国王の訪問
俺は王城へ呼ばれていた。
「それで要件とは何ですか?」
俺は謁見の間ではなく応接室に通されていた。今この場にいるのは俺と王様と宰相のリュークの三人だけ。ティーベルがいないだけでやりづらさが半端ない。
「ガーリング、お主のクラスは課外合宿で古代遺跡に行くじゃろ?」
「そうですね」
「許可を出したとはいえティーベルが古代遺跡に行くのは不安なのじゃ!」
知らねぇよ!それなら許可出すなよ!
「私としてもリリアが古代遺跡に行くのは不安でしかないのだ…」
だから知らねぇって言ってるだろ!(※声に出してない)
「そこで護衛をつけようと思っているんじゃが、どうじゃろうか?」
「やめといたほうがいいと思いますよ」
「なぜ!?」
「簡単な話、普通の護衛では足手まといになるだけだからです」
「…そこまでなのか?」
「はい」
うちのクラスは全員、無詠唱魔術を習得している。それなら下手な護衛をつけるのは悪手だ。すでに魔術師団並みの実力を持っているはずだからな。
「…ならワシ自ら見て判断するとしようかの」
「なら俺が呼ばれた意味は?」
「…護衛がいるかの確認をするため、なのだったのだが…」
「意味、なかったですね…」
「こ、国王陛下だ…」
「ほ、本物…?」
「宰相様もおられるぞ…」
まあ学校に国王や宰相が来たらそんな反応にもなるわな。
「皆の者、がんばっているな」
「「「「は、はい!」」」」
「さすが国王、人気だな」
「人気でなくては王は務まりませんわ」
「ちなみにジークはどうなんだ?」
「お兄様ですか?お兄様はお父様より人気がありますわね。特に若い層を中心としていますわね」
「あぁ……なんかわかる気がするな」
あの容姿に剣の腕前、さらに気さくときた。そして対面するとわかる圧倒的カリスマ力。あの国王が悪いわけじゃない。比較対象が悪いだけだ。
「そういうティーベルも人気あるよね」
「はい!王都に来てからよくティーベルさんの名前をよく聞きます」
「そ、そうかしら?」
ティーベルが照れたように笑う。
「「「「はぅ………」」」」
その笑顔にその場に居たほとんどの人が崩れ落ちる。てか国王は倒れるなよ。自分の娘だろ。どんな親バカだよ。
「り、リリアもお父様来ていらっしゃるではないですか?」
「そうだけど今は公共の場だからね。ちゃんと公私はわけないといけないから」
「お、大人です…」
「いやそれが普通だから」
目を輝かせているフィリアに冷静にツッコむ。
「今日、ワシが来たのはお主らの練習を見に来たのじゃ」
「「「「えぇ!?」」」」
そういう反応になるよね。
「お主らは今度の課外合宿で古代遺跡に行く。それに見合う力を持っているかどうかを見極める」
「…も、もしかしてここで国王陛下を納得させないと古代遺跡に行けない…?」
「そ、そんな…」
「だ、大丈夫。うちにはガルくんがいるんだから…」
いやそんなことないぞ。古代遺跡に行くのは確定事項だぞ。
「陛下、そのような言動では誤解されてしまいますよ」
「誤解じゃと?」
すかさずリュークがフォローに入る。
「コホンッ」
リュークが咳払いをする。
「陛下はこうおっしゃりたいのだ。このクラスに護衛が必要かどうか、と」
「そ、そういうことか…」
「よかったぁ…」
生徒たちが安堵の声をもらす。
「お父様ってこういうとこがありますわね」
「こういうことを言うのは無礼かもしれないけど、国王陛下ってたまにおっちょこちょいだよね」
「事実だから気にしなくてもいいですわ。それにいつもリリアのお父様にはお世話になていますし」
「容赦ないな。自分の父親だろ」
「実のお父様だからこそですわ」
「ここまで辛辣なティーベルさんは初めてですね」
「それだけ心を許しているってことだよ」
「そう、ですわね」
なんか歯切れが悪いな。
「ティーベル?」
「何でもないわ」
「それならいいけど無理はしないでね」
「えぇ。ありがとう、リリア」




