら任せてよ。いいよね、お父さん」
「リリアまで……」
「私もガル様にお供します。ガル様の行くところがわたしのいくところですから!」
「フィリア……」
「これは元々帝国の問題。ガル殿だけに任せてはおけない」
「リーゼは……まぁ、当然だな」
「なぜ私だけ反応が違うのだ!?」
「いや、リーゼが来るのは当然でしょ」
「理解できるが納得いかない!」
どうしろって言うんだよ……
「ゴホン」
あっ、そういえば今国王と宰相の前だったわ。
「仲がいいことは良いことだが時と場合は考えてくれ」
「はい……」
「それでティーベルとリリアの件じゃが、ワシらが何も気づかないとでも思ったのか?」
「「「「え?」」」」
「私たちはリリアやティーベル様がそうそう仰ることを想定していた。だから二人もこの場に呼んだのだ」
「どうせ後で許可を取りに来るのは目に見えておったからな。それならば同時に済ませれば良いであろう?」
「「では!?」」
「問題ない。思う存分力を知らしめてくるのじゃ」
「「はい!」」
「ただし、危険なことはしないように。ガーリングくん、監督頼みましたよ」
「りょ、了解です……」
な、なんか圧が、圧が……
「そういえば学校はどうなるんですか?あまり出席してなかったら不味いのでは?」
「それはワシから言っておこう。心配することはない」
「それならいいのですが」
また余計に有名になっちゃったらどうしよう……




