北の地にて
大陸の北方、北の果て。はるか昔は最強の組織が存在していた場所。
そこには古びた塔があった。その中にある玉座に座る一人の黒髪女がいた。傍らには一人の男がいて、玉座へ続く通路の端には六人のローブを被った人たちが立っている。そして真ん中には跪いている二人の姿があった。
「お前たちにはここに行ってもらいたいです」
女がそう言って地図に指を指したのはランバルト王国だった。
「こ、ここはザリディアたちがやられた場所ですよ」
「今は手を出さない方がいいのでは?」
「だからこそです。ここにはある武器が保管されています。その武器が相手方に渡るのを阻止してほしいのです」
「危険なのでは?」
「まだ死にたくないですよ!」
二人が焦ったように抗議をする。
「ですがこの任務が達成できなければ死んでしまうのは時間の問題ですよ?」
「な、なら我々でなくとも幹部の方々の方がいいのでは?」
「他のものは別の任務をしています。今動けるのはあなたたちだけなのです」
「ですがザリディアを倒したのであれば我々では手に負えません」
「そこは心配しなくてもいいです。あそこには《《アレ》》がありますから」
「「アレ?」」
「えぇ。アレがあればあなたたちでも問題ないです」
「アレとはなんですか?」
「教えてください!」
「いいでしょう。アレとは――――――――」
やがて二つの影もなくなり残ったのは六人のローブを被ったものと玉座に座る女と傍らに立つ男のみ。
「お前たちは例の者をどうみる?」
「実際に見ていないので判断しかねますな」
「しかし今の時代にザリディアを含む三人の同胞を殺せる人間がいるか怪しいのは事実」
「慎重に対応するべきね」
各々が自分の意見を発言する中でたった一人沈黙する者がいた。女の傍らに立つ男だ。
「お前はどう思う?」
「……………」
女が問うも男が答える素振りはない。
「……お前は相変わらずですね」
女はため息をつく。ローブを被った六人は女に従っているが女に反応しない男に特段、反応することがない。それどころか一歩引いている様子すらある。
「何はともあれ、あの者たちがどう動くか注目しておく必要がある、か」
女は虚空を見つめる。その女の目はいったい何を見ているのだろうか。




