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エピローグ 1 元の鞘以上に収まる?

エピローグその1! 後書きにも書きましたが、エピローグその2もあります。ひとまずは、その1をお楽しみ下さい!!

 




「ほれ、終わったぞ」


 ――深夜零時頃――


 裏山から帰還し、茉心の神力を使った治療を受けた宗士郎達は自宅にある和室の大広間で、全員揃って大の字で寝転んでいた。


「あ、ありがとな……茉心」


 皆が寝転ぶ中、ひとり正座してゆっくりとしている茉心に礼を送る。


「気にするでない。恩を返しただけじゃ」

「いいや、茉心がいなかったら俺は桜庭に本心を伝えられず、桜庭も戻ってこなかった。だから、ありがとう」

「ふ、ふん……こそばゆい事を言うな、馬鹿者め」


 二度も礼を言った律儀な宗士郎に、照れた茉心が少し顔を背ける。


 宗士郎の言う通り、彼女がいなければ、事態は好転しないどころか悪化する可能性すらあったのだ。礼を言わない方が失礼というものだ。


「あ~あ、汚れたまま寝転んじゃったから掃除が大変だなぁ……これも神力で何とかならない? 茉心さん」


 身体を起こし、母親目線の感想を述べた柚子葉が手を合わせて茉心に頼む。響と和心以外、全員が夜の山で戦闘を行っていたので、汚れるのも当然というもの。


 まるで未来からやってきたネコ型ロボットに縋るかのように頼ると、


「しょうがないの~」


 今回だけじゃぞ? と念を押しながらも、茉心が神力を使ってこの場にある全ての汚れを処理してくれる。


「ついでに、(みな)の身体も洗浄しておいた。今日は風呂なしで済む」

「茉心さん、何でもできるんだね!」

「さすがは私のお母さんです、ふんす!」

「はは、和心ちゃんが胸を張るところか?」


 マコえもん――もとい、『神天狐』の茉心の力に柚子葉は褒め、和心がない胸を張り、響がそれをツッコむ。和気あいあいとした、元の空気だ。一時期、このよさげな空気を乱してしまった張本人の宗士郎としては、嬉しいばかりである。


 一同ほんわかしていると、楓が少し悩んだ素振りを見せて尋ねた。


「それはそれとして、えーと私も茉心と呼んでも構わないかしら? 私も楓と呼んでもらっていいから」

「うむ、構わぬ。して、どうした楓よ」

「貴方が捕獲したアルバラス、そいつが操っていた人達がどうなるのかを知りたいのよ。今、アルバラスと話せるかしら」

「無論じゃ」


 承諾した茉心が両手をパンッと叩き合せる。すると、茉心の胸元から先程の棺が小さなサイズで出現し開かれた。


『フゥンっ、やっと外の世界を再びを拝む事ができたわぁん♡』

「「――――」」


 そして、棺のサイズに合わせて現れた小さなアルバラスの姿を皆が絶句した。


 しばらくジロジロと観察してから、頼んだ楓本人が控えめに口を開く。


「…………誰?」

『ンもぅっ、誰とは失礼ねぇん。今さっきそこのボウヤにやられたアルバラ――スチュン!!?』


 バチーンッ!!!


 本能的に、その場でクネクネと蠢くアルバラスを光の速さで両手ばさみした宗士郎。何故、そのような事をしたのかその場で問いただす者は誰一人としていなかった。


 せめて夢であってほしい、と宗士郎は神にも縋る思いで両手を開けた。


『痛ぁいわねぇん!? こんな姿でも痛覚はあるんだからねぇん! プンプン!』

「あ、悪夢だ……」


 宗士郎は頭を抱えて、この世の終わりと言わんばかりに絶望する。


 情報を引き出す為、アルバラスを捕獲したのはまだ良い。問題は現れたアルバラスの姿だ。


 今までの口調から予想できるに、オカマだろうという事は皆分かっていた。ヒョロガリな男が女装しているレベルのものだと。しかし、現れたアルバラスのお姿、それは想像を絶する……否、想像する事すら禁忌と言わしめるものだった。


 筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉、飛んで筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉。鋼の如き照り光る強靭な筋肉。それはまだ良い、良いと言わなければならない。


 更なる問題はその強靭な筋肉に合わさる特徴的なコスチューム。


「い、いい、『異界』にもバニースーツの概念があるとは……!?」

「まさに地獄絵図……」

「これってもう核兵器なんじゃないかしら」


 そう、バニースーツ。


 肩紐のない黒のレオタード、白カフス、襟型のチョーカー&蝶ネクタイ、頭とお尻に兎さんの耳と尻尾、そして網タイツ。


 本来ならば女性が着るべき衣装を筋肉ゴリマッチョ野郎が身に着けているのだ。破壊力が凄まじい。極めつけに、アルバラス本人がキャるん♪ とウインクしながらハートを飛ばすなり、可愛く怒るなりしているおかげで、何人かが白目を剥きかけている。


「お、おい。何で蜂の群体でも、女装してる細身の男でもないんだよ……!? どういう設定だこれは!!」

「『封滅結界陣』は閉じ込めた者の力を封じる効果と正体を暴く効果も備わっておる。詰まるところ、それが魔人アルバラスの真の姿という訳じゃな」

「私も驚きでございますが、まあこんなものでしょう。お母さんが過去に捉えた者達の中には、これを超える物体がいましたので」


 アルバラスを閉じ込めている棺の説明をする茉心とその娘の和心は至って普通の態度。その辺は異界――『イミタティオ』で慣れているという事だろう。


 だが、流石に地球人には刺激がキツ過ぎた。


「士郎、ごめんなさい……トイレ借りるわね、うぷ」

「ごめん、お兄ちゃん。ちょっと中のもの出してく……うっぷ」

「鳴神君、私も…………」

「宗士郎、俺も借りるわ…………やば、吐きそ」

「気にするな。……俺もだ、うぅぷっ!?」


 楓、柚子葉、みなも、響達が口元を抑え、揃って立ち上がる。あまりの衝撃に吐き気を催していた。皆して申し訳なさそうにするのだが、アルバラスが放つ強烈な気持ち悪さに宗士郎も耐えられる訳がない。


 茉心と和心を置いて、宗士郎達はトイレへと走った。だだっ広い鳴神家にトイレが二つ以上あって良かった、と宗士郎は当たり前の事を改めて感謝した。





「うっぷ……で、自衛隊の人達に植え付けた『蜂種』はどうなるのかしら?」


 胃の内容物を全て吐き出した後、遅くなってしまった本題へと入る。


『この結界の中に入った時点で私の力は遮断されてるから、既に灰となってるわよぉん。残念な事にねぇん』

「ほっ……良かった~。殺さずに電気ショックで気絶させて正解だったよ」


 楓が尋ねると、アルバラスはあっさり観念し残念そうに肩をすくめた。


 後から柚子葉に聞いた話によると、『関東地方自衛隊本部・地下特別牢』から脱走した自衛隊員達に遭遇し交戦したらしく、銃を乱射される前に柚子葉の異能『雷心嵐牙(テンペスター)』で気絶させた後、宗士郎が心配でその場に放置していったようだ。


 今しがた、話を聞いた宗士郎が自衛隊に連絡を取ったので、回収班を向かっている所だろう。


「じゃあ、後はアルバラスから魔神カイザルの恐ろしさがわかる情報を吐かせて、総理に伝えて『異界』行きの許可を貰うだけか」

『カイザル様と御呼びィィィィ!! 拷問されても、カイザル様の情報を漏らさないわよぉん。私は魔傑将なんだからぁ』


 響がカイザルの話題を出すと勝手に拷問される方向へと話を持っていくアルバラス。その忠誠心は見上げたものだが、『神天狐』の茉心には通じない。


「安心せい、拷問などせずともお主はただ座ってるだけで良い。それだけで事が済む」

「じゃあ、今日の朝に取り次いで貰って、昼に総理と会談する事にするぞ」

「それで構わぬ」

『何無視してんだゴラァ!? 絶対に話はしな――』


 バタン……!


 設定も忘れて男声で怒鳴るアルバラスを無視して、茉心が『封滅結界陣』の棺を閉じた。今、茉心の力を借りてアルバラスの記憶からカイザルの情報を見た方がいいと思うのだが、初めて総理と同時に見る事でより迫真の反応を出せると踏んだ。


 一度見て慣れてしまった事で、宗士郎にとっては大した事ではないのだな? と揚げ足を取られるのを防止する為だ。対峙しただけでカイザルの恐ろしさを理解できた柚子葉に言わせれば、一生慣れる事はないかもしれない、との事。


 もちろん、宗士郎も同意見だ。


「じゃあ今日も疲れたし、寝るか! 宗士郎、泊まってくぜ~」

「私も泊まらせてもらうわ。柚子葉の部屋で寝させてね」


 話が終わった所で、響と楓が当然のように泊まると宣言し、いつも寝泊まりしている部屋へと歩いて行く。


「うん。いいよ~先行ってて。茉心さんは和心ちゃんと同じ部屋で寝てもらいますね」

「うむ」

「お母さん! こっちでございます!!」


 続いて、柚子葉と茉心、和心も示し合わせたかのように和室から姿を消す。残った宗士郎とみなもはお互いの顔を見合わせた。


「気を遣われた…………?」

「みたい、だな。ありがたい事に」


 同時に頬を緩ませる。


 二人で話をして貰おうと気を遣われたみたいだ。楓が去り際に、ウインクを飛ばしてきたので、多分そういう事だろう。


「さてと、眠くないか? 眠いなら朝にでも話すけど」

「今、話してくれないとまたお風呂に突撃するよ?」

「ぐっ、卑怯な。残念娘の癖に生意気だぞ」

「関係ないよね、今……!?」

「ははっ……それじゃ、縁側で話そうか」


 お風呂の時の事を持ちだすみなもに、宗士郎は悪態をつく。別に脅されなくとも、話すつもりだったのだが、その所為で風呂の時のみなもの姿を思い出した宗士郎はみなもに隠れて顔を赤くするのだった。





「…………」

「…………」


 縁側に出る事、数分。


 真夏の夜の風は少し涼しく、どちらから話す事もないまま無言を保っている。だが、今は不思議とこの無言が心地良く感じた。ようやく元の鞘に収まったという安心感があるからだろうか。


 否、誤解を解いてから出なければ元の関係に戻ったとは言えない。


 意を決した宗士郎は深呼吸をすると、みなもを見て話し始めた。


「あーっと、桜庭が誤解している件なんだが…………あの時の俺は宗吉さんに相談を受けてたんだ」

「知ってる。ドアの隙間から学園長と話してる鳴神君が見えたから。最初に見た時、鳴神君のお父さんの話をしてるから世間話かなって思ったの」


 そこからか、と宗士郎は軽く頭を掻いた。


 宗士郎の父蒼仁の話題が出る前から話を聞いていれば、みなもが勘違いする事もなかったのかもしれない。いや、過ぎた事を悔やむのは駄目だ。みなもにそう教えた自分が今更の事で悩むのは違うと思い、宗士郎は話を続ける。


「問題はその後の内容を桜庭が勘違いした事、だな」

「確かあの時は確か…………『了解です。行く前日には話し合って貰いたいし、何よりその時は俺達の側に桜庭はいない方が良いでしょうから』って言ってたよね?」

「よく覚えてるな。まあ、覚えてる俺も大概だけどな」


 その時の宗士郎の言葉を一言一句違わずに想起できるみなもに、宗士郎は驚嘆する。


「それを聞いた私は……鳴神君にとって、私が『要らない存在』なんじゃないかって思っちゃって…………」

「成程な、そこだけ聞くとそう取られても仕方ないか。実は桜庭が勘違いした所の前に、宗吉さんから相談されてな。『異界』に行く事が決定したら、桜庭は必ず付いて来るだろうから、行く数日前に家族と水入らずの時間を過ごして貰いたい…………そういう意味で、俺達の側にいない方が良いだろうって話してたんだ」

「………………え?」


 勘違いしていた内容を修正して伝えてやると、みなもが数秒放心してから首を傾げた。


「え? いや、そんな単純な話だったの? 『異界』には行くつもりだったけど」

「勘違いさせた俺が言うのもなんだけど、そうだ。家族の説得も含めて、家族で話し合って欲しい。ただ、それだけの話だったんだ」


 何度も首を傾げるみなもに、もう一度詳しく説明する。


 すると、


「きゃーきゃーきゃーきゃーきゃあぁぁあああああーーーーっ!?!?!?」

「えええ!?」


 突然頭を抱えて唸り出したみなもが縁側でゴロゴロ転がり始めた。


「(え、嘘! 私、勝手に盗み聞きして勝手に勘違いして勝手に暴走してたってことぉ!? もう少し、もう少し冷静に聞いてればぁ……! うきゃ~~!!? 恥ずかし過ぎるぅ~~!? みなものバカバカっ、末代までの恥だよぉおおおおお!?)」


 そうして独り、心の中で盛大に後悔するみなも。


 ああいう話をしていた宗士郎もそうだが、勘違いしていた自分自身もかなり悪い。宗士郎を好きになった直後だから、なお悪い。


 好きと分かったその日の内に、想い人の口からあんな誤解しそうな事を耳にすると誰だって早とちりするよ!!? と心の中で何度も地団駄を踏んだ。


「さ、桜庭?」

「あーもう!」


 みなもが夜中にもかかわらず、投げやりに叫ぶ。そして、立って宗士郎の前に向き直り。


「ごめん! 鳴神君! 私が早とちりした所為で、こんな面倒な事になって。迷惑かけて、本当にごめんなさい!」


 誠心誠意、頭を下げて謝った。謝罪を聞き届けた宗士郎は一瞬ポカーンとして笑った。


「そんな事、今更だろ? お前と関わりを持った時点で覚悟は決めてたっての。それに……」

「……それに?」

「それに桜庭は……俺の大切な友達で、仲間だ。むしろ、もっと迷惑をかけてくれてもいい。仲間が面倒事に巻き込まれた時は、その度に俺がどんな事をしてでも必ず助けてやる。だから、頭を上げてくれ」


 十年前の誓い、そしてみなもの両親との誓い。


 この二つの誓いがある限り、宗士郎はいつ何時でも仲間を守る盾となり矛となろう。それが宗士郎の信念なのだから。


「っ…………」

「っと。桜庭?」


 不意に、みなもが座ったままの宗士郎に抱きつく。どもらずに名前を呼べたのは、彼女の裸を一度……いや二度見たからだろうか。


「(ああ、やっぱり。私はこの人が好きなんだな……)」


 抱き着いたみなもは心の中で反芻するように、胸に浮かぶ気持ちを抱き締める。


「あ、そうだ。そう言えば、前に俺が怒った理由をちゃんと言えてなかったな」

「私がドッペルゲンガーにやられそうになった時の?」


 みなもに抱きつかれたまま、宗士郎は小さく頷く。


「仲間の桜庭が心配だったから。『異界』に行く事になった時、辛い決断を下せないんじゃないかって。これが一つ」

「もう一つは……?」

「桜庭が信念を――自分を見失ってたからだ。大事な人も、それ以外の人も守るっていうお前を。だから、怒ったんだ」


 二つの理由を聞くと、みなもは少し身体を離して宗士郎を見た。


 そして、耐えられないとばかりに笑みを零した。


「あははっ……やっぱり鳴神君は優しい人だよ。私の事を考えて怒ってくれたって事でしょ? 本当に嬉しいよ……」

「俺を軽蔑しないのか……」

「軽蔑なんてとんでもないよ。むしろ尊敬してる」

「仲間を失って嫌な思いをしたくないからって事だぞ? 結局は自己保身な奴なんだよ、俺は」

「それなら鳴神君は自己保身の為に、ぼろぼろになってまで私を救ってくれたの?」

「っ、違う!」

「ふふ……やっぱり優しい人だよ、鳴神君は」


 みなもと語らう中で、宗士郎はこう思っていた。


 ――自分は薄情な奴なのではないか。


 と。


 彼女を思いやる事が出来なかったからこそ、今回の事に繋がったのではないかと心の奥底ではそう考えていた。しかし、桜庭 みなもという人間に関わる内に、少しずつ彼女の影響を受けていたのだ。それも良い方向に。


 今回の一件で、自分という存在を今一度知れたような気がする。


 宗士郎は感慨深くそう思った。


「今までからこれからも……辛い事も悲しい事も一緒に乗り越えていこう、鳴神君」

「それって、告白か?」

「あ、いや……違っ、わなくもないっ……ような、違うような気もするけど……!」

「はは、冗談だ。お前が困難に合って、辛い事があったとしても。お前は走ればいい。俺はその横で共に歩んでやる」

「……鳴神君」

「皆と一緒にな」

「ガクーン!?」


 急にみなもが肩を落とす。


 凄く良い事を言った気がしたのだが、ガッカリさせるような所でもあったというのか。


「鳴神君は鳴神君らしいね。良い意味でも悪い意味でも」

「どういう意味だよそれ!?」

「あはははっ…………つまり――」

「!?」


 チュッ。


「こういうこと、だよ……? お、お休み!」

「あ、ああ………………」


 唐突にみなもが近付いてきたかと思うと、不意打ち気味に頬に柔らかく温かい感触が。唇に人差し指を当てて照れるみなもは、そのまま自室へと戻っていった。


「えっと……これは、つまり…………そういう事、なのか?」


 みなもが去った後も残り続ける頬の感触。手を当て、感触を思い出すと流石の宗士郎でも勘違いしそうになる。


「――ほほぉ。青春じゃの~」

「!? ま、ままま、茉心!? 寝たんじゃなかったのか!?」


 突如として、背後からぬるりと茉心が現れ、クスクスと良いものを見たと笑っていた。それに気付いた宗士郎は柄にもなく、激しく動揺した。


「いや、なに。少し尋ねておきたい事があってな。それが偶然にもこういう光景を見れるとはの~うん、良い」

「馬鹿言ってないで早く用件を言え!!?」


 ぷぷぷと堪らず笑い続ける茉心に怒鳴ると、わかったわかったと言って話し始めた。


「実は今宵、小童の剣に起きた現象のこと何じゃが…………何か知らんかの?」

「…………期待してるところ悪いが、俺も知らないぞ? あんな事が起きたのは初めてだったからな」


 そうか……とすこぶる残念そうに茉心が肩を落とす。


「教えられるのは、あの剣――『雨音』は死んだ俺の母さんの形見である事と、数百年前にこの地に住まう土地神様から賜ったものという事だけだ。それ以上の事は知らない」

「そうか…………ならば、良い。早う寝るのじゃぞ」

「ああ」


 深刻そうな面持ちで聞いてきたのにも関わらず、あっさりと引き下がっていく茉心。宗士郎の言った通り、あれ以上の情報は鳴神家にはない。


 茉心の用件に不思議に思う中、宗士郎は自室に戻って静かに寝息を立てるのだった。





ようやくみなもの誤解を解けた宗士郎は不意に彼女からキスされる。その意味に鈍感過ぎる宗士郎は気付きそうになるも、それは有り得ないと決断を下すのだった。



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あまりにも長くなりそうなので、エピローグ1・2と分ける事にしました。内容的には続くので、次のエピローグ2をお楽しみを!

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