第六章 散策
第六章 散策
001
ついに、ようやく、僕達はギルドに向かうことになった。
ただ、トリカゴから抜け出してまもないというこで、リアノ国王の計らいにより城下町を散策する時間を与えられた。
城門を抜けたところで、
「なぁ、別行動にしねぇ?」
と、ユウガからの提案があったので別行動にすることになった。
ユウガは足早にどこかへ向かう。見かけた美人でも探すつもりだろうか?
さぁ、僕はどこへ行こう。
「ねぇ、マキト」
ん、なんだろう?
………
沈黙が続く。
「?、どうした?」
「あのさぁ、そのぉ、ええっとさ…よかったら一緒に行かない?」
002
特に目的地もないしルッカと一緒に行くのも悪くないか。
「いいぞ、一緒に行こう」
?、ルッカが固まった。どうした?
「ううん、何でもないよ。えへへ、じゃあ行こっ!」
やけに上機嫌なルッカと共に僕は町へ降りる。
散策をするにあたり、国王は幾ばくかのお金を渡してくれていた。これで泥棒にはならずにすむ。
「あっ!ねぇ、あれ果物屋さんかな?」
行ってみようよ!ーー と、ルッカに引っ張られた僕は果物屋によることになった。
「ねぇ、これトゲトゲしてる!」
「おや、あんたたち、パイナップルを知らないのかい?」
よかったら食べてみな。ーー と、果物を売っているおばさんがパイナップルのかけらをルッカに渡す。
「…んん!ちょーおいしいよこれ!」
どれ、僕もひとつ。
「…んんん!美味しい!」
「ははは!そりゃよかったよ!」
と笑う店主の前に黒っぽいパイナップルのようなものがおいてある。これも美味しいのか?そう思ってそれを手に取る。
「ん!臭い…!」
なんだこれは?腐っているのか?
とんでもない激臭に悶える僕を見て笑うルッカと店主。
「ははははは!それはドリアンって言う果物だよ。臭いはキツイけど味は別格だよ。」
そう言ってドリアンのかけらを渡された。
恐る恐る食べてみるとはたして。
「………!!」
美味しい!
あまりに美味しくて言葉が出なかった。
003
濃厚な舌触りと濃厚な甘みと濃厚な臭いを口に残しつつ、僕達は町を歩く。
と、通りがかった店の中から何やら楽しそうな声が聞こえる。
「なぁ、この店に入ってみないか?」
「うん!いいよ!」
扉をくぐると、そこには上機嫌な男たちでいっぱいだった。
「らっしゃーい!」
明るい女性の声が響く。
僕達は案内されるがままに席につく。
「あんたたち、見ない顔だね?どっから来たんだい?」
ドームから。と答えるやいなや周りの男たちが騒ぎだす。
「おい!ドームだってよ!」
「あんなの嘘に決まってるって」
「いや、嘘じゃねぇぞ。あいつら魔法使ってやがった!」
「マジかよ!スゲーな!」
ガヤガヤと騒ぎだす店内。
そういえば、国王が言っていた。我々には一大事だと。
迂闊だった。すぐに店から出なくては。
「全くうるさいねぇ男ってのは。安心しなよ、ここには馬鹿しかいないから」
と、僕達は酒…は飲めないので、ジュースを飲みながら酒場の男たちと談笑するのだった。
004
店内で次の目的地を決めていた。
ルッカ曰く、この町には灯台があるらしく(僕は気付かなかった)そこに向かうことにした。
と、ルッカが足を止める。
「ごめん、ちょっとまってて!」
そう言って駆け出すルッカ。
「ちょ、おい!どこに行く!」
「えぇっと、トイレー!」
005
気付けば日が暮れてきている。
待てど暮らせどルッカは来ない。
女子のトイレってこんなに長いのか?