オムニスに関する私見を含む調査報告書6
6.ショウタイムについて
6―1.オムニス内の世界間戦争
ユーザーが“ショウタイム”と呼ぶ戦争状況が発生する期間がある。最初にショウタイムが勃発したのは二〇三八年一月二十一日。以来一月、四月、七月、十月の二十一日には、ショウタイムが発生する。
システム上は正確には戦争と呼べるものではなく、その一日だけオムニス内すべてのエリアでダメージ判定がオンになるという仕様だった。仕様が発覚したのは最初のショウタイム勃発時だったが、どのタイミングのアップデートで実装されたのかは未だわかっていない。
事の発端は、ダメージ判定が全域でオンになっていることに気付いた一人のキャラクターの行動だった。
オムニスにはイーオンとアエラの二つの世界がある。イーオンで活動していたそのキャラクターは、軽い気持ちでアエラに乗り込み、目に付くプレイヤーたちに襲いかかった。
お互いの世界に過剰に干渉してはならないという暗黙の了解を破っただけでなく、プレイヤーキルまで犯したそのキャラクターの行動に、アエラの住民は激怒した。
当時アエラにはすでに国家が複数存在しており、各国家のトップが集結、即日中に軍を編制。編隊を組んで、イーオンに攻撃を仕掛けた。
イーオン側には自由を好むプレイヤーが集まっていることもあって、当然突然の集団戦闘に対応できるわけもなく、最初のショウタイムはアエラがイーオンを殲滅して終わった。
それ以降イーオンとアエラは互いに敵視し合うようになるが、あとになって、戦争勃発のきっかけとなったキャラクターがNPCだったのではないかという説が出る。というのも、役所がショウタイム中に活躍したプレイヤーを、ランキング形式で掲示するようになったからだ。システムによる仕組まれた戦争であるという説が浸透し始め、イーオンとアエラの関係はすぐに修復した。
しかしそれ以降も、一種のイベントとしてショウタイム中の戦争は楽しまれている。
後に調査が行われた結果、ショウタイムの勝利条件が判明する。それは、“ショウタイム開始時の敵世界のアクティブプレイヤーのうちの七割が、自主的に、あるいは戦闘不能によってログアウトした場合”、勝利と見なされるというものだった。
その時点でダメージ判定は平時の状態へと戻り、特定のエリアを除いてプレイヤーへの攻撃が不可能となる。




