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最初と最後の記憶(2)

「シリウス!シリウス!シリウス!シリウス!…」


やむことなく、響き続ける歓声の中、二人の拳士は静かに向かい合う、そしてまた、それと同時に歓声も止む。


審判が言う

「それではこれより、パルザン 対 拳聖シリウスの決勝戦を開始する。

両者立ち会って… 始めッ!」


だが、お互い一歩も動かない。

否、動かない訳ではない。ただ、お互いが目の前にいる “バケモノ”を相手にして、呼吸、僅かに握られたナックルガードで覆われた手、両足の開き、どこを取っても、相手に不足は無いと、確信する為の様子見だったのだ。


闘いは唐突に始まる。パルザンが先に攻撃を仕掛けた。一見、なんの変哲も無いただのジャブ、だが、それはあくまでシリウスに限った話、普通のものがくらえば、認識すらできず、顎の先をピンポイントで打ち抜かれるだろう。事実、観客席にいたもの達からは、少しシリウスがよろけたくらいにしか見えなかったのだから。


シリウスはその攻撃を躱した瞬間、確信した、コイツは本気が出せると、

コイツには最初から全力を出すに値すると、でなければ、失礼だと


それから数十分にも闘いは及んだ。


パルザンの放つ蹴りを、シリウスは僅かに後ろに体重をかけて躱すと、目にも留まらぬ速さでステップし、素早くパルザンの懐に潜り込み、フックを打とうとする、が、パルザンも放った蹴りの勢いそのままに空中で一回転すると、迎え撃つかの如く、膝蹴りの体制を作り上げる。その攻防に要した時間、僅か数秒。


そのような息つくヒマ無き、攻防は、まるで古来より伝わる流麗な舞のようでありながら、また、同時に、

一撃のもとに、相手を死に至らしめる危険性も感じさせるのだった。



だが、物事には始まりがあるならば終わりもある。

ゆっくりと、しかし確実に終わりは近づいていた








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