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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
ヒノワ王国編
118/176

VSリヴァイアサン②

 あたり一帯を埋め尽くす氷の地面。

 それに兵士たちは度肝を抜かす。もちろん、イットもあっても例外ではない。

「これをたった一人で、とは。ガーリングには驚かされてばっかりだな」

 イットは苦笑いをする。

 イットは驚き疲れて派手に反応する気力がなかった。

 だが動く気力は残っている。

 海面が凍ったということはそこは人が歩けるということ。つまりイットの出番である。



『リヴァイアサンを海上に引き上げる』

 それはガーリングが対策会議で言い放った作戦だ。

『そんなことできるわけないだろう!』

 真っ先に否を唱えたのはイットだった。

『相手は大海原にいるんだぞ!陸に上げるなんてどれだけの距離があると思ってるんだ!』

 イットの言うことはもっともだ。

『イット殿の言う通りだ。さすがのガル殿でも不可能だと思うぞ』

 リーゼも難色を示している。

『別に陸まで行く必要なんてない』

『ではどうするつもりですの?』

『陸がないのなら、代わりのものを作ればいい』



 そしてその結果がこれだ。

「ははは……もうなんでもありだな」

 そして自分がこんな規格外の人物に教えを乞うていたと知り内心驚愕する。

 そしてイットはこうも思う。

 あんな人に認められた俺、ちょーつえーのでは?と。

 実際、イットはこの時代ではトップレベル、ヒノワ王国では一番の実力を持っている。

 イットは途端に自信に満ち溢れる。

 案外、イットはチョロい。





 リヴァイアサンは空から落ちてくる。

 巨大な体に自由落下が加わってすごい勢いで氷の地面に激突する。

 あまりの衝撃に大きな音と振動が発生する。にもかかわらず氷の地面は割れることがなかった。

 リヴァイアサンは海上ではうまく身動きが取れないのかピチピチと跳ねている。

「今だ!」

 俺の合図とともにイット、リーゼ、フィリアが船から降りて攻撃する手はずになっている。

 そして意外なことに、一番最初に船から降りてきたのはリーゼでもフィリアでもなくイットだった。

「俺が一番手だぁ!」

「違うよ!?」

 一番手は俺だよ!

「秘刀『百鬼羅刹』!」

 イットの振るった刀はリヴァイアサンを鱗ごと引き裂き血を流させる。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 リヴァイアサンは今までにないほどの悲鳴を上げる。

「効いてる……」

 イットは自分の力がリヴァイアサンに通じていることにホッと胸をなでおろす。

「まだまだ!」

「いますよ!」

 そしてリーゼとフィリアも続けて船から降りて攻撃を仕掛ける。

「秘剣『旋覇皇狼せんはこうろう』!」

「剣技『双乱輪舞そうらんりんぶ』!」

 リーゼとフィリアの攻撃にリヴァイアサンの血が噴き出す。

「わたくしも負けてられませんわね。『風渦』!」

 ティーベルの放った『風渦』がリヴァイアサンの全体を呑みこみ血の花を咲かせる。

「オレらも行くぞ!」

「「「「おお!」」」」

 ハクトの掛け声にヒノワ王国の兵たちは元気よく返事をする。

 ガルやイットたちの活躍を見て士気は爆上がりである。

 船から大量の矢と魔術が降ってくる。

 それを確認して俺たちは場を離れる。

 ほとんどが鱗によって弾かれるが一本だけリヴァイアサンに突き刺さる。

 ハクトの放った矢だ。ハクトの放った矢はまっすぐ飛びリヴァイアサンの眼に突き刺さったのだ。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 さすがのリヴァイアサンも氷の地面の上でのたうち回る。

 リヴァイアサンの尻尾やヒレは大きいため当たれば致命傷は避けられない。

 激しく動き回るため脅威が倍増だ。

 俺たちはそれらを機敏な動きで避けまくる。

 俺もでかいのをぶちかますとするか。

「『雷虎メネアボルト』」

 雷の虎が現出する。

「さあ、暴れておいで」

 俺が指示すると同時に雷の虎はリヴァイアサンに向かって突進していく。

 リヴァイアサンの鱗を切り裂き、痺れさせる。

「な、なんだあれ?」

 イットが大活躍している虎に驚いて俺に聞いてくる。

「俺の魔術だ。すごいだろ?」

「すごいとかの次元じゃないだろ!」

 まあ普通、魔術は放って終わりだ。一つの魔術はここまで連続で攻撃できない。魔力の流れを動きごとに制御しなければならないからだ。

 俺も雷系統魔術でなければできない芸当である。

「そして最後に」

 俺が指を鳴らすとリヴァイアサンに張り付いていた雷の虎は爆発する。

「な……」

 イットがあまりの出来事に絶句してしまっている。

「いいのか?さっさといかないと手柄が取られるぞ」

「い、言われなくとも!」

 イットはリーゼやフィリアに負けじと刀を振るう。

 少しずつであるがリヴァイアサンの体力もなくなっているのか動きが弱くなっている。

「はああああああああああああああ!」

 イットはリヴァイアサンの腹に幻聖刀を突き刺す。

「………」

 リヴァイアサンはそれきりピクリとも動かなくなった。

「勝った?」

「やったのか?」

 船からそのような声が聞こえる。

「……っしゃああああああああああああああああああああ!」

 イットは拳を真上につき上げ雄たけびを上げる。

「やったぞ、フィリア!」

「はい、リーゼさん!」

 リーゼとフィリアも抱き合う。

 完全に勝利の雰囲気に包まれていた。

 その中で俺だけ警戒を解いていなかった。

 だから気付けた。リヴァイアサンはまだ死んではいない。

「……!離れろイット!」

 俺はイットの真上に魔力障壁を展開する。

「何だ……よ……」

 イットは完全に油断していてリヴァイアサンの尻尾が自分を狙っていたことに気付かなかった。

 魔力障壁に衝撃が走りひびが入る。

 なんて威力だ。あんなの喰らってたら即死だぞ。

「ま、まだ生きているのか!?」

「そんな……」

 リーゼとフィリアはすぐさま臨戦体勢に入る。

 しかしヒノワ王国の兵たちは突然の出来事に戸惑っている。

 そしてリヴァイアサンに異変が起きる。目が真っ赤に染まったのだ。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 咆哮も先ほどまでとは一線を画す威圧だ。

 リヴァイアサンは口を大きく開く。

 するとリヴァイアサンの口に青い光が集まっている。青い光は魔力の塊で俺ですら冷や汗を垂らすほど集まっている。

「何をやろうとしてるんだ?」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 リヴァイアサンの口から青い魔力砲が発射された。

 魔力砲は一直線に飛び直線上にあった船二隻を跡形もなく消し飛ばしてしまった。

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