第3話 一休み
カレンさんに連れられて僕は商業ギルド地区にある喫茶店にやって来ていた。
ギルドの建物ばかりのこの地区には、飲食店はそれほど多くない。なのでこの喫茶店はそこそこ人で混雑していた。
普通に休憩している人もいるけど、商談をしているような人もちらほら見る。こういうところには入ったことがないから少し緊張するね。
「さあウィル殿、好きなものを頼んで下さい! もちろん支払いは私がしますので、遠慮せずバンバン頼んで下さい!」
「あ、ありがとうございます。じゃあこの冷たい珈琲を……」
メニューを見ながらいいかけた僕の言葉が止まる。
だってそこには一杯の珈琲とは思えない値段が書いてあったから。た、高くない? 普通の喫茶店の二倍くらいの値段だと思うんだけど。
「この地区は物価が高めなんですよ。ですが気にしないで下さい、こう見えて私はそこそこ稼いでいますので」
カレンさんはそう言って笑う。
彼女は確か白金級の冒険者だったはず。そのクラスの冒険者は、下手な貴族よりもお金を持っていると聞いたことがある。それなら遠慮しなくてもいいのかな……?
とはいえお腹もそれほど空いてない。
僕はアイス珈琲を一つだけ頼んだ。カレンさんは苦いのが苦手らしいので果実水を頼んでいた。
注文をするとすぐに飲み物が運ばれてきて、僕たちはそれを口にしながら会話を始める。ちなみに味はそこそこだった。ルナの作ってくれるのを飲んでいるせいで舌が肥えちゃっているのかもしれない。
「カレンさんはどうして帝都にいるのですか?」
「私はもともと帝都を拠点に活動しているんです。ここの冒険者ギルドは大きいから色んな仕事があるんですよ」
「なるほど、そうだったんですね」
「ええ、ところでウィル殿はなぜここに? あの森からはもう離れられたのですか?」
「えっとそれは……」
僕は帝都に来た経緯を説明する。
もちろん皇族関係のことは抜いて、だ。
「ほう! ウィル殿が教え手に! なるほどそれで帝都に……」
話し終えると、カレンさんはそう大きなリアクションをする。
会ったときからだけど、カレンさんはなんだかとても楽しそうだ。何かいいことでもあったのかな?
「ふむ、しかしウィル殿に教えを請えるとはその生徒さんたちが羨ましい限りだ。私も魔法の素養があれば今すぐにでも魔術師ギルドに入ってるものを……」
「そんな、褒めすぎですよ」
お世辞だとは思うけど、白金級の人に褒めてもらえるのは嬉しい。僕は頭を手で擦りながら照れてしまう。
「なるほど、それで帝都にいらしたのですね。しかしなぜ今日はこの地区に? 特に見て楽しいものはないと思いますが」
「ああ、それは……」
僕はここに来た理由を話す。
ふむふむと聞いたカレンさんは、少し考えたあと口を開く。
「なるほど、話は分かりました。確かに帝都には誘惑が多い、お金が足りなくなるのも分かります」
カレンさんはそう言って頷く。カレンさんも帝都で散財したことがあるのかな?
「であればいいお話があります。この方法であれば短時間でたくさんのお金を稼ぐことが出来るでしょう」
「え、そんな方法があるんですか!?」
カレンさんの提案に僕は体を乗り出す。
いったいどんな方法なんだろう?
「簡単です。私と一緒に依頼に行っていただきたいのです」
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