最初と最後
トン…トン…トン…トン…
この機械的とも言える、6月の雨が窓に当たるこの音が俺の第2の人生においての最初の記憶であり、
開始のゴングのようにも聞こえた。
突然、頭の中で鮮明に、まるで自分の事のように、ある記憶が蘇った
「お〜っと!これから行われるこの闘いはこの長い歴史を持つコロシアムの中でも史上類を見ぬ闘いとなる のではないでしょうか‼︎」
興奮し、半ば叫びに近い声で、アナウンサーがそう言い放った。
「コロシアムの左側より出てくるは、挑戦者、パルザンッ!
今や、その神をも仕留めるとも言われるその拳は、今宵、拳聖を仕留める為に振るわれようとしています!」
観客席から、割れんばかりの歓声が上がる。が、しかし、次のアナウンスが始まり、ある男の登場と共にまるで世界から音が消えたかのように、場内が静かになる
「続きましては、コロシアムの右側、もはやこの世に知らない人はいないとも言われる、現代最強にして歴代拳聖の中でも、群を抜く実力の持ち主、もはや紹介するのも、無駄な時間になるかもしれませんが、紹介しましょう!!生ける伝説ッ!… 拳聖 シリウス〜‼︎‼︎」
その瞬間、空を破り、天を突き抜けるような声が、辺りを埋め尽くす。