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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
帝国動乱編
134/176

長い一日 午前

 翌日になり戴冠式本番となった。

 今日の予定は午前に戴冠式、昼に王都の街でのパレード、夜にパーティーが行われる。

 ティーベルは王族としてパレードにも参加義務がある。

 俺もティーベルという王族と婚姻を結ぶことになる。パレードに参加した方がいいだろう。

 リーゼは帝国の血筋を持つ。帝国もジークの即位を支持するという表明になるはずだ。

 リリアは宰相の娘だし父の付き添いとして参加するらしい。

 しかしフィリアはどうしようか。一人だけ放っておくわけにもいかないし……

「それならばわたくしのお世話係として同行させますわ」

 ということでフィリアはティーベルに同行させることにした。とは言っても基本俺とティーベルは一緒に行動することになるだろう。




 王城に着くとたくさんの貴族が集まっていた。

「それではわたくしはこれで」

 ティーベルはフィリアを連れて奥へと歩いていく。

「あれは!」

 リーゼはキョロキョロと見渡して驚いたように声を上げた。

 俺はその方向を見るとなんと皇帝バルザムークがいた。

 向こうも俺たちに気が付いたようだが文官に案内されているようで近付けないみたいだった。

「私も父上のところに行ってくるよ」

 リーゼも行ってしまった。

「二人だけ、だね」

 リリアは俺の耳元でささやく。

「残念だけど、そうじゃないみたいだ」

「え?」

 俺の言葉にリリアは目を瞬かせる。

「娘がお世話になっているね、ガーリングくん」

「お父さん!?」

 背後に現れたリュークにリリアはビクッと震える。

「こちらこそお世話になっています、リューク様」

「そうか。それでリリア、ガーリングくんとの距離が近すぎるんじゃないかな?」

「そ、そんなことないよ……」

 リリアはリュークの笑顔の圧に負けて引き下がる。

「まったく、困った娘だ」

「でも可愛いですよ」

「……親の前で惚気るとはな」

 リュークは苦笑する。

「リリアはパレードが始まるまで城の応接間で待機していてくれ。きっとヒースロッテ嬢もいるだろうし他のご令嬢もいるはずだ」

「わかった」

 リリアは城の応接間に向かって歩いていく。

「さて、我々も謁見の間に行こうか」

「そうですね」

 俺もリューク様とともに城の中を歩く。




 謁見の間に入るとすでに多くの貴族が並んでいた。

 今日は全ての貴族が集合しているようで初めて見る顔もちらほらと見られる。

「俺はどこに並べばいいんでしょうか?」

 基本的には爵位が高い順に前から並んでいく。しかし俺の騎士爵位は今まで前例がない。

 やはり特権は公爵家並みであるから公爵家に続くように並べばいいのだろうか?

「それならば私の隣にいればいい」

「リューク様のお隣ですか……」

 それは願ってもないことだ。しかもリューク側から誘ってきたから他の貴族に文句を言われる筋合いもなくなる。

 もしかしてそれを理解したうえで誘ったのだろうか?普通にあり得そうだ。





 それから間もなく貴族が全員揃い厳かな空気が流れる。

 父上がどこにいるのか気になったが確認できない。

 国王も玉座に座り王妃と王女二人が傍らに立ちすべての準備が整った。

「ジークロット・フォン・ランバルト様、ご入場です!」

 扉がゆっくりと開かれジークが入ってくる。

 歩く姿は堂々としていて王としての風格を備えていた。

 ジークが玉座の前で止まると貴族は全員膝をつく。間を開けてからジークも膝をつく。

「ジークロット・フォン・ランバルト。そなたは民を思い、国に尽くし、慈愛を持ってその力を振るうことをここにいる貴族に、大勢の民たちに、そして偉大なる祖霊に誓うか?」

「誓います!」

 ジークの宣言に国王は顔をわずかに綻ばせる。

 国王はジークの前まで足を進める。

「励むがよい」

 国王はジークに自分の頭に乗っている王冠を乗せる。

「ありがとうございます。このジークロット・フォン・ランバルト、身命を賭してこの大任を果たして見せます」

「うむ。これよりウォレン・フォン・ランバルトは退位し新国王、ジークロット・フォン・ランバルトが国を統治する!みな、新国王を支え良き国となるようがんばってくれ!」

「「「「はっ!」」」」

 国王―――元国王ウォレンは端に移動する。それに続いて王妃も移動する。

 空いた玉座とジークの間には隔てるものは何もない。

 ジークは悠然と玉座に歩み寄る。玉座の前まで来ると躊躇なく座る。

「みな、面を上げよ」

 その言葉に貴族全員が従う。

「余が新しき国王だ!みな、余とともに新しき時代を築き上げるぞ!」

 リュークが一歩前に出る。

「我ら一同、ジークロット新国王様に忠誠を捧げます。貴族を代表しバルマント公爵家当主、リュークがここに誓いましょう」

 リュークが頭を下げるのに合わせて他の貴族も全員頭を下げる。





「ここで来賓の方より挨拶がございます」

 そして現れたのは皇帝バルザムークとリーゼの二人だった。

「これはこれは。皇帝殿下から直接出向かれるとは恐れ入ります」

 バルザムークは貴族たちの前に出ると立ち止まる。

「ジークロット新国王のご高名は帝国でも聞き及んでおります。この度は即位おめでとうございます。同盟国の王として喜び申し上げます」

 あのバルザムークが敬語使ってると背中がむずがゆくなる。

「バルザムーク皇帝、祝辞感謝します。今後とも王国と帝国は良き関係を築いていきましょう」

 ジークはバルザムークの前に立ち固い握手を交わす。

 王国と帝国の関係はさらに強固ととなった。



 こうして王国の長い一日が始まった。

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