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第12話 反撃

「なんだお前は……いったいどうやってあそこから抜け出した!」


 ウィルの姿を見たリッチはうろたえた様子で叫ぶ。

 状況を見ればウィルが彼の作った結界『闇の牢獄』から自力で抜け出したのは一目瞭然。疑いようのない事実だ。


 しかしリッチはそれを認めることなど出来なかった。

 その魔法は彼が魔族の肉体を捨ててまで研鑽を続けて編み出した魔法の一つ。人間……しかもまだ幼い子どもにそれが破られたなど、認めるわけにはいかなかったのだ。


「……どうやら、貴方が元凶のようですね」


 傷ついたカレンとマーカスを見たウィルは、状況を察してリッチのことを睨みつける。

 するとリッチはぞくりと背筋が凍りつく様な感覚に襲われる。既に肉体はないのに、鳥肌が立ったように感じた。


(ありえない、私がこんなガキにビビっているというのか!?)


 リッチが仕掛けておいた罠は、大きな魔力を持った相手にのみ作用するようになっていた。

 なのでリッチは当然成人の魔法使いを捕らえたと思っていた。


 しかし出てきたのは明らかに子ども。その時点で彼はかなり動揺していた。


「罠が誤作動したせいでエラーを起こし結界が解けたか? ……まあ検証するのは後だ。今は私の魔法に泥を塗った貴様を殺すしよう!」


 リッチが叫ぶと地面から無数の骸骨兵士スケルトンが現れる。

 ウィルはそれが召喚魔法だと看破する。これだけのスケルトンを無詠唱で呼び出せるということは、リッチが強力な魔法使いであることを意味する。


 ウィルは気を引き締める。


「行け! 我が兵士たちよ! そのガキの体を引き裂け!」


 呼び出されたスケルトンたちは主人の命を受け、一斉に駆け出す。

 その様はとても恐ろしいものであったが、ウィルは少しも怯むことなく立ち向かう。


三重詠奏トライテット氷結アイス


 そう唱えた瞬間、大量のスケルトンたちが一斉に凍りついてしまう。

 スケルトンは必死に体を動かそうとするが、その氷は硬く指の骨一つ動かすことすら出来なかった。


「おいおい。嘘だろ……?」


 そう驚いたように声を上げたのはマーカスだった。

 金等級ゴールド冒険者である彼は今まで多くの魔法使いと共に仕事をしたことがあった。


 ウィルはその中でも優秀だと道中で思っていはいた。

 しかしそれは支援魔法に関してのみであり、普通の戦闘魔法はそれほどではないのだと、勝手に思っていた。


 しかしそれは間違いだったのだと、彼は理解した。

 その少年は自分の目では測りきることなど出来ない、規格外の存在だとマーカスは痛感した。


「よくも我が兵士を……その罪、命で贖え!」


 リッチは右手を広げてウィルに向けると、そこから黒い波動を放つ。

 それはカレンを苦しめた強力な魔法だが、ウィルは一瞬で自分の周囲に『魔防壁ウォール』を展開してそれを防いでしまう。


「これはアンデッド族が得意とする『瘴気魔法』ですね。強力な魔法だ……」


 ウィルは相手の使った魔法を冷静に分析する。

 人並み外れた魔法能力を持つウィルだが、その肉体は普通の子どもと同程度の強度しかない。もし防御が間に合わなかったら命を落としていただろう。


 しかしどんな魔法も当たらなければ効果を発揮しない。

 防がれてしまったリッチはかなりのショックを受けていた。


「わ、私の黒瘴波動ブラックウェイブが防がれただと……!? このガキ……上等だ!」


 リッチは自分の周囲に黒い剣をいくつも出現させる。

 その魔法には『瘴気』が含まれている。瘴気はアンデッド以外の生物の体に蓄積すると、その箇所を蝕み腐らせる効果がある。

 ゆえにその攻撃を受けたカレンはすぐに弱ってしまったのだ。


 強靭な肉体を持つカレンですらそれだけ食らうのだから、ウィルに当たればすぐにその肉体は腐り落ちてしまうだろう。


「黒魔法――――黒軌衛星サテライト


 その魔法の恐ろしさを理解しているウィルは、黒魔法を発動する。

 彼の周囲に漆黒の球体がいくつも出現し、まるで衛星のように彼の周囲をゆっくりと回り始める。


「認めようじゃないか小僧。貴様は強い、私が倒すに相応しい敵だ! 私の全身全霊を持って……貴様を殺して見せる!」

「はい、受けて立ちます」


 ウィルの返事に満足そうに笑みを浮かべたリッチは、黒い剣を携えるながら襲いかかるのだった。


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