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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国編
64/176

英雄の今後①

 そして王城の応接間にて――――

「それでは今後の話し合いをしようかのう」

 その場には俺、リーゼロッテ、ティーベル、国王、リューク、だけでなくジークロット、王妃までいる。この二人はなんでいるんだ?

 席には俺とリーゼロッテ、向かいには国王と王妃が並んで座っている。それ以外の人は国王たちの後ろに立っている。

「まずはガーリングとリーゼロッテ皇女の婚約の件じゃ」

「王国と帝国の同盟はガーリングくんとリーゼロッテ皇女の婚約によって成立するものとする、とのこと。しかしここで問題が発生します」

「ガーリングよ、お主はこの国の英雄である以前に一貴族にすぎん。一貴族と他国の王族が婚約するのは前代未聞、それどころかお主は跡取りですらない。この意味がわかるな?」

「はい」

 国王とリュークの言葉に頷く。

「愛に身分さは関係ない!」

「リーゼはいったん黙ろうか…」

「はい……」

 リーゼがしゅんとしてしまう。

「……皇女に対してよくそのような物言いができるものだ」

「これが俺たちの距離感ですから」

「そ、そうか」

 国王とリュークは戸惑っている。

「まあそれはいいとして早速本題に入るとしよう。お主、貴族になれ」

「……何度もお断りしていますが?」

「すまんがこれは国王としての命令じゃ」

「命令、ですか……」

「ガーリングくんが貴族になるのを嫌っているのはわかっている。しかし状況が変わってしまった。君は王国と帝国、二つの国の架け橋となったのだ。しかも王国側の代表として」

「そのためには相応の身分が必要だと」

「話が早いようじゃな。まあ貴族になれといってもできるだけお主の希望に沿うつもりじゃ」

「どうやってですか?」

「お主の貴族位は既存の爵位ではない」

「はあ!?」

 思ってもみなかった言葉に驚愕してしまう。

「お主は騎士爵という爵位に就いてもらう」

「騎士爵……」

「特権は公爵並みじゃが国に対する義務は負わない。いわば王国に所属しているという証にすぎん」

「はあ!?それって異例中の異例なんじゃ!?」

「もうすでに異例なことが多いのじゃ。今更一つ増えたとこで変わらぬ」

「ですが貴族は反対するでしょう!」

「今の世は魔族によって混乱の真っただ中、自らの欲にまみれては身を亡ぼすことを理解している。それにガーリングくんの功績を知れば反対する貴族はいないはずだ」

「……本気ですか?」

「本気でなくてはこのようなことは言わない。裏を返せば君をそうまでして引き止めなければならないほど王国はそれだけ追い詰められているということだ」

「っ!そう、ですか……」

 国の重鎮が頭を抱えるってことは相当だな。










「あとはティーベルとの婚約じゃな」

「なんでや!?」

「いや素が出ていますわよ」

「あ、すいません」

 驚きすぎて素が出てしまった。

「構わん。それよりティーベルと婚約する気はないか?」

「どうしてそのような話になったのか教えてください」

「お主とリーゼロッテ皇女との婚約に王国と帝国の同盟を結ぶ意味を持たせるためじゃ」

「……俺とティーベル王女が婚約すれば王族との血縁関係を持つことになるから正当性を持たせる、ということですか」

「その通りじゃ」

「……政略結婚、俺はあまり好きではありませんね」

「しかしそれが王侯貴族というものじゃ。ティーベルも了承しておる」

「それは国のためで――――」

「これはわたくしが決めたことですわ!いくらガルさんと言えどこの気持ちを否定はさせませんわ!」

「ティーベル王女の、気持ち?」

「わたくしはガルさんと婚約したいのですわ」

「は?あ?え?えぇーーーーーーー!?」

 それってティーベルは俺と婚約したかったってこと!?なんで!?

「ティーベルがこう言っているのじゃ。あとはお主の気持ち次第じゃ」

「俺の、気持ち……」

 ティーベルとは仲間であまりそういう関係になるなんて想像もつかない。

 するとティーベルが一歩前に出る。

「ガルさん、貴方がわたくしのことをそういう対象で見ていないことは分かっています。ですがわたくしはこのチャンスを見逃したくはないのです。どうかわたくしと婚約してください!」

 ティーベルが頭を下げる。

 ここまで真摯にお願いされては断るのは気が引ける。しかしティーベルの一生に関わるのだ。ここで気軽に了承するのはよろしくない。

「俺からもよろしく頼みたい」

「ジークロット王子まで……」

 まさかのジークロットまで頭を下げるとは。

「次期国王としても頼みたいんだが、それ以上に兄としてティーベルの婚約を願ってるんだよ」

「お兄様……」

「ティーベルを帝国に送り出すことしかできなかった身でこの願いは厚かましいかもしれない。でも今ティーベルの幸せを願うことができる。せめてそれを応援したいんだ!」

 なんか割と切実な思いが語られたな。

「………わかりました。ティーベル王女との婚約、承りました」

「本当か!?」

「ガルくん……ありがとう!」

「よかったね、ティーベル」

「はい、お兄様!」

「……もしかしてこの話をするために王妃と王子を?」

「ええ、その通りよ」

「お母様も賛同してくださったのよ」

「娘には幸せになってほしいもの」

 この王族は……








「ちょっといいですか?」

「なんじゃ?リュークよ」

「はい。実はガーリングくんに私の娘、リリアにも婚約してほしいと思っているのだがどうだろうか?」

「りゅ、リューク様もですか……」

「リリアも君ならば納得するだろう」

「いや、本人の確認もまだなのに……」

「ふむ。本人の意思によっては一考の余地があるということかな?」

「えぇ、まぁ…」

「リリア、入ってきなさい」

「え?」

 部屋に入ってきたのは正真正銘、リリア本人だった。

「どうしてここに!?てか学校は!?」

「今日は休日ですわよ」

「え?あ、そういえば」

 俺、最近学校に行ってなかったせいで感覚が麻痺ってるな。

「リリア、自分の気持ちを話してみよ」

「はい。ガルくん、私と婚約してください!」

 あんたもか!

「私はガルくんのことが好きなの。王都で助けてもらってからずっとずーっとガルくんに恋焦がれていたの。だから、ね?」

「だからねじゃないんだけど……」

 どうしたらいいんだ?

「リーゼロッテ皇女も問題ないですよね?ガルくんの奥さんが増えても」

「何も問題ない。いくら増えてもちゃんとガル殿が私の相手をしてくれるならな!」

「だ、そうだよ、ガルくん」

「そこで俺に振られても……」

 そして周りからの目線も痛い。

「リリアなら大歓迎ですわよ」

「ティーベルを貰ったんだからリリアさんも貰っちまえよ」

 そこの王族兄妹ちょっと黙ってろ。

「まだ三人目だからいいじゃない」

「ガーリングも隅に置けぬな」

 国王夫妻までややこしくするな。

 この中で断れる気がしない。

「………はい。謹んでお受けします」

 こうして俺に婚約者が増えた。








「ついでに屋敷を与えるから今後はそこで生活するのじゃ。使用人はこちらで用意するがガーリングの方でも集めたければ集めてもよい。こちらではだいたい20名ほど集める予定じゃ」

「屋敷とかいります?」

「お主は貴族の当主になるのじゃ。いるに決まっておろう」

「すでに屋敷の確保は済んでいる。あとは同居人だが三人の婚約者と済むというのはどうかな?」

「え?それって同じ屋根の下でこの三人と?」

「その通りだ。リリアやティーベル王女、リーゼロッテ皇女はどうですかな?」

「賛成!」

「よろこんで住まわせていただきますわ」

「私も当然住むぞ」

「え?え?」

 なんか急に話が進みすぎてついていけない。

「こ、国王陛下やリューク様はいいんですか?」

「構わんぞ?」

「むしろ早く親睦を深めてほしいと思っている」

 えぇ……

 俺はジークロットと王妃を見る。すると二人とも首を縦に振っている。もはや逃げ道はない。

「わ、わかりました……」

 外堀を埋められていくってこういう感じなんだな……

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