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トリノミルユメ  作者: 東頭 保
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第二章 開幕

第ニ章 開幕


001


遭難した。いや、もっと言うと漂流した。

外にでた僕達の舟は大きな波にのまれた。

そこで、僕の記憶は終わっている。

ここは…部屋? ベッドの上か?

!!

「ルッカ! ユウガ!」

慌てて周りを見ると、はたしてそこに二人はいた。

眠っているようだ。

「よかった…」

トン トン、ガチャ

「おや、目がお覚めになられましたか。どこか痛いところはございませんか?」

そう聞いてきたのは、シスターのような姿をした若い女性だった。

「あ、ああ。大丈夫だ。すまない。えっと…あんたが僕達を助けてくれたのか?」

「いえ、ここへ貴方達を運んで来られたのは漁師の方です。私は、ただ見守っていただけですよ。」

「そうか、すまない。ここは教会か?」

「はい、教会です」

そういえば ーー とシスター。

「貴方達はどこからいらしたのですか?」


002


僕はこれまでの経緯を話した。

「ということは、あのドームからいらしたんですねぇ」

ドーム?

「はい、私達は貴方達の住んでいた場所をドームと呼んでいます。でも、本当に人が住んでたんですね」

その言い方だと、まるで人が住んでいないように思われていたようだが。

「はい、全くの未知の世界ですから」

そうか、外からも中の様子はわからないのか。

ところで ーー とシスター。

「皆様はこれからどうなさるおつもりですか?」

どうしよう…何も考えてなかった。その場のノリで外に来てしまったが、軽率だったか。

そんな後悔はカラスもつつかないのでさておき、二人が起きるまでに外の世界のことを聞いてみることにした。


003


うぅん…

「はっ!ここはどこ?私は誰?」

ルッカが起きた。

「今何時何分?ていうかあなたは誰?」

「僕はマキト。時間は知らない。お前はルッカ。ここはあの世だ」

「そっか、私達死んじゃったんだね…」

ってなんでやねん! ーー とつっこまれた。その口調がどこの国の言葉かはさておき、そんなくだらないやりとりをしているうちにユウガの目が覚めた。

「ふぁあぁ…ここ、どこだ?」

「あの世だよ」

まだやる気か。

「そうか、俺達死んじまったんだな…」

ってなんでやねん!ーー だからどこの国の言葉だよ。


004


ここで、シスターから聞いた情報をまとめておこう。

僕達がいるのは小さな 名前もない島らしい。

ここはその島で唯一の教会のようだ。

わかったのはこれだけだった。

外の世界について具体的に聞いてみたが、詳しい回答は得られなかった。

だが、今後の方針は決まった。

この島の付近では珍しい魚が捕れるらしく、その魚を売りに西の大陸にある国 リアノ王国へ舟が出るそうだ。

僕達がその舟に乗れるよう、シスターが掛け合ってくれた。

この世界にはギルドという組織があるらしく、その組織に属していることが身分証明になるという。

そして、リアノ王国にはギルドの本部があるらしい。

願ってもない話だ。

「では、世話になった」

そう礼を言って僕達は教会を後にした。


005


「おーう!お前達、無事でよかったぞ!」

ガハハハハ! ーー と僕達を助けてくれたらしい漁師は豪快に笑う。

「その節は助かった、ありがとう」

「いいってことよ!そんなことよりも、お前達あのドームから来たんだってな!で、どうだ?」

ん?何がだ?

「外の世界だよ!お前達から見てどんな感じなんだ?なんだったらドームの中の様子も聞きてぇな!」

ガハハハハ!ーー と。

「あまり変化は感じない、ともに穏やかな様子だ」

「そうかい!そうかい!だったらリアノに行くのが楽しみだなぁ、おい!」

ガハハハハ!

僕達は船室に案内された。

「あぁ、楽しみだなぁ。ねぇねぇ、リアノ王国ってどんなとこだと思う?」

「やけに楽しそうだな」

「あったりまえでしょー。王国なんて物語の中だけだと思ってたんだから」

「二人は向こうに着いたら何がしたい?」

「えっとねぇ、美味しい物をいっっぱい食べて、いっっぱいオシャレして、あと、いっっぱい楽しいことしたい!」

「ユウガは?」

「そうだなぁ、美味い飯食って、強い魔物と戦って…

ってか、お前はどうなんだよ?」

「僕はいろんなことを知りたい」

カンカンカン!ーー と鐘ねような音と共に、船長の出航を合図する声が聞こえた。

いよいよだ。僕達の冒険が幕を開ける。

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