魔王城からの出発
一番朝が早いのは、瑠樺だ。隣で寝ているユフィを起こさないようにそっとベッドから抜け出す。
「朝ごはん作らなきゃね。そういえば、ユフィが色々と持ってたはず。」
言動が母のようだ。裕翔とマーベラスは隣の部屋で寝ている。
瑠樺がそっと覗いてみると、ベッドを使わず床で雑魚寝をしていた。思わず、くすくすっと笑う。
「卵にパンに、ああ、朝ごはんぐらいはありそうかな。干し肉は、できるだけ携帯食として持っておきたいな。」
卵とハムを焼く。そして見つけたパンに焼いたものをはさみ、皿にのせる。ちょうどその時にユフィが起きてきた。
「おお、ルカ。朝ごはんか。美味しそうじゃな」
ユフィの姿を見て瑠香は慌てて上着を羽織らせる。その行動ひとつひとつが親子に見える。
「少し待っててね。裕翔とマーベラスを起こしてくるから。」
「待っとるのじゃ。けど、いそげよ。」
「わかってるよ」
瑠樺は今にもパンに手を出そうとしているユフィに苦笑し、裕翔とマーベラスが寝ている部屋に入った。
さっきと同じ体勢で寝ていた。
「二人とも、朝ですよー。」
起きない。
瑠樺は、全くとつぶやいてもう1度呼びかける。
「裕翔ー、遅刻しちゃうよー。マーベラス、早く起きないと飯抜きだよ。」
『なんだと!?』
裕翔は飛び起き、時計を確認するような動作をするが、今の状況を思い出し、安心する。マーベラスは半分目をつぶっているような状態で、「ご飯、ごはん」とつぶやいている。
「顔を洗いなさい」
苦笑して顔を洗うように促す。マーベラスが嫌がったので、無理やり裕翔が洗わせた。
『いただきます』
四人が席に座り、パンを食べ始める。かなり多く作ってあるけれど、ユフィ、マーベラスのお腹に収まる量だ。
「さて、これからどう行こうか?」
「装備とかいるかな?」
「この魔王の力をとったのじゃ、魔王の力を使っていると考えていいじゃろう。」
「ぼくのウロコ、かたいからだいじょぶ。」
ドラゴンのウロコはかたい。それもマーベラス、希少なドラゴンなら、尚更だ。
「マーベラスはドラゴンだからな。俺ら一応、分類上人だぞ。」
「一応付けなくても人だよ。分類上。」
2人とも力だけ見れば、人から離れている。だけど、あえてそれを口にしない。人外は嫌なのだ。
「私は魔王だが、力がないとユウトにもルカにも勝てぬと思うがな。」
「ぼくはどうだろ?おあいこぐらい?」
人外2人から強さを認められる。
「さて、どう行こうか。」
「ここから近い国は確かフィン王国だっけ?」
それてしまった話題を無理やり戻す。
「そうだな。甘い物が多い国だ!」
ユフィの目が子供のようにキラキラと輝く。瑠樺と裕翔は、それを見て、苦笑いの表情を浮かべた。
「ま、フィン王国に行こうか。」
「うん!」
「うむ!」
「そうだね。」
上から裕翔、マーベラス、ユフィ、瑠樺の順だ。
4人は朝ご飯を食べた後、魔王城を出発した。




