表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

その九:お前が怖い

 前回紹介したNなる人物は中々にやってくれる人物であった。

 彼との帰り道、後ろから憑けてくる幽霊がいた。

 正直私はうんざりしていた。またかと。

 私は腹に力こめて、そいつを追い払おうとした。しかしその必要はなかった。

 Nは私以上にいらついていたらしい。人間を殺せるくらいの眼光を振り向きざまに、そいつに見舞った。そいつはビビッて音速で逃げて(消えて)行った。


私「人間が幽霊ビビらして、どうする?」

N「憑けまわした方が悪い。」

私「まあ、そうだけど。」

N「なに?なんか文句ある。」

 

 ないよ。あと、お前はなんなんだ?人間であるはずの自分も、お前には恐ろしさを感じるよ。

 


 それから数カ月たった。私は恐ろしいものを見た。

 体育館の舞台下手の控え室の奥はせまい倉庫があり、そこにはピアノが置いてある。そこはいつもうす暗く、鼠のようなお化けが動き回っていた。

 そこには化け物がいた。大きな影でヒト型をしており、そいつがネズミのようなモノを食べていた。化け物が顎を動かすたびに鉄が軋みをあげるような不協和音が響いた。

 私は自分が殺されるかもしれないと思う余裕もなかった。そいつは、ただただ恐ろしく。凶暴だった。あれは化けものだった。

 そしてその化け物の正体は、何年もかけて心に澱のように沈殿した負の感情だった。僕には恐ろしかった。人はどこまででも人を憎めるようだ。その証拠に化け物がいたのだから。

 そして、その化け物の飼い主はNだった。

 彼が憎み続ける限り、あの化け物はきっと大きくなるだろう。そしていつか、彼を押しつぶすだろう。

 私は、お前が怖いよ。そして哀れだよ。お前は老いることを知らずに死ぬだろう。私はそう確信している。だけど、この予測が外れてほしいと僕は願い続けている。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ