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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国動乱編
135/176

長い一日 昼

 戴冠式は無事に終わりパレードに移行する。



 ジークに同行するのは護衛の騎士たち、公爵家の当主とその子息や令嬢、王女の二人、一応この国の英雄の俺、帝国から来た皇帝とリーゼ、そしてジークの婚約者であるシャルロッテだ。

 公爵家の当主とその子息や令嬢が同行するのはもっとも爵位の高い者たちが今後とも新国王に忠誠を誓うことは国民に知らしめる目的がある。

 ティーベルとクリスティーナは王族として争いの種にならないようジークに逆らわないようにととのこと。

 皇族は王国が代替わりしても王国との関係が続くことを証明するため。

 俺は強すぎて誰かが王国に反旗を翻す際の旗頭にするのを防ぐ目的だ。ティーベルの婚約者としての顔見せはついでらしい。

 シャルロッテはジークの婚約者で次期王妃なのだから当然だろう。

 ジークとシャルロッテは今日の主役であるため一番豪華な馬車に乗ることになっている。王女たちも馬車での移動ではあるが当然ジークたちの物より劣る。

 俺を含め貴族たちは基本的には馬に乗ることになる。

 馬に乗れないご令嬢は父とともに乗るらしい。

 俺はぼっちかぁ……子供もしないし一人なのはわかるけど釈然としないなぁ……

「ガルくん、よかったら一緒に行く?」

「リリアはリューク様と行く予定だろ」

「でもガルくん寂しそうだったし」

「え?」

 そんなにわかりやすかったのか?

 顔が熱くなってしまう。

「あれれ~?顔が赤いよ?」

「その笑みやめろ……もう行け……」

「はーい」

 リリアは上機嫌になり離れていく。

「なんだか疲れた……」

 なんですでに疲れてんだろ?リリアのせいだな、うん。





 時間となり王城からジークを乗せた馬車を先頭として出発した。

 王都には昨日までなかった飾りがそこら中にあった。

 王都の道には王都中の民たちが出てきているのか大変混雑している。

「押さないで!身を乗り出さないで!」

 警備の衛兵が声を張り上げている。

 それほどまでに民衆が集まっている。

「ジークロットさまあああ!」

「相変わらず凛々しいお姿!」

 ジークの民衆人気はすさまじいようで声がとてもよく響いている。

「ティーベルさま、こちらを向いてください!」

「好きです!」

「クリスティーナ様もとても可愛らしいですよ!」

 王女二人の人気もあって感性もよく聞こえる。しかし心なしか男性の声が多い気がする。あとどさくさに紛れて告白した奴いたよな。あとで喧嘩するか?

 その後も公爵家の人間が通るとその公爵家の歓声が沸き合っている。

 この国の王侯貴族が国民に人気がある証拠だ。

 そしていよいよ俺の番が回ってくる。

「おい、あっち見ろよ!」

「ん?子供?」

「確かに子供だがあの方が騎士爵を貰ったっていうガーリング様だ」

「あんな子供がか!?」

 俺に向けられているのは歓喜と困惑の入り混じったものだった。

 俺は王都では有名人だから子供というのは知られているはずだがなぜ困惑されているのだろうか。

 そこで俺は彼らが王都以外の街から来た人たちだと思い当たった。

 新国王の即位は国の一大事だ。一目見たいと思い人も大勢いることだろう。そして俺の素顔を王都以外の人たちは知る機会がない。だから俺が子供だと驚くことに不思議ではない。

 皇族が姿を見せると民衆は驚いていた。

 帝国との同盟を結んでいるとはいえ王国の国民が皇帝を目にする機会は一生に一度あるかどうかだ。しかしこうして皇帝自らが出向いていることに王国と帝国の結びつきを強く感じた。

 そして皇帝のオーラにも圧倒されていた。ジークがいくら剣が得意と言ってもバルザムークに比べればまだまだ経験が浅い。体から発せられる気迫も当然違う。

 それでもジークと比べられてしまうことは王として仕方がないことなのかもしれない。




 パレードは恙なく進行し後半に差し掛かっている。

 その頃になると民衆の関心はジーク一人に寄せられていた。

 しかしそうなると隣に座る女性にも目が行くのは必然と言える。

「あの女性がジークロット様の婚約者か?」

「そうらしい。ヘルサル公爵家のご息女だってさ」

 シャルロッテは自分に視線が向けられていることに気が付くと笑顔で手を振る。

「なるほど。確かに女性だな……」

 手を振られた男性は鼻の下を伸ばしていた。人の婚約者になんてだらしない顔を向けるのやら。

「シャル、手を」

「はい」

 シャルロッテは手を差し出しジークはその手を握る。

 二人は立ち上がるとまるで見せつけるように体を寄せ合う。

 これには民衆たちも歓声を上げる。

「新国王夫妻は仲睦まじいな」

「これで王国も安泰よ!」

 多くの民衆が喜びを露わにしている。

「何やってんだか……」

 俺は誰にもバレないようにそっとため息をつく。

 なぜジークがあのような行動を起こしたのか。

 理由は簡単、ヤキモチだ。

 自分の婚約者であるシャルロッテにだらしない顔を向けられていたことに妬いて彼女は俺のものだと主張しようとしたのだ。

 まあジークとシャルロッテが仲いいのは王国にとっても嬉しいことだから歓迎するけど一般民衆に嫉妬するとは重症だな。え?ブーメラン?なんだそれ?

「ジークロット様万歳!新国王様万歳!」

「シャルロッテ様万歳!新王妃様万歳!」

「「「「ランバルト王国万歳!」」」」

 馬車が王城に戻った後も民衆たちの声は王都中に響いていた。

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