後始末②
「ガル様、とってもお似合いです」
「フィリアもね。可愛いよ」
「あ、ありがとうございます……」
週末の開かれるパーティーに出席するため、俺はスーツを着ていた。フィリアもティーベルの招待ということでドレスを着ている。
会場に入るとすでに多くの貴族が出席していた。
「多いな…」
「このパーティは国王陛下直々の主催ということで国内の貴族はほとんど出席していふそうですよ」
「そりゃ多いわけだ」
「ガルくん!」
フィリアと端っこで話しているとリリアが駆け寄ってきた。
「リリアも来てたんだね」
「えぇ。お父さんの付き添いでね」
俺はリリアの格好を見る。綺麗なドレス衣装がリリアの可愛さとマッチしていた。
「そのドレス、とても似合っているよ」
「ありがとう。ガルくんもカッコイイよ」
「ありがと」
「本当に綺麗ですね…」
「フィリア、ありがとう。フィリアのメイド服は久しぶり見たけどやっぱ可愛いわね。うちのメイドになる気はない?」
「私はガル様専用メイドなので」
「さらっと人のメイドを勧誘するな」
俺が注意すると「てへっ」と言って笑った。
「ガル!久しぶりだな!」
「父上!?」
そこに父上まで登場した。
「お?そこのお嬢さんはリリア様か」
「お初にお目にかかります、バルフォンス・エルミット男爵様」
「こ、こちらこそはじめまして。私はバルフォンス・エルミット男爵でございます。いつもガルと仲良くしてくれてありがとう」
「様々なことを体に教えてもらっています」
「おい、ガル…」
「違うよ!リリアも意味深なこと言うな!単純に魔術を教えてるだけだよ!」
「リリア、ここにいたのか」
「お父さん!」
「これはリューク様!お元気のようで」
「これはこれはバルフォンス男爵ですか。お久しぶりです。それにガーリングくんも」
「この前ぶりでございますね、リューク様」
「あぁ。それでバルフォンス男爵はガーリングくんの偉業をお聞きになりました?」
「はい。まさか息子がそのようなことを成し遂げるとは少ししか思いませんでした」
「……少しは思ってたんですね」
「それはもう。6歳のときから私はガルに勝てなかったのですから」
「なっ!バルフォンス男爵が勝てなかったのですか!?」
「お父さん、それってそんなに驚くことなの?」
「リリアは知らないんだったか。バルフォンス男爵は元騎士団長なんだよ」
「父上、そんな強かったのですか!?」
「強い自信があったがお前に負けてその自信は粉砕されたさ。まぁまだ強くなれることが知れたのはよかったがな」
「へぇ…」
父上がまさかそんな人物だったとは…
そしてバルマント公爵家と別れてエルミット家のみとなる。
「それにしてもガルっほんとに異常なんだな」
「それ自分の息子に向かって言うことですか?」
思わず呆れてしまう。
「君がガーリング・エルミットくんかい?」
「そうですが、あなた方は?」
「僕たちはビスハイマー・シュレースヴィヒ公爵、ヨノーグスの父と言った方がいいかな?」
「っ、ヨノーグスの…」
俺は顔をしかめてしまう。
「ビスハイマー公爵、息子に何か用が?」
「えぇ。息子の件で少しね」
まぁそうなるか。結局俺はヨノーグスを殺したのだから。
「この度は息子が多大な迷惑をかけて誠に申し訳ない!」
「ビスハイマー様!?」
「……………」
俺は絶句してしまう。なぜなら貴族の頂点である公爵家の当主が男爵家の次男である俺に頭を下げたのだから。
「なぜ頭の下げるのでしょうか?俺はあなたの息子を殺したのですよ」
「なっ!ガル、それは本当か!?」
「はい」
父上は俺の発言に驚く。どうやらこの情報はあまり出回ってないらしい。
「バルフォンス男爵、落ち着いてほしい。彼は私の息子が反逆者になってしまったから殺しただけなのだ」
「それはどういう?」
「愚息は魔族の誘いに乗って王都に混乱を引き起こしこの事態の元凶になったのだ。ガーリングくんはそんな愚息を止めるために行ったことだ。愚息がこれ以上過ちを犯さないよう防いでくれたことに感謝こそすれ恨むことはしない。貴族の一員としてこの国を守ってくれてお礼を言わせてくれ」
この国の王や貴族は真っ当な人間ばかりのようだ。
話が終わってビスハイマー公爵が離れていく。
「ガル、俺はもう驚き疲れたぞ…」
父上が遠い目をする。
「あははは…」
苦笑いするしかない。
「国王陛下のご登場です!」
その声とともに壇上に王族一家が姿を現す。そこにはティーベルもいた。国王の隣にいるのは王妃のアンジェリア・フォン・ランバルトだろう。そしてティーベルよりも更に幼いのは第二王女のクリスティーナ・フォン・ランバルトかな。
しかし俺の視線は国王の隣にいた青年に注がれていた。その顔が亡きダリューンに似ていたのだ。まるで生き写しのような。きっとあれがティーベルの兄であるジークロットなのだろう。
「皆の者!今宵は祝勝のパーティー、無礼講じゃ!思う存分楽しんでいくがよい!」
パチパチパチパチと拍手が響く。貴族と言うこともあって騒がない。
「ガーリング・エルミット!前へ!」
俺は呼ばれて壇上の前まで行って跪く。
「堅苦しいのはよせ。立ってよい」
俺は立ち上がって貴族の方に振り返る。
「このものが王国に侵入した三体の魔族を単騎討伐した英雄、ガーリング・エルミットじゃ」
「あんな子供が…」
「にわかには信じられませんな…」
「各々言いたいことがあるようじゃが、これは事実じゃ。稀代の英雄と飲み明かそうではないか!」
「「「おぉ…」」」
パチパチパチパチとさらに大きな拍手が巻き起こる。
その後怒涛の勢いで多くの貴族から挨拶や婚約の話をされた。俺と縁を結びたいという下心は見え見えだが強引ではなかったのは評価すべきだろう。
「ガルさん、人気ですわね」
「ティーベルもだろ?」
ティーベルは俺よりもたくさんの貴族から挨拶されていた。ティーベルは王族だけでなく魔術の天才で美しい容姿ときた。それりゃ人気も出るものだ。
「やあ、ガーリングくん」
そこに聞き覚えのない声が聞こえた。俺の視界にとらえたのはさっきまで壇上にいた青年だった。
「ジークロット様。お初にお目にかかります」
「堅苦しいのは抜きにしていいよ。ティーベルが気に入ってるなら俺も大歓迎だから」
「…それは助かります」
ここの王族や貴族は軽すぎないか?
「俺のことはジークでいい。こっちもガルと呼ばせてもらうよ」
「わかりました。これからよろしくお願いします、ジーク様。そして、そちらの方は?」
俺はジークの隣にいた女性について尋ねた。
「この女性は僕のフィアンセでヘルサル公爵家のシャルロッテだ」
「お初にお目にかかります、ガーリング様。ご紹介にあずかりましたシャルロッテ・ヘルサルと申します。この度はジークロット様の妹君であるティーベル様をお助け頂き誠にありがとうございます」
「当然のことをしたまでです」
「それでもお礼を言わせてください。彼女はわたくしの義妹になる方なのですからすでに身内と思っております」
「わかりました。ではその言葉をありがたく頂戴致しましょう」
そして俺はジークの腰に帯びた剣に目を奪われた。
「それは…」
「これかい?これは王家に代々伝わる聖剣『エクスカリバー』だよ」
これが『エクスカリバー』だと?確かに鞘や剣は似ているが明らかに別のものだ。これは魔力が膨大で前世でも一級品の業物ではあるが『エクスカリバー』はこんなものではない。これは偽物だ。
「これはあの『英雄騎士』様が使っていた双剣の一振りなんだよ。もう片方は見つかっていないけどね」
「そうですか…」
『エクスカリバー』とは対になる剣は見つからないだろう。なぜならそれは俺が持っているからな。
それにしてもここにある『エクスカリバー』が偽物ならば本物はどこにあるのだろうか?
疑問は深まっていくばかりだ。
第一章が終わりましたがどうでしたか?
おもしろいと思ったら評価お願いします




