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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
12/176

公爵令息

「みなさーん、席に座ってください」

 王女とのゴタゴタがあって忘れてたけどまだ登校したばかりだったな。なんかもう疲れた。俺が国に仕えないのはこういう上下関係がめんどくさかったからなんだよな。

「私はこのクラスを担当するミーナですよ。よろしく、ね」

「「「「…………………」」」」

「誰でもいいから反応して!」

 俺たちSクラスの担当するのはミーナ先生。先生の中でも若く、20代だと思う。しかも可愛らしい。しかし大人の女性が茶目っ気たっぷりにウィンクするのはどう反応すればいいのか…クラスが静まり返ってしまった。一つ言えるのは、なんというか、痛い。

「コホンッ」

 咳払いで立て直す。

「これから皆さんはこの英雄学校で様々なことを学んでいただきます。しかしその前にまず四人パーティを決めてもらいます。パーティとはこれからの学校生活で共にしてもらうグループのことです。誰と組んでいただいても構いません。期限は明日までなので早めに決めてくださいね。今から少しだけ時間を取りますから交流がてら誘ってみるのもいいかもしれませんね」

 先生がそう言った途端、周りに人だかりができる。主にフィリア、リリア、ティーベルである。

「ティーベル様!ぜひ同じパーティに!」

「リリア様!共に学校生活を楽しみませんか!?」

「フィリアさん!俺が守ってあげるから一緒のパーティに!」

「申し訳ないけどけど断らせてもらいますわ」

「ごめんなさい、先約があるので」

「す、すいません!大丈夫です!」

 彼女たちは多くの誘いを一刀両断。そして俺の方を向いて

「ガルさん、もちろん同じパーティになってくれるわよね?」

「ガルくん、一緒のパーティになろ!」

「ガル様、私もお供させてください!」

 俺にパーティの誘いをしてきた。

「いいのか、俺で?」

「問題ないですわ」

「私はガルくんがいいの!」

「ガル様が私の師匠なので!」

 三人の意思は固いようだ。

「わかった。組もう」

 こうして俺たち四人はパーティを組んだ。






「多くの人が少ない時間でパーティを組めたようでよかったです。毎年人気の人の取り合いで時間がかかるのですが皆さんは優秀ですね」

 先生が褒めるがそれは違うと内心で思う。人気者三人が首席とパーティになって誰も何も言えなくなっただけだ。現に「あいつ何様だ」という視線をたくさん貰っている。魔術の天才の美しい王女と見目麗しい公爵令嬢、そして可愛らしい従者。これだけのメンツと行動を共にするとなると相応の身分が必要になりそうだが、生憎と俺は男爵の次男。次男は家督を継げないし、男爵という貴族の最低の位。視線が痛いのなんの。

 先生からの注意事項が終わり今日は解散。のはずだが一人の男子生徒が帰る俺の前に立ちはだかる。

「お前、いい加減にしろよ!」

「何のことでしょう?」

「その従者だけでなくリリア様とティーベル様までも同じパーティになるとは不愉快だ!すぐに解散しろ!」

「勝手な物言いですね。そもそもあなたは誰なんですか?」

「なっ!この俺を知らないだと!ふざけるな!」

 すると近くにいたリリアが耳打ちしてくれる。

「あの人はシュレースヴィヒ公爵のご子息、ヨノーグス・シュレースヴィヒさんだよ」

「公爵家の人間か、めんどうだな…」

「貴様!今なんと言った!?」

「何も」

「そうか!まぁいい」

 どうやら俺のつぶやきは聞こえなかったようだ。よかった。

「聞けば貴様、長男でもないらしいな!そんな男がリリア様とティーベル様に近づくな!そのお二人に相応しいのはこの俺だ!それにその従者も俺に仕えるのがいい!俺に寄越せ!」

「何言ってるのか意味がわかりません。あなたの発言は彼女たちの意志を反映したものなのですか?」

「ぐっ…こ、心ではそう思っているはずだ!貴様が弱みを握っているかなんかだろう!そうでなければお二人が貴様と共にいるはずがない!」

「どうしてそんな考えに――――」

「ヨノーグスさん、それは聞き捨てなりません!」

 突然横からリリアが出てきた。

「り、リリア様!?」

「私は私の意思で彼の隣にいます。いくらあなたでもこの方の侮辱は許せません!」

「ですがリリア様は公爵家の人間。それ相応の身分のものと行動するのは当然です!」

「そんなもの私には関係ありません!」

 だんだん二人がヒートアップしていく。止められなくなってきた。

「二人とも落ち着いてください!」

「「っ!」」

 場を収めたのはティーベル。

「リリア、少し頭を冷やして。それにヨノーグスさん、あなたは公爵家なのですからもっと広い視野を持つべきですわ」

「ですが、ガーリングは男爵の次男で…」

「それがどうしたのですか?そもそもここでは公爵も男爵も関係のない、同じ学友ですわ。それでなくとも貴方の言動には目に余るものがあります。反省してください」

「くっ…わかりました。失礼します」

 ヨノーグスは俺を一瞥すると背を向けた。

「助かった。ありがとう」

「気にしないでください。わたくしは当然のことをしたまでですわ」

「リリアも。庇ってくれてありがとな」

「い、いえ…」

「とはいえ、これから面倒くさそうだな…」

 俺はゲンナリしながら帰宅した。

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