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英雄騎士の最強魔道  作者: バニラ
始まり編
11/176

王女との邂逅

 試験も無事合格し、英雄学校に入学することとなった。父上と姉上は俺たちの合格発表を聞くと大泣きしながら領地に戻っていった。いくら兄上がいると言っても領地を長い間留守にする訳にもいかないからな。

 そして今日は英雄学校の入学の日だ。

「うぅ…緊張します…」

「フィリアは次席なんだからもっと堂々としないと」

 制服姿のフィリアは新鮮で可愛らしかった。これは人気が出ると思えるほどだ。実際、英雄学校に近づくにつれてフィリアに注目が集まっていく。

「な、なんか変でしょうか?たくさんの視線を感じるのですが…」

「それはフィリアが可愛いからじゃない」

「かわっ!?」

「どうした?」

「い、いえ!なんでも、ありません…」

 フィリアがプスプスと湯気が出るほど顔が真っ赤になっている。熱でもあるのかな?






「ガルくん!」

 英雄学校の門をくぐり、フィリアと歩いていると聞き覚えのある声が聞こえた。

「リリア、おはよう」

「リリア様、おはようございます」

「二人とも、おはよう」

 リリアは早足で俺たちと並ぶと一緒に歩いた。

「ガルくんと同じクラスなんて嬉しいわ!」

「俺もだよ」

 英雄学校のクラス分けは実力順で割り振られる。そのため合格発表と同時にクラス分けも発表されるのだ。

「リリア様、私も嬉しいです」

 フィリアは俺とリリアの会話に入ってくる。

「もちろん、私もフィリアとも同じクラスになれて嬉しいよ」

 傍から見たら仲良しの会話。だけど少しだけ緊張感があるのは何故だろう。

 俺たちは喋りながら登校した。





 教室にはちらほらと生徒がいた。彼らは俺たちを見ると固まった。

「お、おいあれリリア様じゃないか?」

「ほんとだ。可愛いなぁ」

「一緒にいるやつって確か首席だったよな」

「あの子も可愛い!うちのメイドに欲しいわ」

 俺たちが入るとざわめきが広がる。本人にまで聞こえるってどうなんだよ。

「すごい注目されてるね」

「な、なぜ私まで…」

 席は自由らしかったから空いている席に三人で座った。席順はリリア、俺、フィリア。…なぜ!?普通女子同士が隣じゃないの!?

「あいつリリア様の隣に座りやがったぞ!」

「二人はどんな関係なのかしら!」

 教室内が余計にうるさくなる。そんなもん俺が聞きたいよ。

 すると廊下の方でもざわめきが起こった。何かあったのだろうか?その原因もすぐにわかった。教室にティーベル様が入ってきたからだ。

「ティーベル様!おはようございます!」

「ティーベル様!今日もお綺麗ですね!」

 彼女が入ってきてからクラスの男子も女子も彼女に近づいて声をかける。すごい人気だな。

 そんなティーベル様は囲まれてる人たちに笑顔で一礼すると俺たちの方に歩いてきた。

「あなたが首席、ガーリング・エルミットかしら?」

「そ、そうですが、何か用でしょうか?」

「…………」

 ティーベル様が俺の顔を覗き込む。俺を思わず顔をひきつってしまう。フィリアは突然の王女襲来にテンパりすぎてて頼りにならなさそう。ならばと思い、もう一人に祈る。

「ちょっとティーベル!その視線を不躾だよ!」

「…確かにそうですわね。悪かったですわ」

 リリアに俺の思いが通じたのか、ティーベル様を止めてくれた。

「それにしてもリリアが男性といるのは珍しいじゃない。もしかして婚約者かしら?」

「ち、違うよ!……まだ」

「「「まだ?」」」

「ハッ!何でもない!」

 リリアが手をワタワタとさせながら叫ぶ。

「まぁいいわ。ガーリング・エルミットさん、私に仕える気はないかしら?」

「「「………は?」」」

 突然のことに固まってしまう。クラスも静まり返ってしまった。

「どうでしょうか?いい提案だと思うのだけれど…」

「……大変嬉しい申し出ではございますが、お断りさせていただきます」

「「「えぇーーーーーー!」」」

 この答えを聞いたクラスの全員は騒ぎ出す。しかしフィリアとリリアはわかっていたように頷いている。

「…なぜか聞いてもよろしくて?」

 さすがは王族。ちょっとやそっとのことでは動揺しないか。

「俺がティーベル様に仕えるということはランバルト王国に仕えると同義です。それでは世界のバランスが崩れてしまう恐れがあります。それだけは避けるべきであると愚考しているからです」

「……あなたの言うことは理解できました。ですがあなたの力はそれほどまでに強大であり、野放しにしておけないのですわ。それはお分かりいただけますか?」

「それはもちろん。もしこの力が他国に渡ってしまったらと思っておられるのですよね。ですがご心配には及びません。どこかの国に属さないことを固く誓っていますので」

「…それが本当だとしてもこの学校にいる間は共にいていただきます」

「………はい!?」

「それではわたくしはこの席に座りますわ」

 そう言うとティーベル様は俺の一つ前の席に座った。

「それとこの学校にいる間は王女と貴族の子息ではなく、学友と接してください。わたくしのこともティーベルとお呼びください」

「……呼び捨てはさすがに――――」

「命令ですわ」

「…はい。では俺の事もガルと」

「わかりましたわ」

 おかしいな。さっき学友として接してほしがってたのに命令って…

「リリア様だけじゃなくティーベル様まで…」

「あいつマジで何もんなんだ!?」

 すいません。ただの転生者です。………いや普通じゃないな!?

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