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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
21/176

英雄学校襲撃事件①

 これは魔力反応!?しかも量は人間を超えてる!そんなものが学校に侵入してきた!?

 俺は探知魔術を発動する。大きな魔力反応が三つ。学校の生徒は、講堂に集まっている?いや、違う。集められているんだ。一体なんのために?それにこれほどの魔力、魔力暴走を引き起こしているとしか思えない。そんなやつらが人を殺さないはずがない!しかも戦闘している!?頼む!間に合え!死ぬなよ、フィリア、リリア、ティーベル!

 俺は身体強化を限界まで上げて講堂まで急いだ。








 遡ること少し。1年Sクラスの生徒たちは突然現れたヨノーグスの様子がおかしくなり教室まで逃げてきていた。

「な、何だったんだ、今の!?」

「ヨノーグス様がすごい力を得ていたように感じましたけど…」

 クラスでさまざまなことが言われる。ミーナ先生はほかの教師を呼びに行くためこの場を離れている。

「みなさん!落ち着いてください!」

 場を収めたのはティーベル。王女として混乱を収めるすべは心得ている。

「今、この学校は危険な状況にあります。ヨノーグスさんが魔力暴走を引き起こしたのです」

「魔力暴走ってなんだ?」

「わかんないけどやばそう…」

「彼を止めるためにガーリングさんが戦っています。彼ならば負けないでしょう。ですので落ち着いて欲しいのです」

 ティーベルの願いが届いたのか、クラスは落ち着きを取り戻し始める。

「さすがティーベル。人心把握はお手の物ってところだね」

「すごいです、ティーベルさん」

「リリア、フィリア…」

「…ガル様、大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ、ガル様は強いんですから」

 不安そうにするリリアをフィリアが励ます。フィリアも心の中では不安がっているはずだがそれを表には出さない。

(わたくしがしっかりしなくては)

 ティーベルはそう決心する。

「やあやあ、ここが1年Sクラスだよね?」

「だ、誰ですの!?」

 教室の入口から全く知らない第三者の声が聞こえて教室に緊張が流れる。

「そ、そのローブは!?」

 ティーベルは顔を強ばらせる。入ってきた人物は顔まで隠れる黒いローブを着ていたのだ。

「よく知ってるね、さすがは王女様だ」

「……魔王教徒が、なんの用ですの?」

「いや〜、ここにガーリング・エルミットっている?」

「が、ガル様に何の用ですか!?」

 フィリアはガーリングの名を聞いて慌てる。

「彼には用はないさ。それで?いるの?いないの?」

「おりませんわ」

「それはそれは。あの無能も役に立つもんだねえ」

「無能?一体誰のことを言っているのですか!」

「誰って、今ガーリックくんが対峙している彼だよ」

「っ!ま、まさか!」

「察しがいい王女様で嬉しいよ。そう。彼にあの宝珠を渡したのはこの僕だ。彼を引き離すためにね」

「……一体何が目的ですの?」

「それは後で教えてあげるよ。とりあえず講堂に来てくれないかな?」

「誰が――――!」

「『雷撃』」

 雷は一直線にティーベルのすぐ横を通り過ぎて教室の壁に穴を開けた。

「なっ、なっ…」

 ティーベルはへたり込んでしまう。

「ティーベル!」

「ティーベルさん!」

 リリアとフィリアが駆け寄るも呆然としている。

 ティーベルは王女であったため命の危険を晒されたことはない。それどころか殺気を向けられたことすらないのだ。そんな彼女がいきなり殺されかけようとされれば動けなくなってしまうのは当然。

「ちょっと!ティーベルに当たったらどうしてくれるのよ!」

「そうですよ!当たらなかったからよかったものの!」

「何を勘違いしている?」

 殺気の籠った声にリリアとフィリアは震える。取り繕うのもやめたのか、喋り方も違う。

「今のは()()()外したのだ。次は殺す。いいから来い」

「……あなたねぇ!」

「リリア!ダメ!」

「ティーベル…」

「わ、わかった。言う通りにする。だからみんなには手を出さないで」

「分かればいい」

 1年Sクラスの生徒たちはそのローブを着た男の後ろに大人しくついて行った。







 講堂に行くとそこにはすでに多くの生徒が囚われていた。その中にはミーナ先生の姿も。

「ミーナ先生!」

「…みんな!無事だったんですね!」

「勝手に動くな」

 生徒の一人が先生に駆け寄ろうとするもローブを着た男に止められる。

「ここら辺でじっとしていろ」

 男はそう言うと離れていった。よく見るとすでに講堂の中にはもう一人ローブを着ている人物がいた。

(これは大規模な計画かもしれないわね)

 ティーベルは冷静に分析する。先程までは動揺していたがそれも時間が経てば治まってきていた。

「ティーベル、これからどうなっちゃうんだろうね?」

「が、ガル様が助けてくれますよ…多分」

 リリアとフィリアはティーベルと肩を寄せあって震える。教室では気丈に振舞ってはいたが彼女たちもいたいけな少女なのだ。

 やがて最後の生徒たちも入ってきたようで講堂はいっぱいになった。ローブを着た人物ももう一人増えて全部で三人だ。

「さて、これから計画を開始する」

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