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その六:あんたらって……

 ようやっと怪談ぽい話が出来るようになりました。

 ここまでお付き合いいただいた読者様には感謝しています。では、どうぞ。

 中学生になり、またもや転校することになった。

 北海道が新しい新天地になった。北海道は中々自分の気性にあっていたので住みやすかった。

 そんな悠々自適の日々を送っているとき出くわした話だ。


 あるとき自分は小樽駅で電車を待合室の中で待っていた。春の初めだった。寒くないはずなのに自分の背筋がぞくぞくしてくるのだ。

 するとそこに数人の若い兄ちゃんが若者特有の喧騒をまき散らしながら、待合室の中に入ってきた。自分は反射的に目をそちらに向けた。自分は恐ろしくなって固まってしまった。

 若い兄ちゃんのうちの一人が背中に黒いモヤを背負っているのだ。黒いモヤは人の形をしており、口のところに並んでいる歯が白かったのを覚えている。そいつはニヤニヤ笑っていた。

 自分は、「なんでこんな奴がいるんだ!」と叫びたかった。生ぬるい汗が自分の顎を伝って服の襟に染み込んでいった。一人の兄ちゃん言った。

「別に出なかったよね、あそこ。」

 続けるように他の人も、

「ほんとほんと、マジで出るっていうから期待してたのによお。」

「まあ、いいんじゃね。黒い奴が出るってゆってたけど、いなかったし。」

「マジ、ガセとかやってらんねえ。」

「だよなあ。」

 兄ちゃん達は笑っていた。

 私はよっぽど言ってやりたかった。

「あんたの肩にいるよ。」

 って、言ってやりたかった。

 でも、やめた。触らぬ神にたたりなし。面白半分に訪ねた向こうが悪いのだから、自分まで巻き込まれちゃたまらない。兄ちゃんを残して自分は駅の待合室を出た。

「馬鹿だねえ。」

 自分はそっと呟いた。 

 たぶん、お兄さんたちは元気にしてないでしょうね。

 次回は、路上で化け物に会う話と、列車の話をしたいと思います。

 

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