叙爵式
今日は俺の騎士爵の叙爵式だ。まあそれだけではないのだが。
「ほらもっときっちりしないと」
「今日はわたくしたちにとっても大事な日なのですわよ」
そう、リリア、ティーベル、リーゼとの婚約発表もあるのだ。
「ティーベルとリリアはもちろんリーゼも似合ってるよ」
「「あ、ありがとう……」」
「そ、そうか……」
「……なんかリーゼって時々乙女になるのってズルいよな」
「な!どういうことだ!?」
ほら、普段カッコイイ女子が不意に見せる可愛い姿ってグッてくるよね。
「「ジトーーーーーー」」
後ろからの視線が痛いから声には出さないけど。
「でもフィリアもこればよかったのに」
「仕方ないですわよ。フィリアは《《まだ》》使用人なのですから」
「私も早くフィリアとやらに会いたいな」
「今日中に会えるわよ。一緒に住むんだからね」
「そうだな。リリアの言うとおりだ」
「なんでそんなに仲良くなってんの?特にリリアとリーゼはこの前が初対面だったよね?」
「なんでって共通の話題があったからね」
「リリアとリーゼに共通の話題?」
「……ガル殿はこれが平常運転なのか?」
「残念ながら、その通りですわ」
「そうか。大変だったのだな……」
酷くないか?しかも妙な連携も生まれているような気もする。
そして時間になり俺は謁見の間に呼ばれた。
「ガーリング・エルミット様!ご入場です!」
扉がゆっくりと開かれる。間には多くの貴族そして王族もいた。
ティーベルは俺と目が合うと控えめに手を振る。他の貴族は俺を見ているため誰も気が付いていないが少しドキドキした。
玉座の前まで進むと俺は跪く。
「ガーリングよ。本日はお主が主役じゃ。あまり気負わなくてもよい」
「そうはいきません」
何言ってんだこの王様!
「陛下、公式の場でございます」
「リュークは相変わらず真面目じゃのう。まあよい。おもてをあげよ」
「はっ!」
「ガーリング・エルミット。彼の功績は偉大である。王立英雄学校に現れた三体の魔族を倒し全生徒および教師を救う。古代遺跡で遭難した王女他二名を二体の魔族を倒しながら無事生還させる。帝国に移動途中であった王女の救出。まさに英雄と言えるであろう」
「ガーリング・エルミット。お主に騎士爵の位を授ける。今後とも王国のためにその力を振るってくれ」
「はっ!」
しかし騎士爵という単語に聞き覚えがないのか、貴族たちは少し騒がしくなる。
「他の者たちも気づいたと思うが騎士爵というのはガーリングのために新しく作られた爵位である。既存の階級にとらわれない新しいものだ。特権は公爵家並みだが国に対する義務は負わない。当然、領地は持たない。ただし国の危機には無条件で力を貸す。以上が騎士爵についての説明だ。何か異論があるものはいるか!」
「よろしいでしょうか!」
手を挙げた者が一人。たしかあの人は――――
「ビスハイマーよ。なんじゃ?」
「恐れながら、確かにその者の功績は素晴らしいですがこのような特例を認めては気属としての威厳に関わります。お考え直しください」
「ならん。これは決定した事実じゃ」
「しかし――――」
「ではお主は一人で複数の魔族に立ち向かうことはできるか?」
「……できません」
「ではこれほどの人材を捨て置けと?」
「………いえ」
「では異論はないな?もし何かあるのならガーリング並みの功績を上げることじゃ。下がれ」
「はっ!」
下がる途中にビスハイマーがこっちを見て、笑った!?もしかしてこれも始めから計算の内か?
「今日はもう一つあるのじゃ。実はガーリング・エルミットとプロメテア帝国第一皇女リーゼロッテ・フォン・プロメテア、我が娘ティーベル・フォン・ランバルト、バルマント公爵家の娘リリア・バルマントと婚約することをここに発表する」
これにはさらにざわめきが大きくなる。それも当然か。なんたって二国の王族と婚約するんだからな。
「リーゼロッテ・フォン・プロメテア皇女、並びにリリア・バルマント様、ご入場です!」
そして二人はそろって入場し俺の後ろに来る。続けてティーベルもそれにならう。
「三人はガーリングとの婚約を望むか?」
「「「はい」」」
「ではここにウォレン・フォン・ランバルトの名においてガーリング・エルミットとリーゼロッテ・フォン・プロメテア、ティーベル・フォン・ランバルト、リリア・バルマントとの婚約を認める」
そして俺と三人の婚約は周知のものとなった。
「ティーベル」
叙爵が終わって俺はティーベルに話しかける。
「何かしら?」
「課外合宿で物理対抗石ってあっただろ?あれからティーベルの結婚騒動とかあって最終加工をどうするか迷ってたんだけど、これにしたよ」
俺が取り出したのは物理対抗石がはめ込まれている指輪だった。
「これ、は……」
「ネックレスとかでもいいと思ったけどペンダントを渡したからないなって思ってて、嫌だったらまた別のやつを作るよ!ほら指輪とか重いとかさ」
「はめて」
「え?」
「はめて、ください」
そう言ってティーベルは左手を差し出す。
俺はその薬指に指輪をはめる。
ティーベルは指輪をうっとりと見つめると嬉しそうにはにかむ。
「それにしてもガルさんの割に粋なことをしますわね」
「なんだよそれ……」
「で・す・が!」
ティーベルは嬉しそうな顔を一変させて顔を近づける。
「他の三人にも同じものを渡しなさいな」
「でも物理対抗石はティーベルのものだぞ?」
「構いませんわ。そうでなくては不公平ですもの」
「まあティーベルがそう言うならいいけど」
後日三人にも渡したらすごく喜ばれた。




