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異能学園の斬滅者 ~創刀の剣士は平穏を守らんとす~(旧クオリアン・チルドレン)  作者: お芋ぷりん
第一章 学園編

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第六十二話 あれが神様?

 




「………………」


 宗士郎達は闘氣法の『索氣』による生命探知で静流の大体の方向を探り、その位置に向かっていた。


 突入する前に和らいだ緊張も今は最高潮に達している。敵が近いからではない、親友が、大事な人が目の前で命を落としたからだ。


 その時、その場にいた宗士郎、柚子葉、楓は今や鋭利なナイフのような濃密な殺気を身に纏っていた。


 三人が無意識に出す殺気に他の皆は黙っていたが、ついに耐え切れなくなったのか、三人と一番付き合いの長い幼馴染みの響が声をかけた。


「な、なあ。ちょっと冷えないか?」

「そうかしら、気のせいじゃない?」

「…………っ」


 寒いのはきっと日の当たらない場所にいるからではない。暖房は効いているようだが、本当の所は宗士郎から溢れ出す殺気が他の全員の鳥肌を立たせているからに他ならない。


 分断された後と合流した後とで三人の雰囲気が一変し、先ほどから終始無言でいるのだから仕方ないのかもしれない。そう解釈し、めげずに響はどもりながらも声をかける。


「ゆ、ゆゆ、柚子葉ちゃん……元気出して! 俺達で仇を取ろうよ!」

「響さんは黙っていてください」

「はぅっ!?」


 気が立っているとばかりに冷たい言葉を浴びせられ、響が悶絶する。少し喜び気味だった事は他の誰も触れる事はない。


 少々、ハァハァしつつ、今度は宗士郎に声をかける響だったが……


「今はお前の戯言に付き合う時間はない。次に変な声を出したら、その舌を短冊切りにしてやる」

「す、すまん……黙る、黙るよ」


 宗士郎にも冷たくされ、響がとぼとぼと後ろに撤退する。


「(ごめん無理っ…………テヘッ!)」

「(響君で無理なら、この空気どうするの!?)」

「(無神経なお前しかこの空気ぶち壊せねぇんだから、早く事情聞き出して、緩和してこい!)」

「(そ、そんだぁっ!? む、ぶり……!?)」


 みなも達にと舌を出してお茶目に謝るが、みなもと亮の二人同時に肩を揺さぶられ、ガクガクと振動する。


「(仕方ねぇ、今は黙ってついていくぞぉ)」

「(わかったよ!)」


 響を手放し、通路を突き進む宗士郎達の後を追う響達。作戦会議に参加していなかった蘭子、幸子、和人の三人も同じく後を追うように小走りする。


「(私もショックだったけど、一番ショックなのは柚子葉よね。戦いに支障が出なければいいけど…………その点、士郎は一度キレても冷静な判断を下せるから、気にはなるけど心配する程ではないわね)」


 楓が冷静沈着に柚子葉を心配する。


 雛璃が敵だったショックと死んだショックの二つの衝撃で、精神状態はかなり悪いといっていい。精神修行の一環で、宗士郎が教えていなかったが、柚子葉の異能――『雷心嵐牙(テンペスター)』は威力が高い分、扱う際の精神状態の良し悪しで威力が大きく乱れる。


 現在の精神状態ではマイナスに働く可能性が高い。この後の戦闘で柚子葉が使い物になるかどうかは、はっきりしている。いざとなれば、楓自身が鼓舞して使い物にする事もできるが、それまでに何とかしてもらいたい所である。


 一方、激情で身を昂らせる事はあっても、怒りが頂点に近づくにつれ、宗士郎は冷静冷酷に行動できるので、長い付き合いである楓には心配な部分はほぼない。


 ただ、普段の優しい宗士郎が見れなくなるのは残念だと楓は心の中で溜息を吐いた。


「っ、止まれ。そこにいる奴、出てこい。出てこないなら斬る」


 先頭を歩いていた宗士郎が後ろの動きを手で制し、脚を止めた。地下施設に出るのだから敵だとも思ったが、気配の感じ的に敵ではないと判断した宗士郎は通路の曲がり角の裏にいる人物に声を投げかける。


「――もう、相変わらずね、その性格。出てくるから、斬らないでくれると嬉しいわね」

「お前、いや貴方は…………」

「祥子、先生………………?」

「なんで、こんなところに…………まさか!?」


 曲がり角から両手を上げて現れたのは、この学園の医務室で勤務している祥子だった。一度は敵ではないと判断した宗士郎だったが、ここは敵の本拠地。わざわざ現れたという事は何か意味がある、そう踏んだ宗士郎は腰の愛刀に手をやるが、


「いやいや、敵さんが私に化けてるとか、私が操られてるとかじゃないからね!? 私を使って何のメリットがあるのよ?」

「確かに、そうですけど…………敵じゃないなら何の用ですか」


 残る敵は静流に元春、そしてカイザルだ。確かに今更、化けて騙すメリットがない。掴んでいた剣の柄から手を放しつつも、緊張は緩めない。そのまま様子をうかがう。


「雛璃ちゃんの事、それと……………()()()()()()から伝言ねっ」

「な――っ!?」


 何気なく、「これアイスね!」と軽く手渡されるように、宗士郎にだけはかなり重要な名が出され、驚愕する。


 雛璃の事をよく診ていた祥子が雛璃を引き合いに出すのはまだわかる。だが、()()である一介の女医が()()であるアリスティアの名を出す事は宗士郎にとって大問題だった。


 雛璃の名前を出され、宗士郎以外にも柚子葉、楓に緊張が走り、他のメンバーは全員何の話か皆目見当もつかない様子だった。



「お前っ、何者だ!」

「何者、かぁ…………まあ知らないのも無理ないんだよね~。雛璃ちゃん以外は実際に()()()()()()()んだし」

「それは……十年前、地震があった時に日本の子供達が神から力を授かった時の話をしているのか?」

「お、察しがいいわね。そうよ、私が雛璃ちゃんに異能を授けた星の数程いる神族の一人――――ラヴィアスよ」


 その場が静寂で支配される。


 誰もが宗士郎と神族のラヴィアスの会話レベルについていけなかった。何の話をしているのか、ギリギリ理解できていた楓、柚子葉、みなも達は理解できこそすれ、話の展開についていく事はままならなかった。


「あ、でもこれは限られた人間にしか話しちゃいけないんだった。という事で、ほい!」


 祥子、もといラヴィアスが指を振るうと、宗士郎、柚子葉、楓だけが別空間へと飛ばされた。否、ラヴィアスが現在の時間軸、空間軸の一部を切り取り、横にずらしたという感じだ。


「一時的に神域に接続しました。これで敵に見つかる心配も、時間の心配もありません」

「これは……アリスティアと会った時と同じ…………」


 宗士郎が初めてアリスティアと会った時と同じ雰囲気の空間だった。その時違うのは周囲に色がある事と話す相手がアリスティアではない事だ。


 いきなりの神の登場で頭が冷えたのか、柚子葉が遠慮がちに喋る出す。


「あの、祥子先生……」

「私はラヴィアス……だけども、貴方は違和感があるわよね。祥子先生でいいわ」

「……はい。祥子先生が神族? 神様なのはわかりました。他の皆はどうなってるんですか?」


 突然切り替わった景色に、周囲に先程いた仲間達の安否を心配するのは至極当然といえよう。宗士郎は一度、体験しているが、楓も柚子葉が聞かないなら聞くつもりであった。


「私達が下界に干渉するとき、必要以上に干渉してはいけない。だから、時を止め、影響を最小限にする為に一時的に私達の住処、『神域』に繋ぐの。こっちにいる間は、向こうの時間の流れはストップしてるから心配ないわ。……さっきのは目を瞑ってくれると助かるわ」

「は、はぁ。それは別にいいですけど」


 うっかりやっちゃったテヘッ! みたいな態度を神様が取るので、神の威厳などあったものではない。柚子葉は自分の中の神様像が崩れていくのを感じながら、次の話題にシフトする。


「それで、雛璃ちゃんの事ですけど……」

「まだ本題に入ってなかったわね。雛璃ちゃんの魂は、そっちの彼……鳴神君の知り合いであるアリスティアの所に魂が流れてきたの」

「っ、やっぱり……死んじゃったんだね、雛璃ちゃぁんっ……」


 ラヴィアスの話から『雛璃の死』を再認識したのか、柚子葉は泣きながら膝を折った。続けて聞く事はできなさそうだと思った楓は柚子葉の代わりに続きを促した。


「本来なら死んだ魂は善悪をどれほど積んだかで、転生するか、しないかが決まるんだけど……雛璃ちゃんの場合は〝神族である私がいながら〟って、責任問題が湧いちゃってね。身体が弱く、あまり外に出られない雛璃ちゃんの人生があまりに残酷だったから、力を譲渡し、側にいる事を決めたんだけど、アリスティアが〝私達の子供を守れないとは何事ですか!?〟と言われちゃってまあ…………」


 最初は真面目に神様らしい事を話してるな、と感心しながら聞いていたが、途中から酒盛りしながら上司の愚痴を溢す同僚のような感じになってきた。流石にこれでは話が進まないと思った宗士郎は話を急ぐ。



「途中から愚痴みたいになってるが、結論は?」

「私の監督責任、私ら子供達に仇なす敵の計画に利用されていた事も鑑みて、雛璃ちゃんは()()()()()事になりました」

「は?」

「えっ?」

「ひっく、ふぇ……?」


 ラヴィアスの突然の雛璃蘇生発言勃発。


 あまりにもぶっ飛んだ、想像の埒外だった内容に、宗士郎と楓はもちろんとして、泣いていた柚子葉が泣き止んだ。


 それは喜ばしき事であり、ある意味事件だった。


「いや、勘違いしないでね? 仕方なく、じゃなくて、私がそうしたいからしてるの。折角想いを伝えたのに、返事を聞けずに命を落とすなんて、あまりに虚しいじゃない」

「雛璃ちゃんは、生き返るんですか……?」

「……そうよ。ただし、すぐにじゃないわ。半年後に再びこの世に戻すわ。ボロボロになった身体は直しておいたわ。サービスよ?」


 やはりすぐに生き返らせるのは無理があるらしい。半年後と聞いて、柚子葉が信じられないといった表情で宗士郎達を見る。


「お兄ちゃん、楓さん……っ」

「ああ。雛璃ちゃんにまた会える」

「半年後っていう条件付きだけどね。良かったわね、柚子葉」

「うん、うん……うん……うんっ、ぅえああぁん!!!」


 嬉しさで泣き叫ぶ柚子葉を二人で抱きしめ、この世に訪れた幸福に、目の前の神様に感謝した。







「それじゃあ、二人は先に戻すわね。ここからは鳴神君とこの子の知り合いのアリスティアの話題だから」


 その後、数分に渡って泣き続けた柚子葉をあやし続けた。泣き止み、再び元気を取り戻した柚子葉はもう大丈夫だろう。


 ラヴィアスの話はここからが本題だった宗士郎は先に二人を戻すようにと頼んだ。


「わかった。祥子先生、本当に……」

「生き返らせるわ。止めようする奴がいたら、そいつの鼻っ柱をへし折るわ。物理的に」

「ははっ、それは怖いですね」

「じゃあ柚子葉ちゃん、二条院さん。また会いましょう」


 別れの挨拶を済ますと柚子葉と楓の二人がこの空間から姿を消した。


「さて、私達はアリスティアの元に行くわよ」

「頼む」


 ラヴィアスがここに来た時のように、再び指を振るうと周囲の光景が瞬時に切り替わる。


 周りから聞こえてくるのは、川のせせらぎ、小鳥のさえずり、そして何故か鼻歌が混じったシャワー音だった。


「フンフン♪ フフフ〜ン♪ アッ、イエス! フフフ♪」

「………………」


 見えるのはカーテンがかかった浴槽。それにカーテンの向こう側にいる誰かの影。


 聞こえるのは気色悪い程機嫌が良さそうな鼻歌。


 これには絶句するしかない。


 鼻歌交じりにシャワーを浴び、気持ち悪い程にテンションが高い。本当にここは神様達の住まいなる『神域』なのか? と本気で疑う程だ。


「ご、ごめんね〜? ちょ〜っと、待っててね〜」


 ラヴィアスの額に怒りマークが浮かび、またかよと舌打ちをかましながら、カーテンの向こう側へと突撃し、


「またシャワー入ってるの!? 乙女か!? 毎日朝昼晩の前後に二回入って、合計六回も入る奴がいるか!? 静香ちゃんでもそんなに入らないわよ!?」

「ちょっと何よぉ!? いい気分だったのに、ぶち壊しよ!? 折角、綺麗に洗ってあの子に見せてあげようとしてたのに! 大人の色気ムンムンのナイスボディを!」


 とても神様達の会話とは思えない、オカンと娘のような喧嘩? は早々に決着が付いた。





「はぁ……相変わらずだな、アリスティア」

「もう、アリスちゃん! か、ティアちゃん! って呼んでって、十年前も言ったでしょう?」


 決着をつけたラヴィアスがアリスティアを着替えさせ、指を鳴らして出現したテーブルにお茶、椅子にはそれぞれが座った。


 風呂から上がり、荘厳な衣装に身を纏ったアリスティアがプンプンッと怒る。十年前と変わらず、神様か? 疑問に思う程に軽々しい。


「呼んで欲しいなら、神様の威厳の一つでも見せてみろ」

「失礼ね! 見なさい! 胸元が開いた、この服が醸し出す圧倒的、神々しさの塊! 女神の色気がムンムン……っ痛いわね!? ラヴィアス!?」

「下品過ぎて、女神どころか、大人の色気すらないわよ。もう少し慎みを持てばマシになるのに」


 神の威厳が全くないアリスティアの寸劇に、同じく神族であるラヴィアスが脳天をスパーンと叩く。神様が漫才のような物を見せるので、一層呆れる始末だ。


「で、ラヴィアス様。伝言って言ってましたけど、何故直接?」

「ちょっとぉ!? なんで、ラヴィアスだけ『様』付けなのよ!? 貴方に力を渡した私も敬いなさいよぉ!?」


 正直、見た目が人間のままのラヴィアスの方が神様らしい振る舞いをしている。アリスティアがやっているのはただの痴女だ。


 当然、宗士郎は自分に力を譲渡したアリスティアよりも、ラヴィアスを敬うだろう。


「威厳も何もないからじゃない。伝言って言ったけど、本当はアリスティアに頼まれてこっちに連れてきたのよ」

「無視しないでよ!? もう、いいわ。私の用件はね――――」


 しれっと無視した宗士郎に怒るアリスティアもラヴィアスのジト目を受けて、流石に本題に移らなければいけないと思ったのか、宗士郎を呼んだ理由を話してくれた。


「俺の異能がまだ完全形態じゃない?」

「ええ、そうよ。力は貴方に合わせて形を変えると言ったでしょう? 結果、貴方は刀剣を創る異能を会得した訳だけど、私の力が強大過ぎたから何重にも封印を施したのよ」


 内容は宗士郎の持つ『刀剣召喚(ソード・オーダー)』の封印を一つ解く、という物だった。


 十年前の時点では強大過ぎる力をただ譲渡した所では、宗士郎の身体が耐えきれずに崩壊する恐れがあったので、封印を施したのだと言う。


 現在の時点では、一つの封印を解いたらしい。いつの頃に解いたかはわからないが、とにかくアリスティアから見ると封印が一つ解けているらしいのだ。


「で、俺が苦戦しそうだから、封印をもう一つ解こうと?」

「実際、私の所にきた桃上 雛璃は貴方の力では何ともならなかったから、こちらに来たのでしょう?」

「………………っ」


 図星だった。


 死因は反天(ブラウマ)によるダメージが酷く、雛璃の身体が内側からボロボロになっていた所為だ。


 柚子葉と雛璃が仲直りした時点で、洗脳もろとも完全に斬り伏せていれば、雛璃はなんとかなったはずなのである。


「今の貴方は封印を解いても力に耐え切れるわ。だから、今から解くわよ」

「頼む」

「あら、意外と素直じゃない。十年前は渋ってたくせに」

「俺の力が牧原に、カイザルに通じるか、わからないからな。できることはする」


 そうして、数分にも満たない時間で封印は解かれた。


「何も変わらないな?」

「元々ある力の一部を解放しただけだからね。変わらないのは当たり前よ」

「終わったわね。さ、元の世界に戻すわよ」

「ちょっと待ってください、質問が」


 ラヴィアスがずらして移動させた『神域』から元の場所と時間に戻すと言うが、宗士郎はすんでの所で止めた。


「アリスティア。今回の件は本当にこの世界の危機なのか?」

「…………別口よ。世界の危機に繋がる輩はいるけどね」

「それってやっぱり……」

「魔神、カイザル=ディザストルよ。鳴神君」


 十年前に言っていた〝世界の危機〟は今回の件とは全くの無関係という訳ではないようだ。宗士郎がその名前を呟こうとすると、ラヴィアスが捕捉するようにカイザルの名を口にした。


「今回はちょっかいを掛ける程度だけど、いずれ本当にこの世界は滅ぼされるわよ。その前に、繋がった異世界の住人達とも協力関係を結び、魔神を打倒しなさい」

「今回は牧原 静流の野望を打ち砕いてちょうだい」 


 いずれ、という事は数年後か十年後、または一年以内にもカイザルが動くかもしれないという事だ。だが、その前に静流の計画を完全頓挫させて欲しいらしい。


 自分の子供のような存在である人類がそんなつまらない理由で悲惨な目に合うのは看過できないとアリスティアが怒っていた。


「わかった、色々ありがとう。会えて嬉しかった」

「私も嬉しかったわ。今度はゆっくりお話ししましょうね。それから次はアリスちゃん! ティアちゃん! って呼びなさい!」

「……善処する」


 抱擁を交わされ、少しだけ照れる宗士郎だったが、相変わらず神様の威厳そのものがないアリスティアで、平静になる。


「ラヴィアス様、いや祥子先生。雛璃ちゃんをお願いします」

「わかってるわ。雛璃ちゃんのご両親への説明もこっちでなんとかする。それじゃあ、元に戻すわよ?」

「お願いします」


 ラヴィアスが指を振るって、宗士郎は元の空間、時間軸へと戻っていった。





「封印を解く、なんて言いながら、解いて無かったわね? アリスティア」

「今のあの子なら、解かなくてもなんとかなりそうと思ったからよ。最初は解いてあげようかと思ったけどね」


 宗士郎を下界へと戻した後、本当は封印を解いてない事に気付いていたラヴィアスが溜息を吐いた。


「私達の子供、人間の思いの強さを信じているのね……」

「貴方もでしょう、ラヴィアス?」

「当然よ。今も昔も、人の思いの強さは計り切れないんだから」


 二人の神族は頬を緩ませながら、下界に戻った宗士郎達を見守っていた。





突如現れた雛璃に異能を与えた女医……祥子は神族の一人、ラヴィアスだった。

雛璃が生き返らせる事を聞いた柚子葉は随喜の涙を流す。


そして、アリスティアに力を渡された人間として、宗士郎は自分の使命を知ったのだった。


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