表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
4/176

初の弟子

「フィリアは戦ったりするの?」


「そんなことは…」


 フィリアは縮こまりながら答える。


「それなら俺が魔術を教えてあげるよ」


「え、えぇ!」


 フィリアは大声で驚く。


「ま、魔術は選ばれた人、貴族にしか使えない奇跡なんです…一介の使用人である私が魔術を使うなんて…」


「平民は本当に誰も使えないの?」


「いえ、稀に使える人はいるそうですが私にそんな才能は…」


「じゃあまずはやってみようよ!」


 俺はフィリアの手を取って立ち上がった。


「が、ガル様!?」


「自分の内側に集中して」


「う、内側、ですか?」


「ああ。まずは目を閉じて」


「は、はい」


 フィリアは俺の言う通りに目を閉じる。


「自分の中にある魔力を感じ取るんだ」


「魔力…」


 俺はフィリアを通してフィリアの魔力を操る。


「なんか、ムズムズします」


「その感覚が魔力だ」


「これが…」


 フィリアは感慨深そうにつぶやく。


「それを覚えて自分で扱えるようにするんだ」


「え?え?」


「…大丈夫か?」


「は、はひぃ…」


 フィリアは頭から湯気を出して目が回っている。大丈夫じゃないな、これは。


 俺は小1時間、フィリアの魔力を操って感覚を覚えさせた。それだけ時間が経っていればフィリアも慣れてきたかもしれない。


「自分の中で魔力を動かしてみようか」


 俺はフィリアから手を離してそう言う。


「どうやれば?」


「さっきの感覚を自分でするのを意識するんだ。とにかくやってみて」


「はい!」


 フィリアは目を閉じて両腕を前に伸ばす。


「なかなかできません…」


 30分ほど経ったが上手くいかなかった。


「すぐにできるのは難しいよ。徐々に慣れていこう」


「が、がんばります!」


「二人とも!昼飯の時間だぞ!」


 父上の俺たちを呼ぶ声が聞こえて今日の鍛錬は終わった。







 午後は座学、というか勉強だ。貴族たるもの、学がなければならない。という考えの元だ。主に学ぶのは読み書きから計算、歴史など。読み書きに関しては現代の言語を即座にものにして特に問題もなく、計算も前世の知識があるため問題はなかった。


『ガルは天才だ』と家族は言っていたが前世の記憶があるだけで特にそこに才能があるわけではない。


 そして学ぶのは歴史と魔術学。歴史はこの世界における過去のことを学ぶ。歴史を学べば俺が死んでからのことの様々なことが分かるかもしれない。


 そう期待していたのだが…


「なんか漠然としすぎている気がする…」


 歴史を学ぶのに使うのは教科書や伝記など。それらの中で最も多いのは『アルス伝』という物語だった。これはアルス・マグナ、前世の俺のことを記録しているものらしい。しかしそれは真実が書かれていたこともあればない事が書かれていたりもした。俺の事でもこれなら俺が死んだあとのことを細かくは知れないだろう。あれから世界がどうなったのか知りたかったが、仕方がないだろう。すくなくとも魔神が消えていただけ良しとするか。


 それにしても魔術はかなり衰弱しているんだな。帝級魔術がはるか昔の記録にしか存在しないなんて…


「ガル様、紅茶をお持ちしました」


 扉をノックして入ってきたのはフィリア。ちょうどいいからフィリアにも魔術について教えておこう。


「フィリア、ちょっとこっち来て」


「はい、何でしょうか?」


「これなんだけど」


 俺は近づいてきたフィリアに読んでいた魔術の本を見せた。


「それは魔術の本ですね。それが何か?」


「一緒に読もう」


「…私が?この本を?」


「うん。そうだけど」


「でも、魔術は…」


「選ばれた人しか扱えない奇跡、とか言うんでしょ?」


「は、はい。いくらガル様といえど不可能かと思います」


「いいから、騙されたと思って」


「…命令ですか?」


「うん。命令」


「それならば仕方ありません。」


 フィリアは素直に僕の隣に座って本をのぞき込む。


「フィリアは魔術について何を知ってる?」


「えっと、魔力を使って発動する、ということしか…」


「じゃあまず基本からだね」


 それから俺はフィリアに魔術についてのいろはを教えた。







 俺がフィリアに魔術について教え終わったのは晩ご飯の時間が近づいていた頃だった。


「もうそろそろご飯の時間だからここまでにしよっか」


「えっと、まじゅつはまりょくをばいかいにしておこるげんしょうで――――」


 フィリアは目をぐるぐる回しながら頭から湯気が出ている。


「あー、別に一日で覚えなくてもいいよ…ゆっくり勉強していこう」


「これからも、ですか?」


「あぁ。フィリアが強くなるまで教えるから」


「…は、はい!」


 俺たちは本を閉じてその場を後にした。






 その日の夜、話題は俺の話題で持ちきりだった。


「まさかガルがこの歳で魔術を使えるとはな!」


「やっぱりガルくんは天才ね!」


 父上が思い出したように言い、姉上が僕を持ち上げる。


「もしかしたら王都の魔術師団に入って活躍するかもしれないわね」


「魔術師団?」


 俺は母上から出た単語に首を傾げる。


「魔術師団とは騎士団と二分する王族直属の軍隊で、魔術師のエリートのみが入れる、貴族にとってはほとんどのやつが憧れる集団だな」


「魔術師団に入れたらエリート街道まっしぐらとも言われているんだよ」


 父上の説明に兄上が付け加える。


「ただそのためには学校に通った方がいいかもしれんな」


「学校、ですか?」


「あぁ。王都にある王立英雄学校。そこには騎士科と魔術科の二つがあって、国中からの秀才が集まってくるんだ」


「その学校に行けば強くなれますか?」


「間違いなくな」


 俺は思考する。


 この時代の魔術は確実に質が低下している。というか魔術そのものに対する理解が浅すぎる。それを根本から変えるには俺が常識を覆すのが一番手っ取り早い。そのためにも王都に行くのは最善かもしれない。


 俺は脳内で結論を出した。


「わかりました。学校に行きましょう」


「おぉ!お金は出してやるから存分にやってこい!」


「あなた、喜ぶのは早いわよ」


 母上が父上を窘める。なんだろう?


「ガル、いい?学校には12歳になってからじゃないと入学できないのよ」


「えぇ!そうなんですか!?」


「だからガルが入学できるのは早くて4年なの」


「そ、そうなんですか」


 俺はてっきりすぐにでも行けるのかと思ったんだが…でもそれだけ時間があるなら逆にいいかもしれない。


「ならば父上、一つ提案があります」


「なんだ?言ってみろ」


「フィリアも学校に入学させてください」


「もちろんいい――――は?フィリアを?」


「………えぇぇぇ!」


「はい」


 父上が混乱してフィリアは驚きの声をあげる。他の家族もみんな驚きすぎて言葉を失っている。


「恐れながらガル様、フィリアを連れていくのはどうかと…」


 混乱状態の中で唯一俺に対して物申したのはフィリアの母であるコルン。


「能力的には問題ないと思うよ」


「ですがフィリアは平民で…」


「フィリアは魔術を使えます」


「「「「……っ!」」」」


 ピリッとした空気が流れる。


「それは…本当か?」


「えぇ。間違いなく」


「フィリア、どうなの?」


「えっと、私にはわからないです…」


 父上が恐る恐る俺に問いかけ、コルンがフィリアに聞く。


「今の彼女は魔術を出せませんが魔力を持っているので問題ないでしょう」


「そ、そんなこと分かるのか!?」


「はい」


 本当は全人類に魔力があると言いたいけどそれは黙っておいた方が良さそうだからフィリア限定にしておく。


「それで、どうですか?」


「うぅむ…」


 父上が迷うように唸る。それも当然か。フィリアは平民で学校に行けばどんなしがらみがあるのか。


「…当主様、お願いでございます。どうかフィリアを学校に行かせてください」


「お母さん?」


 父上に頭を下げたのはフィリアの母であるコルン。


「もし仮に、本当にフィリアに魔術が使えるとしたらあの子にはより広い選択肢が与えられるかもしれません。お金に関しては私がお金を払います。ですからどうか、フィリアが学校に行くのをお認めになってください」


「コルン…」


 ここまで真剣に頭を下げられて父上は戸惑う。すると今度は母上が父上に向き合う。


「あなた、私からもお願いします」


「エイミー…」


「天才のガルが言うんだものら間違いないわ。それに小さいうちにいろんな経験をしておけば将来役に立つかもしれないわよ」


「………フィリア」


「は、はい」


「お前は学校に行きたいか?」


 父上はフィリアに問いかける。


「……私は、学校なんてどうでもいいです」


「フィリア!」


「…そうか」


 コルンが大声を出して、父上は目をつぶる。


「でも!ガル様のお傍にずっとお仕えしていたい。ガル様に行くところに私も行きたい。ガル様に行く場所に私はどこにだってついて行きます!」


「…………」


 父上とフィリアは目を合わせて決してそらそうとはしなかった。


「…確か、英雄学校は成人前ならいつでも入れたはずだ。ガルが学校に行ってもしっかり助けてやってくれ」


「……はい!」


 どうやら父上も認めてくれたようだし明日からは本格的に指導しようか。


「フィリア、明日から俺が師匠だ。みっちり鍛えてやるからな」


「はい!よろしくお願いしますね!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ