第7話 魔術師ギルド帝都支部
翌日。
僕は魔術師ギルド帝都支部に訪れていた。
大きな木造の建物だ。外套やローブを着た人がたくさん出入りしている。きっと彼らはみんな魔法使いなんだろうね。
ちなみにルナはお留守番だ。彼女がいると色々と目立つからね。
もし皇子だとバレたら大変なことになる。
「うう、緊張してきた……」
引きこもりな僕は多くの人がいる場所へ行くことなんて滅多にない。初めて会う人と喋ることもないし。
エマはネットで昔から知ってる人だったからまだ大丈夫だったけど、このギルドに居る人は全員知らない人だ。緊張で喉が渇く……。
「あ、師匠だ! おーい! こっちです!」
建物から少し離れた所でできょろきょろしていると、元気な声で話しかけられる。
声の正体はもちろんエマだ。彼女は嬉しそうな様子で僕のもとに駆け寄ってくる。
「来てくださりありがとうございます! さ、中に案内しますね!」
「いや、あの……本当に中に入って大丈夫?」
僕は日和る。
流れに身を任せてこんな所まで来ちゃったけど、やっぱり知らないとこに行くのは怖い。
ギルドにはおっかない人もいるかもしれない。いきなり僕みたいなのが教え手になるなんて言ったら怒られるに決まっている。
やっぱり帰ろうかな……そう思っていると、エマが急に僕に腕を組んでくる。必然的に僕たちの距離は近くなり、ふわりといい匂いが僕の鼻をくすぐる。
「なに言ってるんですか師匠! もうここの支部長には話を通しているんですよ! さ、行きましょう!」
「わわ! ちょっと!」
エマに引きずられるまま、僕は魔術師ギルドの中に入る。
ギルドの一階は受付と喫茶店が同居したような感じになっていた。確か冒険者ギルドは一階が酒場と受付が合体した作りになっていたはず。喫茶店と酒場という違いはあるけど、似てるんだね。
受付横にはたくさんの書類のような物が置かれている。みんなそれを読みながら珈琲を飲んだり会話をしたりしている。
「ここには新しい魔法の情報が集まります。ギルドが発行している新聞や、他の魔法使いが書いた論文など色々。多くの魔法使いは朝ここで情報を仕入れ、それから自分の研究に入ります」
「へえ、そういう感じなんだ」
情報は魔法使いの武器だ。かなり合理的な仕組みなっているね。
「部屋隅には魔法通信網にアクセス出来る端末もあります。自分でネット環境を作るのは大変ですけど、ギルドに入れば無料で使うことが出来ます」
「なるほど。ある時期からたくさんの人がアクセスするようになったけどそれが原因だったんだね」
アクセスする人が増えれば、それだけ入ってくる情報も増える。
ネットからしか情報を得られない僕からしたらありがたい限りだ。
「本当は中を色々案内したいところですが、まずは上に行きましょう!」
「受付とかは寄らなくて大丈夫なの?」
「もう話はつけてあるので平気です!」
エマは受付の人に軽く会釈すると、受付横の階段をずんずん登っていく。
まだ腕を組まれている僕は引きずられるように階段を登る。ギルドの人たちは何をやっているんだろうと僕のことをジロジロと眺める。
そりゃ僕みたいな子どもがこんな所にいれば目立つよね。うう、恥ずかしい……
「着きました! ここが支部長室です!」
階段を登りたどり着いたのは、一際大きな扉のある部屋だった。
ここにこの支部の一番偉い人がいるんだ。いったいどんな人なんだろう。
「いきなり支部長さんに会うの? 心の準備が……」
「お邪魔しまーす!」
「話聞いてる!?」
僕のことなどお構いなしにエマは支部長室へ足を踏み入れる。
しょうがないので僕もその後に続く。
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