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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国編
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報せ

 ティーベルの結婚騒動はあっという間に広まった。

 元々隠すこともなかったからリューク様もリリアに情報を開示したのかもしれない。

 そして王女が結婚するというビックニュースは当然学校内にも流れるわけで………

「なあガル」

「どうしたスティアード?」

 俺たちに近づいてきたのはスティアードとケルスト、そしてクレアとシスティア。

 スティアードとケルストとは夏の課外合宿以降からよく話す間柄となったから特段珍しいことではない。しかし――――

「クレアとシスティアもいるのは珍しいな」

 この二人が俺の前に来ることが珍しいのだ。

 クレアとシスティアはティーベル、リリア、フィリアの三人と仲良くしているようだが俺とはあまり交流がない。

「まあな。ガルに聞きたいこともあったからな」

「……ティーベルのことか?」

「そう、だな……」

 俺の予想が当たりスティアードはバツが悪そうに顔を背ける。

「……ガルは知っていたのかい?ティーベル様がご結婚されることを」

 このままスティアードに任せておくと話が進まないと思ったのか、ケルストが前に出る。

「知ったのはつい昨日だがな」

「つまりすでに決定したあとで聞いたということ?」

「あぁ。それにこういう外交的なものは容易に他人へもらすべきではないしな」

「それもそうだね」

 そこで会話が途切れる。

「何かしないのか?」

 沈黙に耐えかねたのかスティアードが俺たちに問いかける。

「何かって?」

「ほら、ティーベル様はガルたちのパーティメンバーだろ?さすがにこの歳で結婚はどうかなってチラつかせたらもしかしたら――――」

「やめなさい、スティアード」

「っ…クレア」

 スティアードの発言をクレアが止める。

「貴方が言いたいことはわかるわ。でもその先は言ってはいけないの」

「じゃあこのまま静観しろって言うのかよ!友達じゃなかったのかよ!」

「それとこれとは話が別よ」

「何がだよ!」

「貴方は国を敵に回すつもり?」

「それはっ…」

「ティーベル様の結婚は国が認めたことなの。それに異を唱えるなら国家反逆に捉えかねない。その意味がわかる?」

「くっ……」

 スティアードはド正論に何も言えなくたってしまった。

「……まずは頭を冷やしてこい。これはすでに決定事項だ。覆すことはできないさ」

「…………わかったよ」

 そう言ってスティアードが去っていく。彼のパーティメンバーもあとを追いかけていく。

 スティアードは調子のいいヤツだが悪いやつじゃない。友達思いで熱い男だ。だからこそティーベルのことであんなに怒れるのだろうな。










 ティーベルの結婚は王都でお祭り騒ぎとなった。自国の王女が結婚するんだ。当然自国民も嬉しいのだろう。

 数日前のティーベルの見送りも大勢の人が押しかけていた。帝国での結婚式が終わるまでこの熱気は冷めないだろう。

 そんなお祭りムードに当てられて学校でも騒ぎ立てる者が多かった。しかしティーベルのいた俺たちのクラスは複雑な雰囲気をしていた。別に賑やかというわけではないが暗いわけでもない。

 そんな中でも授業は普通に行われる。

「この国の十代目の国王陛下が――――」

 俺はその話を聞き流す。この国の歴史はある程度学んでいるから今の授業の内容も知っている。

 他のクラスメイトは一心不乱に話を聞きながらメモを取っている。いや、他のことを考えないために授業を受けているのだろう。きっと無意識に考えてしまうのはついこの間学校を辞め、帝国の皇子と結婚することになった王女のことだろう。

 同じ教室で学び、この半年ずっと近くにいたのだ。無理もないことだと思う。

 リリアとフィリアもあまり元気がない。務めて明るく振舞っているが無理をしているのは明らかだ。心配なのだろうな。

 かといって俺たちができることはないもない。せいぜい祈ることくらいだ。

 そして俺も無性に心をかき乱される。ティーベルはただのパーティメンバーという関係だったはずだ。たしかにティーベルと仲良くなったことは認めるが、だからといってそれ以上ではない。そのはずだ。

 そっとため息をつく。

 いつの間に俺はこんなにティーベルのことを大事だと思うようになったのだろう。例え帝国に嫁ぎにいかなかったとしても俺がこの国を出ていく限り、ティーベルとは一緒にいられないことはわかっていた。それなのに……

「っ!」

 唐突に、俺の持っている魔鉱石が光った。

「な、なんですか!?この光は!?」

 突然の出来事に先生は叫ぶ。クラスメイトたちも声こそ出していないものの何が起こったのかわかっていない様子だ。

「これは……」

「………も、もしかしてティーベルでしょうか!?」

 フィリアから出てきたティーベルという単語にクラス全員が反応する。

「あっ、もしかしてペンダント!?」

「そうだろうな」

 古代遺跡に入る時に渡したペンダントにしか俺の魔鉱石は反応しない。つまりティーベルの身に危険が迫っているということだ。

「行ってくる」

「はい!」

「行ってらっしゃい!」

 俺はティーベルのいる場所へめざして全速力で飛んだ。

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