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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
課外合宿編
44/176

男同士の談笑

 海での遊びが終わり宿へやってきた。

「遊んだ遊んだ!」

「スティアードは遊びすぎなんだよ」

 宿に泊まるにあたって部屋割りが存在する。俺と同じ部屋になったのはニルバン子爵家のスティアード・ニルバンとオグワート子爵家のケルスト・オグワートの二人だ。この二人は同じ子爵家ということもあるのか仲がいい。

 この二人の中に入れられるのはなかなかにきつい。

「ところでガーリングくんってさ、誰狙いなわけ?」

「は?」

 突然スティアードくんに言われたことに面食らってしまう。

「えっと、どういう意味でしょうか?」

「敬語はなくてもいいよ。それでさっきの質問の意味なんだけど、君はパーティメンバーの中で誰が好きなのかって話だよ」

「は、はあ!?」

「だってあの三人と一緒にいるんだろ?そりゃあ当然気になるだろ」

「ティーベル様?リリア様?それともフィリアさん?」

「……君たちってそんな感じなの?」

「とはいっても男女問わず気になっていることは確かだよ」

「そうそう。だから俺たちが代表して聞いてるんだぜ」

「まったく…」










「そうだな……教えるのはいいけどこのことは他言しないでほしい。あと俺のことはガルと呼んでくれ」

「「わかった」」

 二人は頷くと興味津々といった感じで耳を傾ける。

「俺が誰を好いているか、正直あまり考えたことはないんだ」

「そうなのか?」

 前世でも女性とはよく関わっていたが恋愛に発展したことはなかった。俺は恋愛が苦手なのかもしれないな。

「あの三人と一緒にいて考えたことがないのはどうなんだろう?」

「三人のことは異性というより仲間としての認識が強かったからな」

「あ~。もしかしてそういう感じか?」

 スティアードくんは納得したように首を振る。

「どういうこと?」

「つまりガルが言いたいのは一緒にいすぎるせいで仲間としての認識が強くなるってことだよ」

「うーん……ピンとこないな……」

 ケルストくんは分からないというように唸る。

「例えるなら、俺たちのパーティメンバーにもクレア嬢とシスティア嬢がいるだろ。あの二人に恋愛感情を持つかどうかということだ」

「なるほど…確かにあの二人は異性ではあるけど仲間という認識が強いかもしれないね」

「そういうことだ」

「それならガルはあの三人とこれからも仲間として過ごすのかい?」

「これからずっと、というと確証がないがな」

「「詳しく!」」

 こいつら恋愛話が好きなのかよ。









「三人の中で一番可能性があるのはフィリア、だな」

「ティーベル様でもリリア様でもなく?」

「個人的にはリリア様かと思っていたんだけど」

「ケルストはどうしてそう思ったんだ」

「三人の中でリリア様が一番ガルと仲良さそうだったからね」

「そうか?一番仲良さそうに見えたのはフィリアさんだと思っていたんだが……」

「別に仲がいいかどうかで選んだわけじゃないんだが」

「じゃあどうやって選んだんだ?」

「気になるよ」

「俺は成人したら国を出るつもりでいるからな」

「「はあ!?」」

 俺の突然の告白に二人は驚く。

「国を出ていくってどういうことだよ!」

「ガルは貴族なんだよ!」

「貴族といっても次男だから家を継ぐことはできないし下手をすればお家騒動にもなりかねない。特に俺の場合はな」

「た、確かにガルの実力が飛びぬけてるからわからんでもないが今から考えるには早すぎないか?」

「それに国が放ってはいないだろうね」

「心配してくれるのは嬉しいがもう決めたことなんだ。ちゃんと国王陛下の許可はとっている」

「い、いつの間に……」

「よく国王陛下が許可したね……」

「そこはゴリ押した」

「「国王陛下相手にゴリ押しって……」」

「ま、まぁそういうわけでこの国の貴族の娘、ましてや王族とそういう関係になることはないんだ」

「だから使用人のフィリアを選んだということか」

「僕はさっきのガルの発言が大きすぎてすでにキャパオーバーだよ」

「確かに違いねぇ」

 そして二人はハハハと笑う。

 だが実際のところ消去法ではなかったとしても、俺はフィリアを選んでいただろう。

 ティーベルやリリアが悪いわけじゃない。むしろ他の人よりとても魅力的だ。ただフィリアはずっと一緒にいてもう家族同然と言ってもいい。フィリアがいない日常が考えられないくらいには生活面で依存しかけている。別に俺に生活スキルがないわけではない。むしろ前世では一人でいた時にはいろいろしていたから新人の使用人より家事はできる。まあ思い返せば一人でいた期間が短かったような気もしないが…

 でも転生してからというものフィリアと一緒にいる時間が長すぎた。フィリアは俺にとってもう、居場所のひとつになってしまったのだ。

 ………もしかしたらこれが好き、という感情なのだろうか?

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