第十五話 決闘 前編
決闘二本立て! 始まる異種族の戦士との決闘! お楽しみに!
開始の合図と同時に――
「やあああああああっ!!」
普段の彼女らしからぬ気合と共に、楓が地を蹴り踏み込んだ。
女性にしては素早い動きで、オスカーを攪乱したのち、上段に強烈な蹴りを見舞う。
「刃物を持った相手に臆せず向かってくるとは……! 恐くはないのか!?」
その一撃は容易く受け止められてしまうも、意表を突かれたオスカーは微かに動揺を露わとする。しかし受け止めた腕で押し返し、高速の五月雨突きを放った。
その刹那、楓の両眼に時針が浮かんだ。長針が反時計回りに五秒巻き戻り、オスカーの刺突も五秒巻き戻り、動きが再開する。
その頃には、楓はオスカーの背後を取っていた。鋭い手刀を脇腹へと叩き込む。手刀を入れた直後、眼の長針が今度は時計回りに五秒進む。
「ぐぅぅ!? ワタシの攻撃を容易くっ……!」
痛みに悶えながらも剣を振るうが、その一撃は空を切った。瞬時に加速した楓は既にオスカーの間合いから逃れていたのだ。
「なんだ……!? あの動きは!」
「オスカーの剣筋を見切っているのか!?」
ティグレを初めとした王国陣が驚愕した。
楓のみならず、宗士郎達の手の内を明かしていないのだから、当然といえば当然の反応だ。
楓が行ったのは、異能力――万物掌握の時間逆進と時間加速。『戦闘服』を着ていないとはいえ、時間を五秒まで操れるのは大きなアドバンテージだ。
そして、鳴神家の道場にて鍛えた武術が加速と逆進により、更に際立っている。魔物との戦闘では支援に回る他ない楓だが、対人戦では無類の強さを発揮する。
「……認めよう」
体勢を持ち直したオスカーが服に付いた土埃を手で払い、悔し気に口を開いた。
「侮っていたのはワタシの方だったようだ。これを此処に謝罪する」
見た目通りの紳士な振る舞いを見せつつ、オスカーが恭しく首を垂れた。楓は余裕ありげに謝罪を受け入れる。
「気にしないで。私もちょっと失礼だったから」
「何をされたのか理解できなかった……しかし、ワタシはこの国を守る騎士団長だ。負ける訳にはいかない。故に、ワタシも本気を出そう」
戦況を覆すかもしれない頼もしい一言に、ティグレ等王国陣が期待を膨らませる一方、後で疑問を抱いた。外野からは、オスカーの動きが遅く――否、巻き戻ったのが見えていたからだ。
その反応に、宗士郎達が静かに笑みを浮かべた事に周囲は気付かない。
「本気? 今までは手を抜いていたというのかしら」
「それに関しても謝罪しよう。だが同時に一つ忠告する」
再び一礼したオスカーが静かに細剣の刃と正中線が平行になるように構え、
「次の一撃――ワタシの全身全霊を込めた一撃を放つ故、必ず避けよ」
鋭い剣気を迸らせながら、そう言い放った。
「それって、暗に重傷を負わせると言っているのかしら?」
「そう思ってもらっても結構」
「ふぅん」
肩を竦めた楓の返しにオスカーは首肯する。対して、忠告された楓は余裕の笑みを浮かべて――
「む? どういう意味かね、それは」
「見ての通り。打ち込んできなさい、という意思表示よ」
「何やってるの楓さんは!?」
みなもが驚愕に目を見開く。
楓が取った行動が言葉が意味するように、ただ体を大の字に広げて無防備を晒す事だったのだから。これではまるで、自らサンドバックとして立っているようなもの。
「奇策などワタシには通じないぞ?」
「そう思っているなら、早くしなさいよ。その様子だと、溜めが必要なんでしょ」
「勿論」
そう言い放つや否や、オスカーが呪文を唱えていく。
「凍えさせる者よ雹龍よ……我が剣に力を与えたまえ」
神代 凛の優雅たる凍久を彷彿とさせる冷気が、オスカーの細剣に集束し始める。
気体は液体となり、液体は固体に。
刃が凍えて氷剣と化す。辺りに広がる冷気が周囲の温度を奪い、楓の背筋に悪寒が走った。それは決して、冷気に当てられた所為ではないだろう。
「瞬く間に時を奪う……悠久の牢獄を与えたまえ――!」
「(来るっ!!)」
構えた細剣を内側に畳んだ次の瞬間――
「行くぞ――狂嵐の冰細剣!!」
光速の如き刺突が閃いた直後、楓の身体が刹那の内に氷塊へと包まれていた。
「楓さん!?」
「馬鹿め。忠告を無視するとは……凍傷は免れまい」
彼女を心配する声と馬鹿にする声が響く。
剣の軌道には三本に渡る氷の道が形成されており、楓自身を凍らせたというよりも、その凄まじき剣技の余波で凍らせたかのように見受けられる。その証拠に、氷塊に抱擁された楓の背後には、大きな三本の氷柱が咲き誇っていた。
「避けよと申したのに……治療師達をここへ。決闘は終わ、ん……?」
「四……五…………」
流石に続行不可能と判断したのか、オスカーが治療師を呼ぶが、見物人たる宗士郎が呟く数字を不思議に思った。
その直後――
「な、なにっ……!?」
「氷が……無くなっていく、だと!」
楓を取り巻く氷塊がみるみるうちに原型を失っていく。オスカー達にはそう見えた。されど、それは間違いでもあり正解でもある。
「うっ……寒いわね。私は冷凍マグロじゃないわよ?」
「ば、ばかな……ワタシの最高の技をっ」
丁度、五秒。変化が現れ始めて五秒経つ頃には、楓の身体は元の状態へ――オスカーが技を放つ前へと巻き戻っていた。
「あっ、有り得ない……! どうやって、あれを抜け出せたっ……?」
「今説明してもきっと無駄よ? 頭で理解できても、気持ちでは理解できないだろうから。ふぅー、結構ギリギリで冷や冷やしたわ…………あ、これギャグじゃないわよ」
技を破られたオスカーは狼狽え始め、しかし楓は逆に余裕を露わとする。当然、楓の言葉は彼の耳には届かなかった。
そんなオスカーを尻目に、楓はしばし歩き……手の平サイズの石を拾い上げる。
「じゃあ、次はこっちの番よ。素晴らしい剣技には、残酷な技でお返ししてあげる」
ゴォーン、ゴォーン……ゴォーン……――!
そうして、鳴り響く時計塔の鐘。音源は楓からだ。
優しく、しかし恐怖を運ぶような重低音に、今から楓が行おうとしている事を知る宗士郎達、それを知らぬ茉心達やティグレ達の拳の内には、ベタリと汗が噴き出ている。
時は来たれり。
「――時間停止」
「ッ――!?」
告げられた言葉に呼応するように、オスカーの身動きの一切が止まった。近付いてくる楓に反応を示すこと能わず。
重臣が身動き一つ取れない状況を見て、ティグレが叫ぶ。
「オスカー! 何をしている!! 早く離れぬか!!」
「無駄よ。必ず五秒は拘束する、オスカー殿の意識は健在だけどね」
「なに……?」
その真意をティグレには理解できなかった。だがしかし、オスカーはその意味の恐ろしさを垣間見る事になる。
「残り、四秒ッ」
なんと、楓が拾った石を何度も何度も至る所に殴りつけ始めたのだ。その行動に、王国陣や宗士郎達もドン引きし始める。
「うわぁ」
「なんて酷い…………」
宗士郎達には解っていた。『時間を操作された対象は操作されたこと自体を知覚できない』という楓の異能特性を。更に、『その間の意識は健在である』という事も。
現状、オスカーは意味も分からず動けないという認識下で、楓に成す術なく殴られているのだ。だが、時を止めている故に、打撃のエネルギーは痛みが発生する部分で随時保存される。
その意味する所は、要約すれば…………つまり。
「零」
「――ヌぐゥおおおァァオオオァ~~ッッッ!?!?!?」
溜まったエネルギーが圧縮されて一度に刹那の内に襲い掛かる。
「……これが時間圧縮撃」
「え、えげつない…………! 楓さん、なんて恐ろしい子!」
絶叫して悶絶するオスカーの身体は何度か跳ね上がったり転がったりした後、静かに沈黙した。
「オスカーァァァァ!?」
「完全に持っていかれておるの……オスカー=オルチナス! 意識喪失により二条院 楓の勝ちとする!」
すかさず駆け寄ったティグレがオスカーの体を起こすも、余りの痛みで意識が飛んでいた。それを確かめると、茉心が楓の勝利を宣言した。
が、しかし…………大教練場には、楓を称える言葉もオスカーを心配する言葉も上がらない。それは、楓がした事が余りもえげつないという事を周囲が理解していたから。
しかし、それ以外にも宗士郎には非常に気になる点があった。
「楓さん、あれはやり過ぎだ。それに……」
「意識を奪うには、時止めやらないとって。後の事を考えれば、そろそろ私は過去を乗り切らないといけない。だから、トラウマの事は気にしないで」
「…………分かった。お疲れ様」
楓のトラウマ。それが原因で能力を満足に使えていない事を自分なりに考慮した結果なのだろう。宗士郎はその決断に否を唱える権利などないと思い、楓を労った。
オスカーが治療師達に囲まれ治療を受ける中、しばしの休憩が入る。その間、ティグレが楓の元に歩み寄ってきた。
「み、見事だ。オスカーは……まあ、あれでも騎士団長だ。死にはしないだろう。それよりも、種明かしはしてもらえるのか?」
楓が視線を横に流した。視線の先にいた宗士郎は頷き、すぐに解説を始める。
「ここにいる俺達や故郷の子供、全ての者がそういう訳じゃないが、魔法とはまた別の力『異能力』を持ってる。楓さんのは、時間を操る力、万物掌握」
「それを使って、なんとか勝てたって訳よ」
「にわかには信じ難いが……今の決闘を見ていれば、納得せざるを得んな」
「逆に聞きたいんだけど、オスカー殿が使ったのは魔法って事で良いのよね?」
「ああ。オスカーが独自に編み出した強力な技だったのだがな。まさか破られるとは思っていなかったぞ」
楓のチート級の力を前にしていたとはいえ、王国騎士団長の肩書きは伊達ではなかった。オスカーであのレベルならば、自ずと他の面子にも期待が持てるというものだ。
「うむ……そろそろ良いだろう。次の決闘を行う! こちらからは……」
「ちょっと待った。次の決闘、こっちはこの桜庭 みなもを出す」
「え! 私ぃ!?」
次を始めようとしたティグレの言葉を遮り、宗士郎がみなもの背中を押して宣言した。
「ちょっと待ってっ、心の準備が~!」
「はいはい、戦場では待ってくれないからなー。こっちは最強の盾にして、多分天才だ。破れる矛を持ってきてくれ」
「よぅし、ならばワシが出よう」
狼狽えるみなもを無視して話を進めると、ティグレの脇を抜けて出る者が。
「ワシはこの国の鍛冶全般を取り仕切るタァルヴ・ゴルドンじゃ」
「おお! 生ドワーフ!!」
と、響が目を輝かせているように、出てきたのはファンタジーでお馴染みのドワーフ族の男だった。
「おい、あれを持ってこい!」
ずんぐりした身体に短い手足。顔を覆う程の白髭に老人のような顔立ちをしたタァルヴが、同族の部下に頼んで持ってこさせた物が……。
ズゥン!!! ブゥンブン!!
金属製の運搬器具に乗せてきた金属できた黒い巨槌だ。それを軽々と持ち上げ、柄を地面へと下ろすと小さい地鳴りが発生する。そうして軽く素振りをしたのち、満足したように呟く。
「……よし」
「いや、よしじゃなぁあああい!!?」
「なんじゃうるさいのう。これくらい普通じゃろが」
「全然ッ普通じゃない!!」
その光景を無言で見ていたみなもが鋭いツッコミを入れた。心の中で、楓と響と柚子葉も同様にツッコミを入れていた。
「身体強化魔法でも掛けてるの!? 掛けてないと無理だよ普通!!」
「ドワーフ族は皆、力持ちなのでございます」
「説明ありがと和心ちゃんッいやぁあああ~~!?」
「(確信した。リィニ―のお父さんだ、この人)」
宗士郎が一人納得する一方で、みなもの狼狽に拍車がかかる。まだまだ後ろがつっかえてるのを見越し、ティグレが開始の合図を上げようとして……。
「よし、では始めるぞ」
「ちょっと待って下さいお願いしますっ!! 鳴神君!!」
「お、おう」
みなもがペコペコと頭を下げて中断した挙句、宗士郎を引っ掴んで後ろへ。
「どうしよう! 私叩き潰されちゃうよ!?」
「そこだよ、俺がお前を推薦した理由は」
「え? どこ?」
「お前は精神力はあるけど、腰が引けてるんだ。そのよわよわメンタルを今ここで克服してこい」
「そんな無茶苦茶なぁ~!?」
元々才能のあるみなもは、土壇場や型に嵌った状況に強いが、物事に関する姿勢がとことん弱気だ。だからこそ、今後の成長を考え、宗士郎がみなもを推したのだ。
「勝てたら言う事ひとつ聞いてやるから頑張れ」
「えっ……えぇとえーと、それじゃ……次に暇が出来たら一緒に出掛けて欲しい、かな」
「なんだ、そんな事で良いのか? 分かった。なら、思いっ切りやってこい」
「うん!」
そんな口約束をした直後、先程までの狼狽えぶりが何処へ行ったのやら。みなもの気合は十分過ぎるほどに高まっていた。
「士郎、今何の話してたの?」
「べ、別に……桜庭ぁ! 頑張れよー!!」
それを目ざとく女の勘で察知した楓が宗士郎にジト目。適当に誤魔化すと、応援に集中し始める。
「――これよりタァルヴ=ゴルドンと桜庭 みなもの決闘を始める! では…………始め!」
「ではゆくぞ! 先手必勝じゃ!」
ティグレが開始の合図を口にした瞬間、タァルヴが巨槌片手に突進し、一気に振り下ろした。
「神敵拒絶ッ」
「むぅん!」
しかしその一撃をみなもは敢えて避けず、真っ正面から光盾を展開して即座にガード。振り下ろしでヒビすら入らない防壁を前に、タァルヴが渾身の力で更に押し込む。
「甘いよ! 私の神敵拒絶はこんな攻撃で壊れるほどヤワじゃないっ」
みなもが、防御の役割を果たすと同時に攻撃手段でもある盾でタァルヴを強く弾き飛ばした。更に出現させた光盾を水平に高速移動させて、追撃とばかりにシールドバッシュを放つ。
「なんの!」
地面で踏ん張りながら、タァルヴが巨槌を横薙ぎに振るう。攻撃手段として用いていた盾はその鈍重な一撃に破壊され、光の欠片となって散った。
「やるの、お嬢さん。じゃが、勝負はここからじゃ!」
「くぅ……!!」
その重そうな見た目に反して、タァルヴが高く跳躍。
落下の勢いで、隕石の如き一撃を放ってきた。当然みなもが光盾で迎え撃つも、その余りの威力に光盾の表面に遂に亀裂が芽生えた。
実際に光盾を持っている訳ではないものの、苦しげに顔を歪める。
「負けられないぃぃ!! 砕けろー!」
「なんと――ぐぁあああっ!?」
だが、それは苦悶によるものではなかった。むしろ、絶対に勝つと言わんばかりの気合で叫び、光盾を自らの意思で破壊した。
その衝撃で吹き飛ばした事により、タァルヴの身体が地面に激しく転がる。砂埃が舞う中、なんとか体勢を持ち直した。
「どうだ! これが私の神敵拒絶だっ!」
「ぬははははっ!! 面白い面白いぞ!! ならば、その盾砕いてくれよう!」
「受けて立つ!」
身も心も昂揚しているのか、タァルヴとみなもの決闘が更に苛烈さを増した。
わざと挑発に乗ったみなもが展開したのは、全方位の防御が可能な光の障壁。それをタァルヴの巨槌が舐める様に何度も叩き付けられる。
だが、それでも障壁が割れる事はない。みなもに余裕が芽生え始める。
「(魔法でもない限り、私には攻撃一つ入らないっ)」
「と、思うじゃろ?」
「え――つ、土のツタ!?」
なんと、障壁の内側で地面から生えた土のツタがみなもの身体を拘束したのだ。たちまち、余裕は水で洗い流されるように消え去り、動揺が身を支配する。
「土蔦拘束じゃ。これを食らっても、障壁を手放さないのは褒めてやろう。じゃが、次で終いじゃ」
「え、嘘!?」
タァルヴの持つ巨槌が地面の土を吸収して更に巨大なものへ。
「……られない……」
畳み掛けるようにタァルヴが巨大な大槌をみなもの障壁に向けて振り下ろした。しかし、それで終わるみなもではなかった。
直後、みなもの思いが爆発する。
「鳴神君とのデートの為に絶対に勝つぅッ!!」
「デート?」
「どこにそんな力がっ……ぐぅぬっ!?」
振り下ろされた刹那、みなもが突き出した掌から無数の光盾が出現。タァルヴに向かって連続発射された。
金槌を振り下ろした直後故にガードや回避もままならず、高速で向かってくる光盾をまともに食らってしまう。その勢いで大教練場の壁に激突し、なおも続く光盾の弾に狙い撃ちにされ…………。
「ま、参ったっ……! 降参、じゃ」
「や、やった! デートは貰ったぁ!」
タァルヴは悔しげに白旗を上げていた。
タァルヴの口から参った、と言わせた事にみなもは大いに喜び、異能も解除した。壁に叩き付けられていたタァルヴが地面に倒れ伏す。
「桜庭 みなもの勝ちじゃ!」
「うぬぬっ……またもや負けてしまうとはっ」
それを聞き届けた茉心がみなもの勝利を告げた。仲間が二回連続で負けてしまったティグレとして、辛酸を舐める心境だろう。
タァルヴが治療師の厄介になる中、楓が勝者のみなもと宗士郎を引っ掴んで迫っていた。
「デートって、どういう事かしらぁ?」
「いや知らない! 勝ったら一緒に出掛けるっていうだけで……!」
「それを世間一般じゃデートっていうのよっ! そういう事なら私ともデートしなさい!!」
「く、くるひぃ……!」
楓に服の襟を掴まれシェイクされる宗士郎の顔がどんどん青ざめていく。すかさず、みなもがフォローを入れる。
「これは私が頼んだの、楓さん。鳴神君は何も悪くないよ」
「そっ、そうなの……? 取り乱してごめん士郎」
「わ、分かれば良いって、ゲホゲホッ」
納得がいった楓は息を整える宗士郎に謝った。
「修羅場だったな」
「うん。お兄ちゃん、こういうのは鈍感だもんね~」
「お前らな……」
響と柚子葉が呑気な事を言っていた。自覚がある分、宗士郎のは質が悪いのだが。その間、みなもと楓の会話は進み、
「よし決定。士郎は次に予定が空いたら、私とみなも、そして柚子葉ともデートなさい。これ強制」
「いやちょっと待て。それは色々おかし……」
「柚子葉ちゃんもその方が良いよね?」
「……そうだね。いつも苦労掛けられっぱなしだし」
「ちょ、柚子葉!?」
宗士郎は何故か、三人の女の子(内、妹一人)とデートする事になっていた。いくら何でも話が膨らみ過ぎだろう。
「おーい、次の決闘を始めたいんだが……」
「しばし待て。直に終わる、多分」
無責任な茉心の言葉に、王様なのに置いてけぼりを食らっていたティグレが大きな溜息を吐いた。
決闘が再開したのは、その十分後ほどだった。
王国陣との、一番目と二番目の決闘は楓とみなもの勝利と終わった。だが、これで終わる奴等ではない。残る宗士郎、響、柚子葉は果たして決闘に勝つ事ができるのか……?
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