第二話 謎の変死体
「うぅむ…………わからん、さっぱりわからん。脈がない上、呼吸もしてねえ。さらに薬物反応もねえなんて、いったいコイツはどうやって亡くなったんだ?」
駅周辺の住宅街。
地域住民の通報を受け、現場にやってきた刑事の北郷 秀虎は髭をじょりじょりと撫でながら、眼前に横たわる会社員の遺体を眺め見る。
ほんの少し前まで、事件の噂を聞きつけた野次馬が群がっていたが、秀虎のヤクザ顔で注意した所、潮が引くようにその場からいなくなった。
「あのぅ、私まだここにいなくちゃいけませんか?」
「あぁ?」
「ぴっ!?」
「おっとすまねえ……別に脅かすつもりじゃなかったんだが。第一発見者の君にはまだ話してもらいたい事があるんで、もうしばらく辛抱しててくれや」
「はっ、はいぃぃ!!!」
現場には秀虎と刑事の仲間、それに検視官と第一発見者の女性がいる。凄味のある顔面で振り向かれた女性は縮こまるように萎縮してしまい、秀虎は居心地の悪さを感じつつ早く待ち人が現れるのをまだかまだかと待っていた。
そんな心情を察したかのように、
「秀虎さん! お待たせしました!」
「お? おお、鳴神君!! 待ちくたびれたぜ!」
「ははは、遅れてすみません」
秀虎の待ち人――先程電話で呼び出された宗士郎が『KEEPOUT』と書かれたテープを潜り、現場へとやってきた。
「いんや、気にすんな。早速なんだが……ん? オイ! 何騒いでんだ!?」
早く用件を話そうとした矢先、宗士郎の後方から聞こえた喧騒が秀虎の鼓膜を撫でる。
「いえ、この子供達が中に入れろと駄々をこねていて…………! コラッ! 部外者は入れないって言ってるでしょうが!?」
「――離してよ~! 私達も鳴神君の関係者なの~!?」
「そうだそうだっ! セクハラ! 痴漢! 変質者! その他諸々の理由で警察に駆け込むぞー!?」
「私がその警察だ!? お前達、公務執行妨害で逮捕するぞ!」
「ひぇえ~!? それだけは勘弁ぅ!?」
騒ぎの元凶は宗士郎の後に付いていこうとして、何故か警察官の一人に捕獲されたみなもと響の二人だった。
「……あ~、確かみなも嬢ちゃんと沢渡君、だったか?」
「ええ、まあ。さっきまで勉強してたんですが、付いてくると聞かなくて…………邪魔にはならないと思うので、入れてやってくれませんか」
「そう、だな。よし、その二人を入れてやってくれ!」
「ほ、北郷さんがおっしゃるなら……二人共、捜査の邪魔はしないようにな」
「わかってるっつーの! けっ!」
現場で恥を晒す身内二人に見兼ねた宗士郎が二人も入れるようにと秀虎に相談。許可が下りると、プンプンと怒りながら響とみなもが現場へと入ってきた。
「よう、久しぶりだなお前達! 大変だったと聞いたが、どうだ? 元気してたか!」
「あばばばば…………!? ひゃい! 元気に過ごしてたでありますぅ!?」
「もももももちろんっ! 元気だったに決まってるじゃん!?」
「もうそのネタ飽きたから震えを止めろ。こう見えて秀虎さんは繊細なんだぞ?」
「こう見えて……?」
相変わらずヤクザ顔で響とみなもが震え上がる中、何度も同じ反応を見てきた宗士郎が見た目と中身は違うと言う。だが、とてもそんな風に見えないみなもは、
「この顔で?」
と、失礼極まりない言い方で秀虎の顔面を指差し、有り得ないよと笑う。若干、みなもの秀虎を向ける指がぷるぷると震えてなくもないが、まるで気にしていないと振舞うかのように秀虎は咳払いをして本題へと入った。
「ん゛ん゛っ、そんな事はどうでもいい。鳴神君に見てもらいたかったのはこれだ」
「っ!」
「お、おい…………これってっ」
宗士郎達は秀虎の後ろに横たわっているものを見て瞠目した。
「人の、死体…………」
地べたで眠るように倒れている男性の死体。ドラマや映画などでもよく見かける、ありふれているようで一般人には馴染み深くない……人の亡骸だった。
「プライバシーもあるから名前は伏せるが、建築関係の人らしくてな。こちらの女性が苦しみ藻掻くこの人を見た後、まるで魂が抜けるように倒れたらしい」
第一発見者の女性が子供であり部外者の宗士郎達を訝しげに見ながらも軽く会釈してくれる。
「少し、触れても構いませんか」
「指紋がつかねえよう、この手袋をつけてくれれば、こっちとしては構わねえよ」
「じゃあ失礼して…………」
宗士郎は許可を取ってから手袋をはめ、遺体の前に屈み両手を合わせて黙禱を捧げる。慌てて付いてきた二人も同じ様にして冥福をお祈りした。
その後、男性の身体に近付く。まず脈を測り、次に瞳孔が開いているか等を確かめ、全身を隈なく観察する。
「あの、何で鳴神君を呼んだんですか? 警察の人でもないのに」
宗士郎が遺体を確かめている中、みなもが小声で秀虎に尋ねた。
「鳴神君はな、俺達警察と同じくらい――いや、それ以上に人の死を目の当たりにしてるんだよ。魔物に殺された人、異能力者をつけ狙う輩とかのな。だから、鳴神君に意見を聞きたかったのさ。本来なら子供に見せるべきもんでもねえのによ」
「(だから、あんなに平然と死んだ人の身体を調べられるんだ。あんなに冷たい顔をして…………)」
みなもは話を聞いて少し後悔した。
人の死体を想像してしまったからではない。短い期間で宗士郎と濃い時間を過ごしてきたみなもにとって、一時は理解できなかった宗士郎の人間性を少しずつでも理解できたと思っていたから――〝鳴神 宗士郎〟という人間は人の死を見ても平気な人間なのだと再認識してしまった。
が、後悔すると同時に悲しみも湧いた。
「(普段はふざけたりするけど、本当は色んなものを背負ってるんだ。色んな人の死を、想いを。自分を傷付けてるわけじゃなくて、問答無用に傷付いてたんだ)」
みなもは以前、真夜中に宗士郎の母親である薫子の前で話した事を思い出し、なんて無神経な事を言っていたのだろうと悔やんだ。
「相変わらず甘い奴だな、嬢ちゃんは。その様子だと、あの日から何も変わってねえみてえだな」
「…………すみません。駄目ですよね、こんなの……」
「いんや、それでいい」
「え?」
秀虎がみなもの心情を見透かしたように言葉を投げ掛ける。以前も同様の事を言われたみなもは今回も否定されると思ったが、その答えは予想に反するものだった。
「前は嬢ちゃんの瞳の奥に迷いがあったから突き放すような事を言っちまったが、今は固い決意があるんだろ? 嬢ちゃんの中に、その強く優しい芯をもっておくんだ。危なっかしい所があるが、必ず誰かを助ける力になるだろうよ」
「北郷さん…………」
「信念がある奴は強い! ってよく言うだろ? 鳴神君も自分の中に信念があるから強いのさ。なにも、冷てえ訳じゃねえよ」
「あ…………」
ようやく納得がいったとばかりに、みなもが息を漏らす。やはり自分は何もわかってなかったのだと。
「まあそういうこった。これでこの話は終いな。そろそろ仕事に戻んねえと部下に怒られちまうぜ」
「……はい! おかげでスッキリしました! ありがとうございます!」
「良いって事よ。後、さっきの俺の顔面の話、結構ショックだったんだぜ?」
「…………すみません」
真面目な話の最後に、顔面の話を気にしていた事を暴露され、みなもは素直に謝った。
「――なるほど。秀虎さんが意見を欲しくなる理由がわかりました」
みなもと秀虎の話し合いが終わった直後、宗士郎は遺体から目を離し、秀虎へと歩みよった。
「宗士郎、なんか変なとこでもあったのか?」
「気付かないのか? 死んでいるのは確かなんだ。見てみろ」
「……あ、死ぬような傷が何処にもない…………」
「そう。魔物に殺された訳でもなく、はたまた人に殺された訳でもない。あるのは…………無数の引っ搔き傷だけ。死因が全くわからない。だから俺を呼んだんですよね」
「ああ」
秀虎が重々しく頷いた。
引っ搔き傷以外の目立った外傷がない上、薬で毒殺された訳でもない。死因がわからない以上、警察の領域外だった訳だ。
「鳴神君なら何か気付くかも、とは思ったんだが、やはり無理か」
「いや、そうでもないですよ」
「どういう事だ」
「和心。出番っぽいぞ」
『はいでございます!』
宗士郎が誰もいない空間に向かって話しかけると、ポンッという音と共に噴出した煙の中から狐人族の少女――和心が出現した。
「うぉおう!?」
「え、和心ちゃんいたのか!?」
先程までは隠形で隠れていた。何もない所から人が現れた事は秀虎にも予想外だったらしく、強面イメージに反して動揺。用件を済ませに現れた和心はすぐさま遺体へと近付く。一応、今の姿は人間バージョンだ。
「な、なな何もんだぁ……!?」
「まあまあ、細かい事は置いておいて。和心、どうだ?」
「むむっ、感じた気配と似たものを感じます。これは…………」
この世界では供給する事のできない神力。睡眠と食事をする事で少しは回復できるようで、溜まった神力を使って男性の遺体を精査し始めた…………その刹那!
――ミツケタゾ、シンテンコノムスメ…………。
「っ!? 和心下がれッ! ハッ!!!」
和心を突き飛ばし、刀剣召喚で刀を手にした宗士郎は遺体から和心に向かって素早く飛来する黒い何かを一刀両断した。
「きゃぅ!?」
「どうした宗士郎!?」
「はあっ、はあっ……何、だ……これは…………」
尻餅をついた和心も、何事かと心配した響をも無視し、宗士郎は斬って真っ二つになった対象を凝視した。
「…………蜂、か? 生命反応は一切なかったのに、どういう事だ…………」
先程調べた際、闘氣法・『索氣』で確かめ男性の遺体から生命反応がなかった事を確認していた。にもかかわらず、遺体からスズメバチのような生物が出てきた。
「いったい何だったんだ?」
「わからない。背中に悪寒が走ったと思ったら、コイツが。そして、今はっきりわかるのは…………近くにいた俺じゃなく、和心を狙ってきたって事だ」
「私でございますか?」
蜂は間違いなく和心を狙ってきていた。それも遺体に最も近かった宗士郎ではなく、一直線に和心に狙いを定めていた。習性的にも、今日の服装が黒でまとまっている宗士郎を狙わず、基本的に明るい色の服で統一している和心を狙う事はまず有り得ない。
「じゃあコイツは、遺体から出てきたコイツは何なんだ…………」
「普通の蜂じゃない事は確かですよ、秀虎さん。こんなに小さい蜂の魔物も見た事ないし……ともかく、遺体を早く処理した方がいいでしょう。親族の方にも話を通して…………」
「――ね、ねえ鳴神君。今さっきなにか、声が聞えなかった?」
今の今まで黙っていたみなもが真意を確かめるように宗士郎へと尋ねた。その表情は不安と恐怖で支配されているようにも見える。
「? 聞こえなかった筈だが…………皆はどうだ?」
「俺は聞こえなかったぜ!」
「私もでございます」
「俺達、警察の仲間もこの女性もだ」
みなも以外、この場にいる全ての人間が謎の声を耳にしなかったようだ。
「え、うそっ…………、絶対何か聞えたよ! 〝見つけたぞ〟って私聞いたもん!?」
「他に何か言ってたのか?」
「うん、確か……〝見つけたぞ〟の後に〝しんてんこのむすめ〟? って言ってたよ」
「…………っ! 私の、事です…………。お母さんの娘である私を探しにきた仲間、という事でございましょうね」
「いや、そいつは有り得ない。和心の――狐人族の仲間なら和心を襲ったりなんかしない筈だ。それに、和心の感じた気配は誰のものだったんだ?」
先程、和心の口から言いかけていた言葉を話すように促すと、
「――悪い気配の方でございます」
静かに、重く。その事実が和心の口から告げられる。
「敵か?」
「十中八九、その通りかと」
「オイオイ、鳴神君。話が見えねえんだが……」
身内だけで展開が早く進んでいた所為で、秀虎は訳も分からず首を傾げる。
「秀虎さん。今回の一件、恐らく『異界』の何者かが関わっています。警察はこの件から手を引いた方がいい」
宗士郎は秀虎に、ここから先は一般人である警察には荷が重いと言外に言い含めた。カタラが来た時同様、和心が悪い気配といったからには、この一件の裏には魔人族が関与している可能性が高い。いくら、『異界魔物対策課』に属する秀虎であっても、この仕事は割に合わない。恐らく警察内部に被害が出るだろう。
「っでもよぉ!?」
「俺達…………異能力者に任せてください」
「ぬぐっ…………」
「秀虎さん!」
「ああっ!? わかった! 今回の件からは手を引く! お前等ッ、撤収の準備だ! 男性の親族にも連絡しとけ! いいな!?」
「……ありがとうございます」
秀虎が警察の仕事で宗士郎を呼んだというのに、大人である警察が目の前の事件から逃げても良いものかと悩む。だが、宗士郎の真っすぐな瞳に根負けしたのか、秀虎は敵わないなと帰り支度の準備を進め始めた。
警察である秀虎は悔しく思う気持ちを隠さず、宗士郎に頭を下げる。
「俺達警察がもっと役に立てたら、守るべき市民である鳴神君達の力を借りずに済んだのにな…………すまん」
「異能力者はそういう運命なんですよ…………和心、念の為に遺体をもう一度調べてくれ」
「はいでございます!」
和心が男性の遺体を片付けようとしていた警察の方に断りを入れて、再度精査した。今度はさらに用心深く、慎重に。
「どうだった?」
「気配は無くなっていたのでございます! 神力に余裕がなければ精密な事はわからなかったですから、運ばれる前に確かめられて幸いでした。これであの方は安らかに眠れるでしょう」
「ああ。そうだな」
和心が感じた気配は男性の遺体からは消えていた。恐らく、先程の黒い蜂が邪悪な気配だったのだろう。警察の人が遺体の回収を行い、先に撤退していった。
「よし! 今回は悪かったな、鳴神君。任せたぜ」
「はい、任されました」
「さっ、貴方も詳しい事情を署で聞くので俺達に同行してください」
「はい――痛っ!?」
秀虎が第一発見者の女性をパトカーに誘導しようとした時、突然女性が悲鳴を上げた。
「どうかしましたか!?」
「っ、ええ、まあ――――ッ!? キャア゛ァア゛ア゛ア゛~~!?」
大事を確かめると一旦平気だと言った女性は再び空気を切り裂くような悲鳴を上げた。悲痛でいて、何故か野太い苦痛の叫びは数秒で収まり、女性の首はだらんと垂れた。
「お、オイ!? 大丈夫か、アンタ! 待ってろ、今救急車を――!」
「……ああっ、いえ!? 大丈夫です! ピンピンしてます、はい!」
明らかに異常だと感じた秀虎は迷いなく救急車を呼ぼうとしたが、女性がその手を止めた。
「ほ、本当か……? 怪我したんならちゃんと治療してもらった方がいいんだが?」
「そこまでじゃないですよぉ~! 多分アブにでもやられたんだと思います。私、怪我とかした時に叫ぶ癖があるんですよぉ、心配をおかけしてすみませんね」
「お、おう…………じゃあパトカーに乗ってくれ(最近の女はそんな事をするのか? 全く理解できん)」
急に元気になった女性は唐突に饒舌になり、聞いてもいないのに自らの癖まで暴露している。困惑した秀虎は関わらない方がいい人間だと思って適当に流した。
「なあ、なんかあの人美人だけど、おかしくないか?」
「おかしいって、何がだ響」
何やら違和感を感じた響が宗士郎に耳打ちする。
「反応だよ。男の俺でもあの顔を見ると震え上がるのに、あの人かなり平気そうに見えたぞ」
「…………確かに変だな。まあ放っておけ、俺には関係ない」
「なんだよ、宗士郎だって変に思ってんじゃん。まあ、俺もなんか関わりたくないから、話しかけるのやめるよ」
「ナンパする気だったのかよ、警察の前で。とことん女に飢えてるな、お前」
自分の欲にとことん忠実な響の話を適当に流し、パトカーに乗った秀虎へと近付く。
「じゃあ秀虎さん、後は任せてください」
「ああ。にしても報告書が面倒になったなあ。……サボるか」
「駄目ですよ、ちゃんと仕事しないと」
「だよなぁ。んじゃまあ、俺達は行くとするぜ。後ろの三人にもよろしくな」
そう言うと、第一発見者の女性を乗せた秀虎のパトカーはすぐに見えなくなった。
「…………」
「鳴神君、和心ちゃんが言ってた気配と今回の話は何か関係あったの?」
パトカーの後ろ姿を眺めていた宗士郎にみなもが不安げに声をかける。
「ない、とも言いきれない。何の目的かはわからないが、万が一和心が言った気配が魔人族のもので狙いが和心なら、普通単独で来るか? 人数が多い程、楽に捕まえやすい筈なのに」
「確かにな~。それにさっきの遺体の事も気になるよな。結局の死因は何だったんだ?」
「『異界』からの使者が関わっているのは確かでございますよ」
「まあなんにせよ、証拠になりえる奴がわざわざ日本に来てくれたって事は確かだ。今は後手に回るしかないだろうがな」
『異界』から来た者が何の目的で来たのか、先程の男性の遺体との関係はどうなのか。詳しく調べるには和心の力がいる。今回の件で相手が警戒してるのなら、簡単には尻尾を掴ませない筈だ。
つまりは、宗士郎の生命探知にも、和心の神力による探知も効かない相手を探すには、まず相手が動く事が大前提となってくる。
「とりあえず、帰るぞ。あんまり遅いと柚子葉に怒られるからな」
「それもそうだね! じゃあ家まで競争ね、皆! よいドンッ!」
「あ、みなもちゃん汚ねえ!? 負けるか!」
「――そういえば、さっきの人も首元に引っ掻き傷があったような……って、おい待てよ! 俺達を置いてくなって!」
家まで競争と言い張り駆けだしたみなもに釣られ、響にも置いて行かれる宗士郎と和心だった。
一方その頃……。
「――あらん、アナタ中々いい男ねん?」
「ひっ――!? ええ、と…………?」
「ああ!? いえ、なんでもないですよぉ!」
秀虎のパトカーで警察署へと向かっている途中、車内で第一発見者の女性は隣に座っている男性警官を軽くナンパしていた。
「オイオイ、警察の前で堂々とナンパかぁ? いい度胸してるな、アンタ。逮捕するかもだぞ~?」
「………………」
「オイ、だんまりかよ。やっぱ、最近の子の考えてる事はよくわからん」
秀虎が強面の顔で冗談を言ったが、見事にスルーされる。女性の横顔は何故か恍惚したものだったが。
「(そう、焦る必要はないわぁ。目的のものを手に入れ、理想の彼が見つかれば…………ネ♪)」
女性の声は誰の耳に留まる事なく、警察署までの道を着々と進んでいくのだった。
変死体、生命反応のない蜂。
突然みなもが聞いたという声と何の関係があるのか。謎は依然深まっていく……。
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