エピローグ 2 異界行きの件、その行方
エピローグ2をお楽しみください~! それと後書きもしっかり読んで下さい、少し注意点が(泣)
――期限当日。
『内閣総理大臣』大成 元康に魔神カイザルが日本の脅威足り得る証拠を提出する日の朝。
昨夜、みなも(アルバラス)との激闘を経た後だというのに、いつも通りの時間に起きてしまった宗士郎は洗面所で顔を洗って、長年に渡り愛用している上下黒の道着に身を包み、道場へと足を踏み入れた。
その手に愛刀の『雨音』を握って。
「…………」
就寝前に茉心に尋ねられた『雨音』に宿った不思議な力、それを試す為に鞘から青白く光る刀身を引く抜く。
既にあの時のようには輝いておらず、今感じるのは手にずっしりとのしかかる鋼の重さ。何度か素振りを行ったり、「昨日のように輝け!」と念じたり、気合を込めてみたりと。色々試してはみたが、みなもとアルバラスの繋がりを分離させたような力の発現は見込めない。
「そういえば、あの時……茉心も何か感じ取ってた感じだったな。確か……見て驚いた後、『神罰執行』だとか言ってた気がするな」
宗士郎と同じく、恐らく無意識の内に『雨音』に意識を集中していた茉心。
知ってた風の彼女が昨夜の現象を知らないのであれば、宗士郎にも知る由もない。土地神様から授かったとされる御神刀――『雨音』の伝承はほぼ残っていないのだ。前所有者である母親の薫子からも、昨夜の現象と一致するような話は特に聞かされていない。
ならば、昨日の現象は偶然か、それとも必然に起こった事なのか。
それを試す為にも、宗士郎は刀剣召喚を発現させ、虚空から一本の刀を引き抜く。
「昨日は確か…………」
そうして、昨夜の現象を再現するかのように。
左手に持つ異能の刃と『雨音』の刃を重ね合わせた。
「………………何も起きない、か」
予想通りというか、期待外れというか。
重ね合わせた二つの刃に変化はなく、二振りの刀が同化する事もなかった。これで昨夜の現象は迷宮入りとなった。漫画の主人公が窮地に陥った時に秘めたる力が覚醒するように、ピンチにでもなれば、また同じ事が起きるのだろうか。
なんにしても、今はその時ではないという事だろう。
「ん? あれは…………」
諦めて道場から出ようとした時、見知った門下生三人が視界に入った。
「おはよう。牛雄さん、玄さん、伊散さん」
「おお、坊ちゃん。朝から精が出ますね、真剣なんか使っちゃって」
「ちょっとね……」
偉丈夫の牛雄が宗士郎の手に収まる『雨音』を凝視する。他の二人も「確かに」と頷いている。宗士郎は剣を持ち上げて誤魔化すように笑うと慣れた仕草で納刀した。
すると、数日前にバイトした喫茶『ソムニウム』の店長玄十郎が片手で手刀状にして軽く感謝を示してくる。
「先日はウチの店のバイトに手伝ってくれてありがとうね。後でバイト代渡すね」
「あ、いえ。気にしないで下さい。いつも世話になってるお礼ですから」
「柚子葉ちゃんから聞いたけど、今日はえ~と……偉い人と会って、何かを渡す日なんだよね? 朝から鍛錬してて良いの」
続いて、もうそろそろ三十路となる伊散が心配そうに尋ねてくる。
総理大臣と会う約束(まだ取り付けてない)を言えば、伊散が卒倒するかもしれないので、柚子葉が気を遣ってくれたのだろう。口裏を合わせ、宗士郎は今日の予定を大まかに話した。
「ほー、頼まれたブツを渡すんですかい。それは責任重大だ」
「牛雄さん、それじゃあまるで、宗士郎君が運び屋みたいじゃないですか~」
「確かに。まあ、彼ならヘマしないでしょう」
「言えてるな! ハハハハハ!!」
そう言って、宗士郎よりも十は年上のおじ様達が和やかに談笑する。この人達の笑顔を守る為にも、今日は何としてでも『異界』行きの許可をもらわなければ。
「じゃあ俺は昼の支度するので、後頼みますね。道場の鍵はいつもの場所にお願いします」
「いってらっしゃいです、坊ちゃん!」
代表して牛雄が挨拶を返してくれると、宗士郎は道場の外へ。
「随分と慕われてるおるの~」
「茉心」
道場を出ると、壁に背を預けて立っていた茉心が穏やかな笑みを浮かべて待っていた。どうやら気配を殺して、宗士郎を見ていたらしい。
「覗き見なんて趣味悪いぞ」
「そう堅い事言うでない。少しばかりお主という人間を見ておっただけだ」
「ついでに、昨日の現象を一目見ようと?」
「小童が試そうとするかは知らんかったがの。見てたところ、再現は無理だったようじゃの?」
「ああ。何がきっかけで発現するのかサッパリだ」
そう返してやると茉心は大層ガッカリしたような様子で肩を落としていた。やはり彼女自身も気になっていたようだ。しかし、今日は現象の発生条件を探るよりもやる事がある。
「アルバラスは逃げてないよな? 今から約束を取り付けにいくけど」
「心配するでない。吾輩が術を解かぬ限り、一生出る事は叶わん」
「そう言ってくれて安心したよ……っと」
不意に着信音が鳴る。携帯端末を取り出し確認してみると、メールのようだった。
「どうかしたのか?」
「ちょっと知り合いから連絡を貰ってな。なになに……」
宗士郎が携帯端末を操作しメールの内容を目を通している中、茉心が物珍しそうな顔で「初めて見る絡繰りじゃの~。こんなのは初めてじゃ」と興奮していた。彼女の世界には『携帯電話』という概念はないのだろう。
「すまない。今日の会合、もう一人参加する奴が増えた」
宗士郎は内容を確認して返信した後、総理と話す人物が一人増えた旨を茉心に伝えたのだった。
急だったのにも関わらず、昼食後に大成総理と会う約束を取り付ける事ができた。証拠提出の件がなければ突っ撥ねられる所だ。
「なんじゃ、そんなに疲れた顔しおって。シャキッとせぬか」
「お前は会った事ないから、そんな事が言えるんだ。総理のご機嫌取りには、中々手を焼かされたんだからな」
「ほぉ~いつの世もどこの国でも同じようなものか」
東京都に位置する『アマテラス』関東支部の巨大建造物を前にして、宗士郎は今更ながらに憂鬱な気分になっていた。その原因は一度目の交渉の際に同席していた組織の重役も出席する事にある。
つまり、警察庁長官の男、国家公安委員長を務める嶽内 健五郎までもが話し合いに参加するのだ。以前交渉した際に色々と邪魔をされたので、大人のどす黒い部分はもう勘弁したい所である。
宗士郎達が『アマテラス』内に入り、エレベーターを使って最上階の会議室前へと到着すると、そこには既に今日の会合に出席するもう一人の人物がパソコン片手に待っていた。
「あ、やっと来たっす~! こんな場所でいつまでも待ってたら息が詰まりそうっすよ~」
「お前はそんなタマじゃないだろ」
「あ、バレたっす?」
「小童、このおなごは?」
その人物と談笑していると、茉心が紹介を求めてくる。
「こいつは菅野 芹香。俺の一つ年下の女の子で、今日の会合で物申したいって言うから連れてきた」
「うわぁ~! この人、ちょー美人っす! あたしは菅野 芹香っす! よろしくっす」
「吾輩は茉心だ。こちらこそよろしく頼む」
そう、もう一人の人物というのは芹香の事だった。何でも総理に見せたいものがあるようで、宗士郎がその内容を確認して即許可した。
今の彼女の目には、茉心が和服を着た京美人のように見えている。ここに来るまで『狐人族』の象徴である耳と尻尾を隠してきた。総理との話し合いの際に、真の姿を見せるつもりでいる。
会合の時間まで少し待っていると、チンとエレベーターが到着した音が鳴った。ドアが左右に開かれると、大成総理を筆頭に続々と参加者がこちらに向かって歩いて来る。その中には嶽内 健五郎の顔もあった。
「二週間ぶりだな、鳴神 宗士郎。待たせてしまったようで済まない」
「いえ。お忙しい中、時間を作って頂きありがとうございます」
「時間が惜しい。早速、君が手に入れた証拠を見せて貰おうか」
軽い挨拶を交わし、大成総理が先に会議室へと入っていく。その後を追い、他の参加者も会議室へと向かう。
「チッ」
その途中、嶽内 健五郎が宗士郎の方を向いて、分かりやすく舌打ちをかましてから会議室へと入っていった。二週間経った今でも、恥をかかされた事を根に持っているのだろう。しかし、彼の強気な態度ものちに崩れ去る事だろう。
そして、最後に『翠玲学園』学園長の宗吉と自衛隊トップの男がこちらに「頑張れ」と発破をかけてくれた。
「……よし、行くか」
宗士郎は両頬を手で叩き、茉心と芹香を連れて会議室へと入っていった。
「部屋にあるプロジェクター等の機器は自由に使ってくれて構わない。そちらのタイミングで始めてくれ」
「ありがとうございます。芹香、お前は今の内にアレの準備を」
「了解っす」
それぞれテーブルの所定の位置に着いた頃、折を見て大成総理が口を開いた。
芹香に指示し、宗士郎自身は話を進める。
「では証拠を見せる前に、まずこちらの彼女から紹介します。茉心、姿を」
「うむ」
「!?」
話を進める上で茉心の力は必要となるので、先に正体を明かしておく。宗士郎が端的に用件を伝えると、茉心は出会った当初のように光に身を包み、真の姿を現した。
茉心の頭上とお尻に現れた、狐の耳と尻尾に会議室にいる宗士郎以外の全ての人間が度肝を抜かれる。
「耳に、尻尾だと…………」
「宗士郎君、まさか彼女は……」
「学園長、その通りです。彼女は『異界』の住人、狐人族の茉心。彼女とは偶然知り合い、今回の証拠探しの件を手伝ってくれた協力者です」
「紹介に預かった茉心じゃ。以後お見知りおきを」
優雅にお辞儀した茉心が振りまく色香に、数人がゴクリと息を吞む。芹香が準備をしながら、目をキラキラさせているのは無視する。
「それで、彼女が今回の件で何の関係があるのだ?」
「証拠を見せる為に彼女の力が必要なんですよ、大成総理」
「まさか、その女に魔神の恐ろしさを説いてもらう気じゃないだろうな! 『私は恐ろしい魔神に犯されました。これが証拠です』と股を開いてなぁ!!」
今から証拠の見せようとした時に、健五郎が的外れな上に女性に対して失礼極まる物言いで嫌味を言ってきた。大成総理が止めこそしなかったが、総理のご機嫌取り共があからさまに嘲笑している。
「今に見てろっす……必ず地獄に叩き落としてやる」
準備中の芹香が聞こえないようにボソッと毒を吐く。宗士郎も同じ気持ちだが、後で叩き落とすのだから今は我慢だ。しかし、茉心が侮辱された事に変わりないので、苛々が募るばかりだ。
「小童よ、もう始めて良いか?」
「ああ、投影を始めてくれ」
そんな嫌味を歯牙にもかけない茉心が『封滅結界陣』の棺を出現させる。そのまま棺を何度かノックし、会議室にいる全員が見えるように映像を大型スクリーンへと映し出した。
「「――ぶぶふぅっっっ!?」」
そして、茉心以外の人間が一斉に噴き出した。その反応を見るや、茉心がしめしめと笑っている。
「ア、シマッタノジャ~。ツイウッカリ、マチガエテシマッタノジャ」
「おま、茉心!?」
大型スクリーンに映ったのは、『バニースーツを着てゴリマッチョボディをひけらかす漢女』。つまり、アルバラスの真の姿だった。どんなにポーカーフェイスが上手い人でも、必ず吹き出してしまうようなインパクトがある。
棒読みで失敗した事を伝える茉心に宗士郎は思った。
「(絶対にわざとだ、こいつ。確かに、和心よりも質の悪いお茶目さだ)」
アルバラスの姿を見た者は例外なく、気持ち悪そうな顔をしている。当然、茉心を除いたこの中でも高齢の大成総理もだ。
これで会議室内の嫌な空気は払拭されたが、逆に話の聞ける状態ではなくなったようにも見える。
「え~、こいつが魔神の配下である魔人族のアルバラス。今からこいつの記憶から魔神カイザルの映像を投影します」
取り敢えず話を進める為、宗士郎は茉心に頼んで記憶の投影を始めて貰った。
気色悪いものを見た後ではあったが、暴虐の限りを尽くすカイザルの映像は宗士郎を含めて、会議室にいる全員の恐怖を煽った。
記憶の投影なので、アルバラス視点なのは仕方ない。だが、流れていく映像ではそんなものは関係ないとばかりに、残虐な光景が続く。
街が一瞬にして灰に。命乞いをする異種族の人間達が容赦なく殺され、幾つもの国が滅んでいく。カイザルに立ち向かった者もいたが、あらゆる武器や魔法は彼の前では意味をなさず、屍山血河が築かれていった。
「もういい、映像を……止めてくれ」
「う、うむ」
映像を流す事、三十分程。
カイザルの恐ろしさを嫌という程味わった大成総理が顔面蒼白で茉心に頼むと、金縛りにでも合っていたかのように遅れて茉心が映像を消した。
『神天狐』である茉心でも畏怖する存在。
今の宗士郎に、そんな相手に勝てるイメージが湧かなかった。映像越しでも分かる圧倒的存在感と身も毛もよだつような圧倒的恐怖が全身を震わせていた。
「確かに奴は日本の……いや、『異界』の脅威であるな。長年生きてきたが、このように死を覚悟したのは初めてだ。皆はどうだ?」
大成総理が冷や汗をハンカチで拭いながら、周りの参加者に尋ねる。
返事こそなかったが、大の大人達が顔を背けるように縮こまって震えていた。『自明の理』とは正にこの事だ。
「よし。約束通り、『異界』行きを許可しよう。奴は日本の脅威足り得る、いや全世界の脅威である。後で、『通行許可証』を発行しておく。細かいところは少し休憩してから詰めるとしよ――」
「――総理!! あんなものはデタラメに決まっています! 大方、異能で作ったスプラッター映画でしょう!! 許可を出すのは早計かと存じます!!!」
大成総理の承諾を得る事に成功し、『異界』行きが決まったのも束の間。
急に立ち上がった健五郎が総理の話を遮り、認めないとばかりに異議を申し立てた。周りにいる警察庁長官の男も自衛隊トップの男も、この場にいる全ての人間が彼の行為を訝しげに思った。
それもその筈。
誰が見ようと、カイザルの恐ろしさは異次元のものだった。だというのに、異議を申し立てる嶽内 健五郎の姿は滑稽に見えた。
「もう決まった事だ。お前もわかっただろう、つまらないプライドなど捨てるのだ」
「ですが……! あの男が提出した証拠など信じられません!! あれが事実かも怪しいというのに、私に恥をかかせたガキの言う事など――はっ!?」
大成総理の前だけで被っていた化けの皮が剝がれる。
うっかり口を滑らせた健五郎は「しまった!」と口元を抑え、口ごもった。それをチャンスと思ったのか、芹香が大きな声で手を上げた。
「大成総理! ここで、あたし菅野 芹香からもう一つお見せしたいものがあるっす!」
「ふむ、何かね」
「そこにいる国家公安委員長の嶽内 健五郎氏がなるっち……鳴神先輩とその仲間を殺そうとした証拠でっす!!!」
「!?」
その瞬間、会議室が騒然とした。気軽に聞いた大成総理もかなり仰天している。
「な、ななな、何の証拠があって言っている!? もしも嘘だったのなら、脅迫罪で訴えるぞ!!?」
「構わないっす。では、まず明らかに先輩に私怨を持っているとわかる音声ファイルから!」
そうしてスピーカーに接続したパソコンから音声ファイルを流す芹香。これは以前、宗士郎に送られた時のファイルだ。宗士郎に怨みを持っているのが丸わかりである。
「そして、これが自衛隊を脅して出動させた時のもの! そして、これが先輩を殺そうと部下の人に頼んで、青蘭女学院と翠玲学園の生徒達を戦場でダブルブッキングさせた時の通話!!!」
「ぁあ……嘘だ!? こんなものは無効だ!!?」
次から次へと流れる音声ファイル。
啞然とする周囲の人から向けられる冷たい視線に耐えきれなくなったのか、健五郎が席を立って芹香のパソコンを壊そうとする。
だが、その前に宗士郎は刀剣召喚で呼び出した刀の切っ先を彼へと向けて動きを止めた。
「いい加減、認めたらどうですか。証拠は出揃ってるんですよ」
「し、知らない!? 最初と最後のはともかくッ、他のものは本当に知らないんだ!!?」
「この期に及んで白を切るのか……!」
「ひぃい!?」
「待て! 小童!」
突然、茉心に止められる宗士郎。何故止めるのかを聞くと、大型スクリーンに新たな映像が投影された。
「これは……!」
「魔人アルバラスがこやつを操っていた時の記憶じゃ。小童を亡き者にしようと考えていた所を利用されたようじゃな」
裏路地のような場所で蜂の群体が体内へと入り、健五郎が変な事を言い出している。更に、自衛隊に電話をかけるシーンまで映し出されていた。
「そ、そそそうです!! 私は操られていたのです! 魔人族に利用されただけなのです!! だ、だから……! どうかお許しを! 総理!!」
そう言って命乞いをするように、健五郎が大成総理に頭を下げる。茉心が出した新たな証拠を利用して罪を逃れようとしているのが見え見えである。
「いいや、許さない。お前の所為で、お前のつまらないプライドの所為で……俺の部下達は……っ! 今ここでぶっ殺してやる!!!」
と、そこで健五郎がしでかした事の始末を取ろうと自衛隊トップの男が掴みかかった。
「――静まれ!!!」
だが、大成総理が発した制止の声に動きを止めた。
「確かに、操られていようと嶽内がしでかした事の重大さは計り知れない。しかし、殺した所で命は戻ってこないのだ!! お前の手を汚す事もない」
「くっ、ぅぅ…………くそぉ」
大成総理の言葉に、自衛隊トップの男が健五郎から手を離した。
ほっとする健五郎を尻目に、大成総理が次の言葉を発した。
「嶽内 健五郎。本日をもって、国家公安委員長を解任する」
「そ、総理!?」
「そして、それ相応の罰を与える事とする。これで、どうか退いてくれないか?」
国家元首である大成総理が宗士郎と自衛隊トップの男に頭を下げる。未遂とはいえ殺されかけた宗士郎は静かに言葉を返す。
「俺も……そいつがしでかした悪事を知った時は、途方もない殺意に駆られました。ですが、こんな奴……斬る価値もない。こいつの所為で死んでいった自衛隊の皆を手厚く弔ってくれれば、俺としては構いません」
「鳴神君……っ、私も彼と同意見です」
「わかった。それも手配しておこう」
頭を上げた大成総理が悠然と頷いた。
その瞬間、健五郎の身体はへなへなと崩れ落ち、魂でも抜かれたように会議室のオブジェとなった。
『異界』に行くに際して、細かいところを詰めた後、総理との会合はつつがなく終わりを告げたのだった。
大成総理との会合。嶽内 健五郎の嫌味を乗り越え、無事カイザルの恐ろしさを伝える事に成功する。そして、『異界』行きの件も許可を得た宗士郎は次なる予定をこなしにいくのだった。
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え~活動報告にも書きますが少し報告です。
エピローグ1・2で第二章を締める予定だったのですが、又もや文字数が多くなってしまい、書きたい描写が書けなくなってしまったので、急遽『エピローグ3』を増やす事にしました。
力不足で本当に申し訳ありません。