魔王復活の知らせと英雄帰還
連載小説二作目。一作目も完結していませんが、ちょいちょいこちらも更新していこうと思います。
学校の帰り道。白鐘 裕翔は、コンビニに寄っていた。幼なじみの中鏡 瑠樺と、一緒に。裕翔は黒髪黒目で、顔は普通よりちょっと整っている。瑠樺は、焦げ茶の髪を後ろで一つに括り、黒目で顔の作りは良い。
「なぁ、裕翔。テストどうだった?」
「んー?俺は、まあまあだな。」
この前、テストがあったばかりだ。裕翔と瑠樺の成績は真ん中より少し上だ。裕翔の方が若干高い。
「お?これなんかどうだ?炭酸のバナナ味。」
「バナナ味!?変なものも出たんだな。」
少し黄色い炭酸が入ったペットボトルを手に持ちながら、瑠樺は迷っている。裕翔は、そんな瑠樺に少し呆れながらも、手にはよく分からないプリン味の炭酸ジュースを持っている。
似たもの同士のようだ。
ウーーウーーウーーー
2人が付けている胸ポケットのバッヂから警報が鳴り出した。2人は急いで会計を済まし、外に出た。誰も不思議な顔をしないのは、警報が聞こえていないからだ。
「いきなりだな。面倒臭いが。」
裕翔は背負っていたバックから、拳銃を取り出した。普通の拳銃ではない。玉を入れるところが無く、全体的に薄い感じがする。対する瑠樺は、のんびり炭酸を飲んでいた。
「炭酸バナナ、意外とイケるよ。」
瑠樺が炭酸を飲んでいるのを見て裕翔は呆れていた。瑠樺が炭酸を飲み終えると、ペットボトルを放り投げゴミ箱に入れた。まるで、某かっこいい動画みたいだ。
2人は手を重ね、鍵となる言葉を言う。
『導け。裏の世界へ。』
「さて行きますか。」
「もう、ほかの人が討伐してるんじゃね?」
遠目で場所を確認する。生体反応、人3、不明6。不明の点は小さい。渋々といったような感じで2人はその場所に走り始めた。スピードは瑠樺の方が早い。
瑠樺は手を伸ばした。その先に描き出される魔法陣。何重にも重なり合って複雑な図形を描き出している。
「"天に咲く、魔法の花。求めるは静寂。ノクターン"」
まるで、歌うように詠唱する。裕翔はそれに続けるようにして、拳銃を構える。拳銃の先には瑠樺はと同じような陣が回っている。
「"地に根付く、魔法の種。求めるは動乱。ラプソディ"」
瑠樺と対照的に、荒々しい詠唱が響く。だが、誰も気付いていない。さっきの瑠樺の魔法が発動した事を示す。裕翔は、それに構わず、敵に向かい拳銃を撃った。
キィィーンと音がしたそれは明らかに弾ではない。蒼い光、魔力が固まっているものだ。
蒼い魔力はそのまま敵を突き抜け、消えた。敵は、いくつもある目をぎょろりと動かせ、息絶える。敵の体は風穴を開けていた。他の弾も、ほかの敵に命中し、風穴を開けさせている。
「"水に浮かぶ、魔法の葉。求めるは静寂。ノクターン"」
瑠樺はもう一つ魔法を発動させる。すると、敵の死骸は、何処からか現れた水に攫われ見えなくなった。
「助けてくれてありがとうございます。英雄様、巫女様。」
裕翔はその言葉を聞いて、嫌そうに顔をしかめた。瑠樺は、ニコッと笑う。
「英雄って言うな。もう、前の話だ。」
「巫女って言うのもね。ちょっと恥ずかしいよ。」
2人はこの世界では、英雄と言われている。瑠樺は女性なので巫女と呼ばれているが。その名で呼ばれている理由は、魔王を倒したからだ。魔王は表の世界と裏の世界を混ぜようとした。表の世界は、2人が最初にいた世界だ。
「ではユウト様、ルカ様、王にお会いしてくれませんか?」
『は?』
兵士が言った言葉に、2人は呆然とした。なぜなら、会う理由が思いつかなかったからだ。
「何故?」
「また、魔王が復活しつつあるからです。まだ活動には入ってませんが、警戒するのは必要でしょう。」
魔王の復活?2人は顔を見合わせた。
「しかし、魔王は倒し、その上封印をしたはず。」
「ですが、現に蘇りつつあるのです。推測ですが、何者かが封印を解いたのだと思われます。」
瑠樺はため息を吐き、裕翔は空を見上げた。
「しばらく、またこちらの世界の住人になるのか。」
「だね。面倒なことに。」
実際のところ、2人の親は裏の世界出身で、こちらの世界が故郷という事になるのだが、2人は表の世界で生きているため、裏の世界にあまり慣れていないのだ。
「まぁ、故郷帰りという事にしとくか。」
学校などは心配ない。理由は裏の世界にいる間は表の世界では元々いなかったという事になっているからだ。
「たまに来ているとはいえ、立派なものだな。」
「同意するわ。」
王城に来た。周りは街で囲まれている。ちなみに、裏の世界に来た時にいた所は草原のような所で、この場所より北にある。この国の名はエルス。
「ユウト様、ルカ様。」
城に入った直後前から声がする。前を見ると、透き通るような銀髪、蒼眼の姫君がこちらに走ってきていた。年の頃は、裕翔達とあまり変わらないだろう。
「ココア様。走ってはなりませんよ。」
苦笑しながら、瑠樺は姫君、ココアに注意をした。ココアは、途中で走ることをやめるも、早歩きでこちらに向かってくる。
「ごめんなさい。2人が見えたことが嬉しくて。」
「しかし貴女は姫君なのですよ。」
ココアの少し落ち込んだ様子に、瑠樺は少し笑って、ココアの頭をなでた。裕翔はずっと笑っている。
「まあ、別にどうでもいいだろう。」
「裕翔、ココア様も王族だからその口調どうにかしようよ。」
「別に良いのです。ユウト様もルカ様も英雄なのですから。」
軽く言う裕翔に瑠樺が文句を言う。だが、ココアは特になんとも思っていないようだ。瑠樺はそんな2人の様子にやれやれとため息を吐いた。
「取り敢えず、このバッチはお返ししますね。しばらくこちらに留まることになったので。」
胸元に付けていたバッチをココアに返す。バッチは、表の世界にいるとき用の物なので、裏の世界に居る時は要らない。バッチは、裏の世界の人が倒せない魔物が現れた時に音が鳴る仕組みだ。
「魔王の事ですね。またこちらの世界の事情に巻き込んでしまい申し訳ないです。」
ココアはバッチを受取りながら、顔を歪めた。だが、対称的に裕翔と瑠樺は微笑んだ。
「しょうがないですよ。この力を持っているのは私達だけなので。あとは...」
「俺らの親はコッチの人間だしな。」
瑠樺の言葉を引き継ぐようにして裕翔が話す。二人とも自分の役割を受け入れているのだ。
「英雄ユウト、巫女ルカよ。また、我らに力を貸して欲しい。」
『王の仰せのままに。』
王との対面。決まったセリフを言う、だが最初から断る気も二人にはサラサラ無かった。
「二人の封印を解こう。」
そう言って、王は持っていた杖をふる。裕翔と瑠樺の周りに陣が描かれそれが輝き出す。光が収まると、裕翔と瑠樺の姿が少し変化した。
裕翔の黒髪は腰まで伸び、光を当てると蒼に輝き、黒目は深緑のような緑に。
瑠樺の髪は長さはそのままで、焦げ茶色の髪が赤い髪に、黒目はアメジストのような紫に。
「久しぶりだな。この姿。」
「うん。やっぱり目立つ色だね。」
二人は特に驚くこともなく、自分の姿を確認する。この姿はこちらの二人の姿だ。表の世界に馴染むために、目立たない色にしていたのだ。
「封印解除ありがとうございました。」
「だが、君たちは姿を自由に変えれるだろう。その姿以外に。
」
王は苦笑する。確かに二人とも姿を変えることが出来る。なぜなら、あまり目立ちたくないからだ。
「では、準備を終え次第、出立しようと思います。」
「ああ、この世界を頼むよ。」
準備は少し時間がかかりそうだ。
Q、これは転移系なのか?
A、作者もわかりません。思いつき&行き当たりばったりです。
Q、よく分からん。
A、そこは感覚で!!(説明する方法が分からない。)