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第22話 不穏なすれ違い

「無理やり帰らせるなんてひどいわウィルくん!」


 エマとスノウさんと別れた帰り路で、アスタロトがそう大きな声を出す。

 一応謝っておかなきゃと思って呼び出したけど、これなら家に帰ってからのほうが良かったかもしれない。

 他の人に見つかったら面倒くさいことになりそうだ。


「だからごめんって」

「いーえ、駄目です。今回という今回は怒りました」


 アスタロトはそう言うけど、あんまり怒っているようには見えない。

 そもそもアスタロトが僕に本気で怒ったことはない気がする。邪険に扱ってもむしろ喜んでいるようにすら感じる。僕の気のせいだといいけど……。


「罰として今日は私と一緒に寝てもらいます。あの獣人メイドともたまにそうしているみたいだし、いいわよね?」

「あれはルナが寝ぼけて無理やり入ってきているだけだよ」

「かーっ! あれが寝ぼけていると本気で思っているの!? あれは確信犯よ、間違いないわ! あんな嘘に騙されちゃダメよ!」

「えー、そんなことしないでしょ」

「私のご主人さまが素直過ぎる……くっ。あの獣人の毒牙から私が守護まもらなくちゃ」


 一人でわいわい楽しそうに喋るアスタロト。

 まあ本気で怒ってないようで良かった。


 そんなことを考えていると、人がこっちに歩いてくる音が聞こえてくる。

 おっと、アスタロトの姿を見られたら大変だ。


「人が来たからまた帰ってね。話はまた聞くから」

「え、ちょ、ウィルくん、話はまだおわ――――」


 指を動かし、アスタロトを強制的に魔界に送還する。

 悪いとは思ってるけど、流石に人目につかせるわけにはいかない。


 僕は一人で歩いていましたという感じで歩く。すると曲がり角でこちらにやって来た人物と顔を合わせることになる。するとその人物は……僕が知っている人だった。


「え、先生?」


 その人は僕を見て驚いたように目を丸くする。

 きっと僕もこの人と同じ様な表情をしていると思う。まさかここで彼女に合うとは思わなかった。


「……こんばんは、モニカさん」


 その人物は、僕が請け負ってる生徒の一人、モニカ・ゴールドバーグさんだった。

 マイペースで明るい、クラスのムードメーカー。僕から映る彼女はそんな存在だった。

 面倒くさがり屋ですぐに僕を膝に乗せようとする困ったところもあるけど、悩んでる生徒の相談に乗ったり真面目に授業に取り組むこともある、根は優しい子……のはずだ。


 だけど彼女は、夜の帝都を派手な服装の女の人と一緒に歩いていた。その人の目つきはとても悪い。とても一般の人には見えなかった。


「なんだいモニカ、そのガキは」


 その女の人は、僕をギロッと睨みつける。

 するとモニカさんは僕とその人の間に割って入る。


「あ、あの! なんでもないの! なんでもないからほら、早く行きましょ!」


 モニカさんは僕を庇うように女の人の注意を引く。

 いったい彼女はこんな遅くにこんな所で何をやっているんだろう。尋ねたいけど、とてもそんな雰囲気じゃなかった。


「……先生。私のことは放っておいて」


 すれ違いざま、モニカさんはそう言った。

 気になるけど……何も分からないこの状況で彼女の事情に踏み入るわけにもいかない。女の人は普通の友達や、姉妹の可能性もある。

 だから僕は彼女にだけ聞こえるように、こう返した。


「こ、困ってるなら言って。絶対に助けるから」


 そう言うとモニカさんは困ったように笑いながら、僕から離れていく。

 ……どうするのが正解だったんだろう。あれで良かったのかな?


 まだ幼くて未熟な僕には、分からなかった。

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