従者はしっかり者
ネットが死んでしばらく書けませんでした。ちょっと日数空いたのは許してください
ガーリングとわかれた四人は闘技場に向かって走る。
「こっちだ」
城に一番詳しいリーゼロッテを先頭にティーベルたちは城の中を走る。
「前方に兵士二名いますわ!」
探知魔術に魔力反応があったのかリーゼロッテに知らせる。
「すぐに眠らせればいいか?」
「いえ。少しの間でも声を上げられたら終わりですわ。避けた方がいいと思いますわ」
「ならここを曲がろう」
そう言ってリーゼロッテは近くにある角を右に曲がる。
しかししばらく進むと―――
「また兵士がいますわ」
「ならばここを―――」
「また兵士が―――」
「ならばこっち―――」
「また―――」
「ならば―――」
そうしているうちに敵兵に囲まれてしまっていた。
「右も左も敵ばっかりですわ……」
「完全に包囲されてるってわけね……」
ティーベルとリリアは冷や汗を流す。
「仕方がないですね」
フィリアは一歩前に出る。
「ここは私たちが残ります。リーゼさんは先に行ってください」
「しかし!」
「これはもともと決めていたことです。それにここでもたもたしていればギルディア様に気付かれてしまいます。今は別行動することが最適です」
「「「……………」」」
「……なんですか?」
三人はポカンとした顔でフィリアを見る。
「あ、貴方…本当にフィリアなのかしら?」
「失礼ですね」
「でもいつもと違って理路整然としてるっていうか……ぶっちゃけ別人みたい」
「ほんっとうに失礼ですね!」
ティーベルとリリアの物言いにフィリアは憤慨する。
「これでも私はガル様専属のメイドです。私がしっかりしないと後ろすら歩けませんから」
フィリアは困ったように笑う。
「それでもいつか、後ろではなく隣に立ちたいと思っています。だからこんなところで立ち止まってはいられないんです」
「フィリア……」
リーゼは眩しそうに目を細める。
「そうね。だったら私も頑張らないと」
「ええ。フィリアには負けていられませんわ」
リリアとティーベルもやる気に満ちた表情を見せる。
「ということでリーゼさんは行ってください。道は私たちで切り開きます」
「……わかった。よろしく頼む」
「そんな申し訳なさそうにしないでください」
「フィリア?」
「お兄さんを助けたいんですよね?だったら迷わないでください。迷っていたら助けられるものも助けられませんよ」
「まさかフィリアに励まされる日が来るなんてな……」
「だーかーらー……失礼ですね!!」
さすがのフィリアも激おこである。
「とにかく、お兄さんをなんとかできるのはリーゼさんしかいないんです。リーゼさんのために私たちも、もちろんガル様も戦うんです。だからリーゼさんも戦ってください」
「……フィリアって強いのだな」
「ガル様に鍛えられましたから」
フィリアは小さな胸を張る。
「話が終わったところでどうするか話し合いますわよ。と言っても確認だけですが」
ティーベルは話を仕切るように手を叩く。
「まずは敵中突破ですわね。最短ルートで闘技場へ向かいますわ。その後、闘技場の前でわたくしとフィリア、リリアで敵を阻みますわ。それでよろしくて?」
「はい!」
「もちろん!」
「それで早速いきますわよ!」
ティーベルは真っ先に走ろうとして立ち止まる。
「……闘技場ってどこかしら?」
そう聞くティーベルの顔は真っ赤になっている。
「なんというか締まらないわね」
「でもティーベルさんらしいです」
「わ、笑わないでくださいまし!」
ティーベルはぷっくり頬を膨らます。
「プッ……アハハハハハ」
「り、リーゼまで!?」
「す、すまない……だが、面白くてな……」
リーゼロッテは必死に笑いを押し殺そうとするもあふれ出す。
「さぁ、リーゼさんが私たちを導いてください」
「………あぁ!」
一瞬リーゼロッテはきょとんとするも力強く頷く。
「行こう!」
リーゼロッテは走り出す。そして三人は後に続く。
「何者だ!止まれ!」
兵士とすれ違い大きな声で呼び止められる。
「って姫様!?」
そして近づくと顔がはっきりと見えたのか兵士は驚愕の声を上げる。
「すまないな」
リーゼロッテはすれ違いざまに兵士の後頭部を殴って気絶させる。
「て、手際がいいね……」
「剣士たる者、体術も修めているさ」
リーゼロッテは力こぶを作る。
「いたぞ!侵入者だ!」
さっきの大声で居場所がバレたのか追ってくる兵士の数はだんだんと増えていく。
気付けば数十人もの兵士が四人を追って迫っている。
「待てー!」
「逃がさんぞー!」
「うわー……結構人数いるねぇ……」
「人気者ですね」
「そのポジティブさは見習いたいわね……」
そうこうしているうちに闘技場の前までたどり着く。
「ここが、闘技場だ」
目の前には大きな扉がある。
「つまりここから誰一人として通さなければいいわけね」
リリアは悪い笑みを受かべる。
「リーゼさん、ここは任せてください」
「フィリア、ありがとう……」
リーゼロッテは扉を開けて中に入る。
三人はそえを見届ける前に背を向ける。
そしてギィと扉の締まる音がする。
「この三人だけっていうのも懐かしいね」
「言われてみればそうですね」
「では久しぶりの連携と行きましょう」
三人は一斉に向かってくる敵兵に臨戦体勢に入った。