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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
20/176

愚者の末路

 俺はこの前の模擬戦で抜かなかった剣を抜く。

「あぁん?なんで剣なんか抜くんだ?この前抜いてなかっただろ」

「察しが悪いな。手を抜いていたんだよ」

「なんだと!貴様!どこまで俺を愚弄する気だ!」

 ヨノーグスはいきなりトップスピードで突っ込んで来る。勢いよく振り下ろされる手に剣を沿わせて滑らせる。

「何!?」

「動きが単調すぎるんだよ」

 俺が振るった剣をヨノーグスは大きく下がることで避ける。

「貴様の剣など遅すぎて止まって見えるわ!」

「一回一回の動作が雑だし大きい」

「うるせぇ!黙れ!」

 ヨノーグスの手に魔力が集まる。これは…

「『豪炎』!」

「詠唱してねぇじゃん!」

 俺は魔力障壁を展開する。『豪炎』が魔力障壁にぶつかった瞬間大爆発が起きる。そのせいで校舎の一部が崩れ、中庭が吹き飛ぶ。

「なかなかの威力だな」

「俺の渾身の一撃を防ぐとはやるじゃねぇか!」

「というか詠唱しろよ!!」

「んなもん知るか!俺はただ思うがままに魔術を打つだけだ!『風渦ブラストボルテ』!」

「『氷華』」

 風の渦と氷の華がぶつかって爆発する。きらきらと氷の結晶が舞い散る。

「はあっ!」

 その中を突っ切って剣をふるう。それをヨノーグスは手で掴んで止める。身体強化なしとはいえ剣には魔力を通わして切れ味を上げているんだぞ。その剣を素手で掴むとか相変わらず性能おかしいだろ。

「『豪炎』!」

「ここで打つかよ!」

 俺はゼロ距離で『豪炎』を打とうとしたヨノーグスから離れようとするが剣をヨノーグスが放さない。仕方ないから剣を手放して離れてから魔力障壁を使う。再び爆発が起きて煙が広がる。。








 煙が晴れるとクレーターができていた。

「貴様の武器は奪ったぞ!死ねぇ!」

 ヨノーグスは俺から奪った剣を無造作に振りながら突進してくる。通常よりも速いため、まともに喰らえばどれだけ雑な剣技であっても即死する威力を持つ。

「はあ!やあ!おりゃ!」

 ヨノーグスは連続で剣を振るうが、俺はそれをすべて避ける。

「どうして当たらない!?」

「お前の剣技が下手くそなんだよ!」

 俺はヨノーグスが剣を振るった直後にできた隙に土手っ腹に蹴りを入れる。

「ぐはっ!」

 ヨノーグスは派手に吹っ飛ぶと校舎にぶつかった。

「やっべ。校舎が壊れるかも…」

「イテテ…この俺にダメージを与えるとは、な!」

 ヨノーグスはすぐに体勢を立て直すとまたもや斬りかかってくる。魔力暴走しているからか身体が鉄より固くなり、タフさも増している。並大抵では倒せないか。

「ほんとにめんどくさい!『豪炎』!」

 俺はヨノーグスの剣を下がって避けながら『豪炎』を放つ。『豪炎』はヨノーグスにぶつかると今までのように爆発せずにヨノーグスの身体を真っ赤な炎で燃やす。

「ぎゃああああ!熱ぃぃぃぃ!燃えるぅぅぅぅぅ!」

「うるさい」

「なぜだ!なぜ炎が消えない!」

「そりゃあそうだろう。火属性なんだから」

「こんなもの俺は知らない!」

「はぁ…あんな爆発ばっか起きてたら爆発属性魔術なんて意味ないだろう。本当の火属性魔術は燃やすことに特化した魔術なんだから」

 そう言って俺は魔力を一気に凝縮させ爆発を引き起こす。

「ぐがああああああああああああ!」

ヨノーグスの悲鳴が響き渡る。

「く、くそ!」

 ヨノーグスは俺の『豪炎』でもうボロボロだ。剣もとっくに手放している。

「殺す、貴様だけは!絶対に!」

 ヨノーグスが突進してこようとするが明らかにダメージが大きすぎてまともに動けていない。

「お前に本当の爆発を教えてやるよ『爆炎エクスプロージョン』」

 瞬間ヨノーグスが光に包まれる。

「な、なんだ!?何なんだこれは!?」

 そして起こる大爆発。先程のヨノーグスの『豪炎』による爆発よりはるかに強い。

「ゴホッゴホッ……やりすぎたかもしれないな」

 盛大に巻き起こった煙を吸い込んでしまいむせてしまう。『風刃』で煙を晴らす。そしてそこには巨大なクレーターに中央で倒れているヨノーグスのみだった。

「………これ、修復代とか取られたりするのかな?直したほうがいいか、これ?」

 そう言いながらクレーターの中心部に行き、倒れているヨノーグスを見下ろす。

「う…あ…」

「まだ息しているか。相変わらず化け物じみてるな」

 魔力暴走を引き起こしたものは莫大な力を得る。魔力や肉体、体力など。そのため、殺すにはかなりの労力が必要になる。殺さないことに越したことはないが、殺さなければ人に危害を加える。ここでトドメを刺さなければならない。

 俺は途中で拾った剣を構える。

「お前がここまで愚かだったとはな。来世ではせめて真面目に生きろよ」

 身体強化を乗せて剣を振るう。並の剣では魔力暴走者の体に傷はつけられない。例え魔力を通わせたとしても。それはさっき、こいつに素手で止められたことで実証済みだ。

「剣技『斬鉄』」

「が!…ぁ…」

 今度はヨノーグスの体が斬れた。『斬鉄』。文字通り鉄さえも切断できるようにする剣の技だ。

 ヨノーグスはそのまま息絶える。ヨノーグスの死体は次第に灰になっていき、消えていった。魔力暴走者はその力によって肉体の限界を超える。その反動によって死んでしまったら肉体は残らず灰となる。

「ったく、人騒がせなやつだったな…」

 俺は剣をしまい、教室に戻ろうとする。しかしここであることに気づいた。

「こ、これは――――」

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