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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
神聖ミニナリア法国編
161/176

聖都到着

「ここが……」

「聖都……」

 始めてくるからかフィリアとリリアは街並みを見て呆然としていた。

 聖都の街は全体的に白っぽく清潔感が満ち足りていた。俺も珍しく驚くほどの綺麗さだった。

「そういえばリーゼは聖都に来たことがあるのかしら?」

「昔一度だけな。父上に連れてこられたことがある」

 やはり王族の方たちは聖都に来たことがあるらしくさして驚いていなかった。

「生徒に来たことがあるってことはリーゼはグリーリッシュ枢機卿のことを知っていたのか?」

「いいや。私の時はオーグスト枢機卿が世話をしてくれていた」

「聞いたことないな……」

 そもそもグリーリッシュ枢機卿のことを知らない時点で他の枢機卿を知るわけがないのだがな。

「わたくし、オーグスト枢機卿の名前だけ聞いたことありますわ」

「名前を知っているってそんなに有名人なのですか?」

「ど、どうだったかしら……どうして名前を聞いたことがあるのかしら?」

 フィリアの質問にティーベルは首をかしげる。俺たちに聞かれても困るんだが。

「それはきっとオーグスト枢機卿――――おっと」

 ライカーンが話している途中に馬車が止まった。どうやら目的地に着いたようだ。

 馬車から降りると巨大な屋敷が目に入る。

「デッカ……」

 その大きさは公爵令嬢のリリアから見てもすごかったのか声がもれてしまっている。

 その屋敷からガチャリと音がすると扉が開いて人がぞろぞろと出てくる。

「ようこそおいでくださいました。儂がグリーリッシュ・ハイゼルヘン、()()枢機卿でございます」

 中心にいた人物こそこの屋敷の主であり俺たちを呼んだ張本人、グリーリッシュ枢機卿だった。




「遠路はるばる、よくぞ参られましたな!人類の英雄、ガーリング卿のお会いできたこと、グリーリッシュは一生涯忘れませぬ!」

「こちらこそ、私を聖都に呼んでいただきありがたいことです。このような機会を設けていただき感謝の念に堪えません」

 すると今度はグリーリッシュの狙いが後ろの二人に変わる。

「これはこれは、ティーベル王女にリーゼロッテ皇女ではありませんか!二つの大国の姫君が一度に訪れてくださったこと、このグリーリッシュは感激しております!」

「グリーリッシュ枢機卿、お久しぶりです」

「ライカーン卿もお久しぶりですな!このような場で会えて光栄ですぞ!」

 グリーリッシュの容貌で一番目につくのは肥満体系だということだろう。宝石も多数身に付けており派手な色合いだ。

 さらに特徴なのは声だ。俺たちに挨拶する度に大袈裟に騒ぎ立て身振り手振りで歓迎している。正直胡散臭さが溢れている。

「して、この方たちは誰なのでしょうか?」

「ご挨拶が遅れて誠に申し訳ございません、グリーリッシュ枢機卿。私はランバルト王国宰相リューク・バルマントの娘、リリア・バルマントと申します。グリーリッシュ枢機卿にお目にかかれたこと、光栄の極みにございます」

 リリアは淑女として、貴族令嬢として完璧な立ち振る舞いでグリーリッシュに挨拶をする。

「おぉ!貴方が噂のリリア殿でしたか!ランバルト王国有数の光系統魔術の使い手と聞き及んでおります。ぜひ聖ミニナリア法国に来ていただきたいと思っておりました!」

 リリアとの顔合わせが終わり次はフィリアの番になった。

「貴方もさぞかし有名な方なのでしょう。無知な儂にその名をお聞かせください!」

「い、いえ。私はそんな大した身分ではありません。私はガーリング様の従者として同行させていただいているフィリアです」

 フィリアは自分の身分を明かすとグリーリッシュの態度が一変した。

「はぁ……たかがメイドか。そんな奴のためにへりくだったのではないわ」

 グリーリッシュの瞳は軽蔑をしているようで冷たいものだった。

 しかしさきほどのグリーリッシュの言い方には腹が立つ。

「グリーリッシュ枢機卿、その言い様はないのではないでしょうか」

「……どうしてですかな?」

 グリーリッシュはまだ笑顔を張り付けているが完璧には取り繕えてはおらずやや引き攣っている。

「彼女は私の従者で平民だとしてもそこまで差別されるものではありません」

「……確かにそうでしょう。しかし平民と我らは必ずしも同じでは身分ではないはずです。彼らがへりくだることはあっても我らがへりくだることはあってはならないのです」

「そのことは理解しております。その考えが悪いとも思いません。ですが言い方というものがございます。もう少し優しく言うことはできなかったのですか?」

「……お言葉ですが、自分の従者だからと言って甘過ぎはしませんかな?」

「……なに?」

 グリーリッシュの言葉にカチンときて殺気を放ちそうになった時、俺の手が引かれたきがした。引いたのはフィリアだった。

「もういいよ。ここで悪い印象を与えるのはよくないよ」

 フィリアの言い分はもっともだ。俺はフィリアを貶されて少々熱くなり過ぎていたのかもしれない。いったん冷静になって落ち着こう。

 俺は深呼吸して呼吸を整える。

「申し訳ありません。どうやら熱くなりすぎてしまったようです」

「いいのですよ。分かってくれれば、ね」

 グリーリッシュはそう言うと背を向けて歩き出した。

「ついて来てください。お疲れのところ申し訳ないのですが会わせたい方々がいるのです」

 謝罪をしないグリーリッシュに俺はこのからやっていけるのか不安になった。

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