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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
神聖ミニナリア法国編
162/176

勇者パーティ①

 屋敷に入ると応接間らしき場所に通された。

 そしてそこにはすでに数人がいた。

 端正な顔立ちな男の剣士。

 ローブを纏い帽子をかぶったいかにもな女の魔術師。

 盾を背負った女の戦士。

 弓を背負った女の射手。

 その四人組がいた。おそらくこの四人でパーティを組んでいるのだろう。

 しかし驚くべきものは座り方であった。

 男の剣士を中心に戦士と射手が両隣に座り魔術師にいたっては剣士の膝の上に座っている。しかもあろうことか左右の女性の胸を揉んでいる。普通他人の家でやることか!?

 すると男の剣士と目が合う。

「ん?なんやお前?」

 聞きたいのはこっちなんだが!?だが見当はついている。

「君が勇者か?」

「そうやけど……さてはお前さんがあの英雄かいな?」

 どうやら勇者はただの色男というだけではないらしい。

「とりあえず座りましょうか」

 グリーリッシュの一声によって仕切り直しとなった。




「ではお互いに自己紹介から始めましょうか。まずはヨシュラからよろしく頼むよ」

「了解や」

 グリーリッシュからヨシュラと呼ばれた男が声を出す。

「ワイはヨシュラ。姓はない。リッシュのおっさんから勇者になってくれって言われたでなった」

 ヨシュラはわりと大雑把な性格のようだ。

「この膝になっとるんが凄腕魔術師のレイナや。ちっこいけど強いんやで」

「ちっこいは余計です!」

 ヨシュラの膝の上で憤慨している小さい魔術師はレイナというらしい。

「こっちの筋肉がすごいんがメルーナや。見える筋肉からわかる通り馬鹿力なんよ」

「乙女に筋肉って言ったり馬鹿力って言ったりデリカシーがないね」

 肌が褐色で鎧の隙間から見える筋肉がすごい戦士がメルーナか。

「反対におるんがカトリナ。三人の中では一番デッカイで」

「言い方!!!」

 高身長でスラッとしている射手がカトリナ。

 ……それにしてもヨシュラは地雷を踏みぬきすぎでは?それでもヨシュラから離れないのは彼女たちなりの信頼のあかしなのだろう。

「そんでお前さん……誰やっけ?」

「え?」

 さっき俺のこと英雄って言ってたからてっきり名前を知ってるのかと思っていた。

「俺はガーリング・エルミットだ。一応英雄と言われているただの学生だ」

「ただの学生が英雄なんちゅう大層なもんにはならんやろ」

 ごもっともで。

「わたくしはランバルト王国第一王女、ティーベル・フォン・ランバルトと申しますわ。ここにいるガーリング卿の婚約者ですわ」

「私はプロメテア帝国第一皇女リーゼロッテ・フォン・プロメテアだ。ティーベル同様ガル殿の婚約者だ」

「私はリリア・バルマント、バルマント公爵家の娘です。私もガーリング様の婚約者です」

 三人が言い終えると間ができる。どうやらフィリアとライカーンのどちらが言うか迷ったようだ。しかし変な空気にならないようすぐさまライカーンが声を出す。

「私はライカーン・ミューストンだ。王国からは子爵を賜っている」

 ライカーンが言い終わるとそれで終わったと思ったのかヨシュラが声をかけてくる。

「ガーリングはんも女結構侍られとるんやな。英雄色を好むっちゅうことかいな」

「侍らせてはいない。将来一緒になる約束をしているだけだ」

 この勇者は一々変な言い方しかできないのかよ。侍らせるってのはお前の今の状況のことを言うんだよ。

「それにしても勇者様と御三方はお付き合いをされているんでしょうか?」

 見ればわかるだろう質問をライカーンがする。普通恋人でもない相手の胸を揉んだりしないだろう。

「付き合ってないで」

「え?」

 衝撃の事実だった。てかこいつ相手に驚かないことがあったか?

「こいつらは相性の合う最高の仲間や。それだけでいいんやないか?」

「そ、そうですか……」

 それだけでいいわけあるか!あのライカーンだって地味に顔が引き攣ってるぞ!

「それにしてもグリーリッシュ枢機卿の会わせたい相手が勇者様だとは思いませんでしたわ」

 変な空気になる前にティーベルが気を利かせた質問をする。ナイスだ。

「そうですね。皆さまが長旅でお疲れのところだと思っておりましたがちょうどヨシュラがワシの屋敷にしたのでいい機会かと」

 たしかに早いうちに勇者と顔を合わせられたのは幸運だ。

「それにしてもそっちはカワイ子ちゃんたちが多いな。ガーリングはんの婚約者じゃあらへんかったら狙っとったのになー。今からでもワイの婚約者になるつもりあらへんか?」

「「「ないです(わ)」」」

「即答かいな!?」

 全員に振られててちょっと優越感を感じる。

「そんなら後ろのメイドちゃんはどうや?」

「私もすでに先約がありますので」

 フィリアもヨシュラのプロポーズ(?)を綺麗に受け流す。

「ちょっと!ヨシュラにはボクたちがいるでしょ!」

「拗ねるなって、レイナ。レイナも可愛いよ」

「それで騙せると思ってないでしょうね!」

 これで笑いが起こりいい感じに場が温まりつつあった。

 しかしそんな雰囲気をぶち壊す爆弾発言が投入された。

「それで、ガーリング卿にお願いがあるのですが……」

「なんでしょう、グリーリッシュ枢機卿」

「リリア・バルマント嬢をぜひ勇者パーティに入れてほしいのです」

「………は?」

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