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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
16/176

無詠唱魔術

 あれから数日。

 ティーベルはすでに全属性の初級魔術の無詠唱魔術を習得していた。これは驚くべきことだ。これほどの者は前世でもなかなかいなかった。余程魔術との親和性が高いのだろうな。

 リリアも順調に成長しているがティーベルのようにはいってない。まだ適正のある水属性の初級魔術しか無詠唱魔術を習得できていない。とは言ってもフィリアに比べたら上出来だ。

 そして今日はその成果をクラスで発表する。

「それではティーベル様、リリアさん。お願いしますね」

「「はい!」」

 ティーベルとリリアは的に向かって無詠唱魔術を放つ。ティーベルは『火球』を、リリアは『水球』を。

「ほ、ほんとうに使えてる…」

「マジでかよ…」

 他のクラスメイトが呆然とつぶやく。

「やったね、ティーベル!」

「よかったわ、リリア!」

 二人が手を取り合い喜ぶ。二人とも、この数日の間にかなり成長したからな。

「うそだ!」

 そこに待ったをかける生徒がいた。ヨノーグスだ。

「こんなものありえない!どうせ不正か何かだろ!」

「ヨノーグスさん、それはどう言う意味でしょう?」

「ティーベル様は魔術の天才とは言え無詠唱魔術を習得できるはずもない!そもそも無詠唱魔術などこの世に存在しないんだ!」

「今わたくしが使ったものを見ましたでしょう?無詠唱魔術は存在するのです」

「うぐ…し、しかし!」

「そこまで言うなら戦ってみればいいじゃないか」

「なっ!が、ガーリング・エルミット!」

「お前が俺の事をどうこう言うことにはどうでもいい。だが人の努力を踏みにじるような発言は看過できない」

「ハン!いいぜ!やってやろうじゃねぇか!」

「ガーリングさん」

「先生、立ち会いをお願いします」

「……わかりました。しかしくれぐれも大怪我をさせないようにしてくださいね」

「わかっていますよ」

 俺はヨノーグスに向き合う。

「ここでハッキリさせてやるよ!」

 ヨノーグスは剣を抜く。この学校は帯剣を認められている。

「ガーリング、早く剣を抜けよ」

「その必要はない」

「そうか、テメェは剣が苦手なんだな!」

 俺の本来の戦い方は剣を使いながらの魔術戦だ。魔術師はめったに剣を使わないがヨノーグスは俺と同じ戦闘型なのか。こいつには剣を抜く必要はない。それにこの剣は貧弱すぎて本気で振れないしな。







「それでは、始めてください!」

「魔力よ、体に満ちて恩恵を与えよ!『身体強化オーバーエフェクト』」

 ヨノーグスは突っ込んでくる。身体強化はなかなかと言ったところか。演唱魔術の中ではだが。

「うおおおおぉ!」

 俺は振り下ろさせる剣を避ける。

「チッ!ちょこまかと動くんじゃねぇ!」

 ヨノーグスは次々と剣を振る。なるほど、剣は副次的なものではなく主体としているのか。

「くそ!どうして当たらないんだ!?」

「どうした?俺は詠唱してないが?」

「黙れ!」

 俺は大きく下がる。

「この!」

「芸がないぞ」

「うるせぇ!魔力よ、土となって敵をうがて!『石弾』」

「はぁ。軽すぎる」

 俺は魔力障壁を展開させずに直接受ける。

「ハハッ!ざまぁねぇな!………は?」

「こんなもの、痛くも痒くもないぞ」

「貴様…化け物め!」

「酷い言い様だな」

「チッ!このぉ!」

 ヨノーグスの剣を避けて腹を殴る。

「カハッ!」

 ヨノーグスが吹っ飛ぶ。

「これで終わりだ」

 俺は『火球』を放つ。

「うわああああああ!」

「そ、そこまで!」

 爆発が起きてから先生が終了の合図をする。……死んではないはず、だよな?







「おい、生きてるか?」

「う…ぐ…」

「はぁ…『回復』」

 俺は光系統の魔術を使って喋れる程度に直してやる。

「ほら、何か言え」

「…くそが」

「……もっかいやっとくか?」

 俺は手のひらに『火球』を生み出す。

「ちょっちょちょちょっと待ってください!それ以上はヨノーグスさんが死んじゃいますから!」

 先生に止められたから『火球』を消す。

「し、心臓に悪いのでやめてくれます?」

「それはこいつに言ってください」

 俺はヨノーグスを指さしながら言う。するとヨノーグスは顔を青ざめていた。

「こ、殺さないでくれ…」

「ほんとめんどくさいな、お前…」

 ゲンナリするわ。

「ガル様、お疲れ様です!」

「カッコよかったよ!」

「災難でしたわね」

 三人が俺に駆け寄ってくる。

「ガル様、最後の『火球』、かなり手加減されていましたよね?」

「まぁな。いくら初級魔術と言っても死にかねないからな」

「では、ヨノーグスさんの『石弾』から体を守ったのはなんですの?魔力障壁を展開したようには見えませんでしたが…」

「単なる身体強化だよ」

「身体強化って防御もできるの!?」

「防御ってわけじゃないさ。単純に身体の強度が上がっただけだよ」

「身体強化にそんな効果があるなんて…」

「身体強化は動体視力や反応速度を上げるだけじゃない。簡単に言えば魔物と同じようなようなものだ」

「魔物、ですか?」

「あぁ。魔物は膨大な魔力を身体に回すことで防御力を上げている。それと同じように、身体強化も身体に魔力を巡らせることで防御力があがるんだ」

「そういうことだったんですのね。勉強になりましたわ」

 ティーベルは勉強熱心だな。

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