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紅に燃ゆる〜千本桜異聞〜  作者: 吉野
第一幕〜初音〜
2/22

桜舞う、雨の如く


舞い散る桜も、祖母の急すぎる死を惜しんでくれているかのよう。


そんなのは残された者の勝手な感傷よね。




貴女がいつまでも泣いていたら、お祖母様も心残りよ…なんて、みんな励ましてくれたけど。


しっかりしなきゃいけないのも、わかっている。


わかってはいるんだけど…。



唯一の肉親である祖母が亡くなった今、どうしようもない悲しみと孤独感に、私は打ちのめされていた。


両親が亡くなった時も、そのすぐ後に祖父が亡くなった時も、同じように悲しかったし辛かった。



だけど今、その比ではない寂しさ、心許なさに絶望すらしていた。



——いっそ、私も……。


庭から吹き込んでくる桜の花びらをぼんやり見つめながら、ふとそんな事を考えてしまう。



…その時だった。



『しずか』



誰かに呼ばれた気がしたのは。




「…誰?」



そう呼んでくれる人は、みな亡くなってしまったのに。


振り向いても、やはり誰もいない。



空耳だったのか。


それとも孤独な私の心が生んだ幻聴か。


そう、思ったのだけど…。





『しずか』



今度は先程よりもはっきりと聞こえ…。


そして私は舞い散る桜の花びらに包まれた。



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