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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
6/176

魔物との接触

「それじゃあ父上とフィリアの模擬戦をします。」

「「はい」」

「立会人は兄上でお願いします」

「「「はい!?」」」

「どうしたんです?」

「どうしたんですか、じゃない!」

「どうして僕が立会人なの!?」

「ガル様が立会人なんじゃないんですか!?」

 三人が各々抗議する。そんなこと言われても俺にはやるべきことがある。

「俺は森に入って魔物を探してきます」

「ダメだ!」

「ち、父上…」

「いくらガルが強いからといって大切な息子を危険にはさらしたくないのだ」

「父上……俺に勝ってから言ってください」

「うっ…」

 父上がひるむ。実は最初の模擬戦以来、俺は父上に負けていない。

「し、しかし、親として認められない!」

「安心してください。今回の目的は討伐ではなく探索です。それに危険だと思ったらすぐに逃げますよ」

「うぅむ…」

「父上、ここはガルに任せた方がいいかもしれません」

「ウィルまで…」

「ガルの力なら危険は少ないかと。それに魔物の存在が確実に確認できぬならそれに越したことはありません」

「…そうだな。いいか、ガル。決して無理はするなよ」

「わかっていますよ」

 父上の許可が下りたことだし早速いこうか。俺は自分に重力操作魔術と風属性魔術の複合魔術によって空を飛ぶ。身体強化より移動が速く、便利なことから前世ではこれを無属系魔術の浮遊魔術として別の枠組みが作られたくらいだ。そしてこの浮遊魔術が使えることによって一人前の魔術師になれると言われたものだ。

「が、ガル…お前、空、飛んでるよな?」

「僕の見間違いじゃない、よね?」

「はわわわ…ガル様が空を…」

「では俺は行きますね。兄上、立ち会いを頼みました。フィリアは勝たなかったらダメだからな」

 俺はそう言い残して魔物探しに出かけた。






 森に入って一時間。俺はまだ魔物を見つけられずにいた。普通なら探知魔術で見つけられるのだが如何せん、森が広すぎる。エルミット家が治めているタルミールという土地は王国内でも僻地の方である。周りは山に囲まれているため、一概に山と言っても領地の周りすべてを探さなければならないのだ。

「ったく。なんかイライラしてきた」

 魔物が見つからないことに苛立ちを覚えながら探索を続ける。

 ガサッ

「っ!」

 俺は木の影に隠れる。音のした方を見ると普通の動物より大きく、魔力の量が桁外れのクマがいた。おそらくあれが魔物だろう。だいたい領土の南東方向。これなら明日連れてきても問題はなさそうだな。

「グルル…」

「…気づかれたか?」

 クマの魔物がこっちを見て動きを止める。いくら魔術でも気配を消すことはできても存在そのものを消すことはできない。そのため第六感が強い生物にはどれだけ慎重に隠れても見つかることがある。しかし、俺に気づくとは相当だぞ。

 クマの魔物はしばらくこっちを見てから興味をなくしたように反対方向へ去っていった。

「ふぅ…」

 俺は緊張を解いて息を吐く。

 あれは思ったより強そうだな。もしフィリアに危険が迫ったら助けてやろう。俺はそう思いながら屋敷に戻った。






「…これはどういう状況ですか?」

「あ、あぁ。帰ってきてたんだ、ガル」

 俺は屋敷に戻ったのだが、その惨状に思わず疑問を呈してしまう。

「実は…父上とフィリアが模擬戦をしただろ?」

「はい」

「それで父上がフィリアに一蹴されていじけてるんだよ」

「なるほど。その父上をフィリアが慰めて余計ややこしくなっていると…」

 今の状況を詳しく説明すると父上が土いじりをしていてそれをフィリアがテンパりながらも止めようとしていて父上がそれを聞いて土いじりを加速させるという。摩訶不思議な光景だ。

「父上、これでわかりましたね。フィリアは父上より強いんですから」

「…ガルに負けるのはまだしも、フィリアにも負けたとなると私のプライドが…」

「た、たまたまです。私が当主様に勝つなんて…」

「フィリア、それ以上は父上が惨めになるだけだから…」

「ガル!?父に冷たくない!?」

「そんなことよりも、魔物についてです」

 俺がその話題を口にするとピリッとした空気が流れ、父上も真剣な雰囲気になった。

「どうだったのだ?」

「魔物の散財は発見しました。領土の南東でクマの形をしていました」

「クマか…それはおそらくヴァイオウルスだろうな」

「ヴァイオウルス?」

「クマの魔物で素早い動きと桁外れの力を持つ凶悪な魔物だ。魔物の中でも危険度が高い。やはりここはフィリアではなく――――」

「いえ、予定通り、フィリアに任せます」

「えぇ!?私怖いよ…」

「大丈夫。危なくなったら俺が助けるから」

「でも…」

「フィリアならできるよ。師匠である俺を信じろ」

「……わかりました。私、がんばります!」

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