その五:土地の記録
今回は、あまり特別な幽霊の話はありません。
幽霊話で見にきて下さった方には、申し訳ありません。
日本に帰りついた私は、また新しい学校に通うようになっていた。この小学校には、あまりいい思い出はない。
なぜなら、転校して一週間くらいした後に教室で三人の女子に囲まれた。
「あたしらの方が、地元にいた時間が長いから『先輩』って呼びなさい。」
リーダーらしき女子が僕に対して言う。
「え〜、なんで?」
僕は当然のように質問する。
「え!?だってそうでしょ。」
質問されるとは思ってなかったらしい。
「いやだ。」
彼女らは困惑し、この行為に対して怒った。ついでに言うと、この答えが残りの小学生生活の行方を決めた。
まったく、その当時の私はいい性格をしていたものだ。今ならビビッて何も言えないところだ。
暗欝な半年を過ごして僕は卒業することになる。
その間に不思議なことはあまりなかった。
あるといえば、人魂を見たくらいだった。墓地のそばで話し声が聞こえたり、やっぱり憑かれそうになったりしたが、もはや特別な事ではなくなっていた。
残暑が厳しい夏の終わりだった。夜中の十一時か十二時くらい、家の中は静まり返りみんな寝ている。
僕は家の二階で寝ていた。暑苦しく眠れなかった。弟は同じ部屋で高いびきだ。僕は西側の窓の外に広がる桑畑を見ていた。すると青白い光が、瞬く間に左から右へと稲妻のように桑畑の上を横断した。
僕は怖くなって布団に潜り込んだ。暑さはもう感じていなかった。
後日、その事を親に話すと面白いことがわかった。自分たちの住んでいる土地は、昔から人魂が出たそうだ。お寺の坊さんが小僧と一緒に見たという記録があるらしい。
まあ、真偽の程は定かではない。
もしかしたら、私のもプラズマかもしれない。そうだったら嬉しいものだ。
次回は、僕が偶然に駅の待合室ので出くわしたとり憑かれた人の話です。
たぶん、これは怖いはず?
いまいち自信の持てない作者です。それと、各話の後書きを一部修正しました。時間があったら見直してみて欲しいです。
例によって、ここまで読んでくださった読者様には、感謝しっぱなしです。本当にありがとう御座います。