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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
ヒノワ王国編
126/176

男子会

 女湯では女性陣の交友が深まっていた。

 そのころ、男湯では男同士で交友を深めていた。

「それで、ガーリング殿はどういうおつもりで?」

「それはどのような意味ですか、ヨシトモ殿?」

「もちろん、イットくんとツバキ様の婚約の意図ですよ」

 ヨシトモはニッコリと笑う。その笑顔の裏に何を思っているのやら。正直怖い。

「俺は友人としてイットの恋を応援しようと思ったんですよ」

 噓は言ってない。

「その辺しておけ、ヨシトモ」

 未だに追及してくるヨシトモをマサムネが止める。

「その件に関しては我輩も一枚噛んでおる。そう責めるでない」

「責めてはいません。ただ国の一大事を部外者が決めたのでその裏を知りたいだけです」

 ヨシトモは俺を一瞥すると酒を飲む。

 ……この人たちさっきまで飲んでたのにまだ飲むの?

「ハクトはこの結果に納得しているのか?」

「…………」

 ハクトは何も言わずにただ酒を飲んでいる。

「……オレはいいと思っている」

 ハクトは間を開けてから自身の思いを口にする。

「イットはもともと正義感の強い子だった。そんな子が王になるのには反対じゃない。むしろいいとさえ思う」

「父上……」

 父の言葉に感動したのかイットは目を潤ませている。

「では少し真面目な話をしましょう」

 俺は場を取り仕切る。

「さきほどははぐらかしましたがイットとツバキを婚約させたことには当然意味があります。まず一つはこの国における最高権力者とのコネ、そして恩を売ることです」

「それは道理よな」

 俺の思惑にマサムネは理解を示す。

「俺がこの国を助けに来たのはそもそもツバキが目的ではありません」

「うちの娘の何が不満なのだ!」

「めんどくさいな!」

 これだから親バカは話が進まん。

「俺の目的はヒノワ王国との関係を作ることでした」

「理由を話せ!」

「不満はありませんが俺にはすでに婚約者がいました!」

 まじでめんどくせえ!

「本来の予定ではサクッと国を救いマサムネ殿に恩を売るだけのつもりでした」

「リヴァイアサン相手にサクッとって言うところがガーリングらしいというか何というか……」

 もうツッコまんぞ。

「ですがまずヒノワ王国の兵たちを鍛えるという異常事態になりました」

「それに関してはすまなかったな」

 ハクトが頭を下げる。

「そしてその中には問題児もいて大変でしたね」

「うぐ……」

 イットは顔をしかめる。

「それでも接していくうちにその人のことが分かっていったんです。そしてイットなら王になれるかなぁ、と」

「なんでやねん!」

 イットから盛大なツッコミを受ける。

「でも実際イットには王としての器があります。イットは賢い王にはなれない。でも人を尊重することができる。そして後者の方が人々に好かれやすい。それだけの話です」

 昔のイットは俺たちに突っかかってきた。その行為は決して褒められるものではない。しかしその理由は国や大切な人を守るため。その根幹があるからこそイットが強くなった。これ以上に王としての素質がいるだろうか。

「それにイットなら俺を裏切ろうとはしないはずですし」

「それが一番の本音なんじゃねぇの!?」

 ソンナコトナイヨ?

「では二つ目は何ですか?」

 ヨシツグが質問してくる。

「そこはやはり国同士のつながり、でしょうか」

「国同士のつながり……それは一つ目と何が違うのですか?」

「え?」

 ヨシツグが何を言っているのかわからなかった。何が違うって何もかもが違うでしょ。規模とか関わる人とか。

「ガーリング殿はランバルト王国の貴族と聞いています。その貴方がイットと関係を持つこととヒノワ王国とランバルト王国の関係を持つことは同義だと思いますが……」

「全然違いますよ……ん?」

 そこで俺は認識の違いに気付く。

 確かに俺は王国貴族だが普通の貴族ではない。おそらくそこが分かっていなかったのだろう。

 俺は騎士爵について説明する。

「つまり国とガーリング殿は別物だと?」

「そうですよ」

「信じられません……」

 ですよねー。

 俺も最初に聞いたときは耳を疑ったもん。

「よく他の貴族が納得しましたね。もっと反発があると思いましたが」

「納得はしてないと思いますよ。ただ表立って反対できないだけで、ね」

 貴族にだってプライドがある。それなのにそんないいとこどりの爵位を与えたとなればどれだけ国に有益であろうとも心の底から喜ぶことなんてできない。

 それは偏に婚約者であるティーベル、リリア、リーゼの三人のお陰だ。

 特に三人が何かしているわけではない。しかし婚約者であるだけで抑止力になっている。後ろ盾として国王、公爵、皇帝がいるという証明になっているからだ。

「だがそれだけの価値があると王国で示したということ。それだけで尊敬に値する。そしてそんな人物を抱えている国と敵対する理由もない。我がヒノワ王国はランバルト王国と友好な関係を築いていきたいと思っておる」

 マサムネはランバルト王国との友好関係を築くことに賛同の意を表明する。

「私も賛成です」

「問題ないぞ!」

 ヨシトモとハクトの二人も賛成みたいだ。

 現重要人物から賛同を得た。これで二つ目の目的もクリアだ。

「次期覇王様も問題ないな?」

「恥ずかしいからその呼び方やめろ。でも俺もいいぜ。お前とやり合うなんて御免だからな」

 別にランバルト王国と戦うことになっても俺は陣頭に立たないけどな。

 継続的な交流も確約された。完璧だ。

 その後は男性陣で談笑を続けた。

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