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アメリカでは恐怖のナグモ・タスクフォース       日本では神秘の零艦隊 か?  そして零艦隊は永遠に

最終話です。

 ナグモ・タスクフォースにせっかく整備した空母や戦艦などをメッタメタにやられてしまったアメリカ海軍。

 パイロットも十分に訓練を重ねて開戦前より腕は良いという評価だった。さらに新型戦闘機のF6Fは運動性能が良好で防御力はF4F以上に高く、簡単にはやられないと思われた。

 しかし、結果は撃墜0、被撃墜187(全機種合計)と一方的だった。


「わかるか?撃っても平気なんだぞ。もちろん弾は命中している。あんな防弾有るのかよ!」

「ハワイの結果を聴いたけどな、信じられなかったんだ。ハワイでは撃墜出来たんだ。それなのに今度は…」

「ハワイで撃墜した機体を調べたところかなり華奢で急降下には耐えられないって話だったんで急降下で逃げたんだよ。そうしたら平然と追ってきたぞ。450マイル出てたよ。よく逃げられたと思う」

「知ってるか。隣を飛んでいた奴の主翼が折れたんだぞ。敵の銃弾で。どんな大砲積んでるんだよ」

「先に爆撃した奴の1000ポンドは確かに命中したんだ。カガの飛行甲板に。1000ポンドがど真ん中にだ。ところが爆発はしたが穴も開いてないだと。信じられるか」

「ヒリュウに魚雷が2発命中した。確実だ。ところがだ平然としてやがった」

「「「「「アン・ビリーバブル!!」」」」」


 攻撃隊で生き残ったパイロット達はなかばパニックに陥っている。海軍や国防省ではパニックが伝染するのを防ぐため生き残ったパイロット達を保養地に送り休養させた。

 パニックになっていたのはパイロット達だけではなかった。


 戦艦同士の撃ち合いとその横で繰り広げられていた水雷戦隊同士の戦闘では。


「コンゴウクラス2隻なら楽勝のはずだったんだ。こっちは16インチ砲戦艦3隻だぞ。最新で防御力も高い。なのにあんな古い14インチ砲の戦艦もどきに撃ち負けたんだ」

「奴らの魚雷は化け物だ。1本当たっただけで、駆逐艦が真っ二つだ。セントルイスは1発で沈んだ。これでは近寄れん」

「駆逐艦なら6インチ砲で大きなダメージが有ると思うだろ。奴らは何発命中しても平気だったぞ」


 ナグモ・タスクフォースの航空攻撃を受けた艦隊では


「奴ら、どんな爆弾使ってるんだ。たった1発で飛行甲板に大穴開いて空母としての能力を失ったぞ」

「航空魚雷の威力もとんでもない。1本で船が傾いた」


 以上、エセックス。さらに2本被雷し同艦は沈没している。

 エンタープライズ(Ⅱ)の場合。


「ガッデム。沈められた船の名前なんか付けるからだ」 

「傾斜回復不能。このままでは横転します」

「総員退艦急げ」


 など散々で艦隊乗組員もパニックになりかけていた。

 パイロット同様に保養地に送り休養させた。

 アメリカ太平洋艦隊は当面使い物になりそうにない。


 同じく陸軍航空隊や海兵隊航空隊も


「ケイトとヴァルに何発当てても墜ちないんだ。火さえも噴かない。おかしいよあいつら」

「真珠湾では結構撃墜したと資料にあるし、墜ちた機体を調べたら防弾なんて無かったと報告にある。新型にしてもそんな防弾可能なのか」

「F4Uの防弾どうなってるんだ。一撃で火を噴いてしまった」

「ゼロはPー38並みに速かったぞ」(高度3000フィートで)

「Pー40では追いつけない」


 こちらも保養所に送り込まれることになる。

 アメリカ軍は恐怖した。箝口令を敷こうにも、もう話はひろがっている。噂話では済まない。対策に苦慮する。





 一方、帰還した嶺部隊は出迎えに驚く。まさかの提灯行列が待ち構えていた。

 新聞を見れば


《 新艦隊勝利。零艦隊、敵機動部隊に多大な損害を与える 》

《 零艦隊、敵新鋭空母四隻撃沈。さらに新鋭戦艦二隻撃沈 》

《 天佑か。無敵艦隊現る 》

《 零艦隊最強。負け知らず 》


 いろいろな見出しで戦果を強調している。


「天佑とか最強は勘弁して欲しいな」

「全くです。検閲はどうなっているのでしょう」

「天佑か。当地の人たちにすれば事実かも知れんが、新聞が書き立てる天佑とは大分違う気がする」

「我々はただの被害者です。それとアレは長官もお聴きですか」

「ああ『レベルアップ』か」

「気になって調査しました。艦隊全乗組員に聞いたところ、こちらに来た全員が聴いておりました。但し、当地で配備になった乗員は聴いておりません。また、真珠湾攻撃時にレベルアップした者もおりましたが、幻聴だと思い報告しなかったようです」

「幻聴などと報告すれば搭乗割から外されるだろうからな。無理も無いが報告して欲しかったな。驚かずに済んだのだ」

「確かにそうです。これからは全員に報告を義務づけた方が良いと愚考します」

「そうするか。手配を頼む」

「了解しました」

「それと戦死者は全員当地で配備された乗員だったな」

「ハッ、元からの乗組員に戦死は確認されず、重傷でも数日で快癒かいゆしております」

「拙いな」

「やはり拙いでしょうか」

「拙くないわけがない」


 いいように使われる未来が見えた。今でさえ無限弾薬庫と無限燃料タンクだ。レベルアップは良いがな。老眼が気にならなくなった。近場の物も良く見える。



『レベルアップ』の声を聴いた全乗組員は一様に


「体が軽くなった」

「視力が上がり眼鏡がいらなくなった」

「痔が治った」

「虫歯が無くなった」

「水虫が治った」

「これまで持てなかった重量物が持てるようになった」


 搭乗員は


「昼でも星が見える」

「今までより遠くで機影を発見できるようになった」

「Gに強くなった気がする」

「敵機がどこにいるか気配がする」


 医務室では


「誰も体調不調を訴えなくなった」

「士官も胃薬を取りに来なくなった」


 さらに艦隊の装備品を検証すると


「十ノットも速くなった」 艦載機

「二十ミリの威力が大砲並みなんだが」 零戦

「無線電話機も無線通信機も性能が上がった」 艦載機

「雑音発生器でちゃんときれいに会話ができる」 艦載機

「整備員がイナーシャ回さなくでも自力で始動出来るようになった」 艦載機

「二十五番徹甲で八十番通常の爆発力に匹敵する」 爆弾

「最大射程六万なんてどうやって照準するんだ」 比叡・霧島主砲

「二十センチ砲で三十六センチ砲並みの威力が」 利根・筑摩主砲

「二ノット速力上昇」 全艦

「始めから装備されている二十五ミリ機銃の弾道性能がおかしい。かなり直進するし射程も伸びたし威力もあるようだ。弾数は変わらんがな。何故かLPR照準器がとてもスムーズに動く。機銃指揮装置の追尾能力も高くなっている。追加の当地装備機材は影響が余り感じられない」 全艦

「高角砲が長十センチ並みの弾道性能になった。初速も上がっている気がするし、危害半径が大分広い。高射装置の信号によく追随する」 全艦

「高角測距儀が今までよりも良く見えるようになった」 全艦

「当地で取り付けてくれた電探の能力が上がっている気がする」 装備全艦

「魚雷の射程も威力も試射してみたが、射程は三割程度伸び威力も上がっていた」 潜水艦

「深度二百が平気になった」 潜水艦

「艦内が若干清潔になった気がする。臭いは明らかに減った、と思う」 潜水艦


 こうなってくると当地艦隊との共同作戦で艦隊を組むのは無理な気がしてくる。

 海軍との協議で独立して行動することになった。見た目が同じでも違いすぎるのだ。

 

 艦隊は誤植なのかわざとなのかはわからないが、嶺艦隊を零艦隊とした記事のおかげで零艦隊と呼ばれるようになった。





 シアトル攻撃以来、アメリカ軍の動きが悪い。海外から入ってくる情報でも太平洋側に力を入れずヨーロッパに力を集中するようだ。



 


 真珠湾を潰され、新造の大型正規空母4隻を沈められ新鋭空母2隻とレキシントンも沈み、さらに新鋭戦艦3隻も沈んだ。さらにそれをやった艦隊に攻撃を加えても一切傷が付かない。6隻の敵空母に倍する600機を送り込んでだ。

 そんな不気味な相手にどうやって勝てというのか。

 アメリカ海軍では現状対抗不能と見られるナグモ・タスクフォースは恐怖でしかなかった。

 陸軍が開発中のジェットでも武装はブローニング。墜とせないのだからもっと強力な機関砲を積まないといけない。しかし、それで墜ちるのかと言えば陸軍航空隊のP-38から「20ミリが命中しているはずだが、びくともしない」との報告もある。もうどうすれば良いのか。





「休戦ですと?」

「向こうから言ってきた」

「相当参っているようですな」

「真珠湾を使用不能にされたのか痛かっただろう。さらに先日のシアトル攻撃だ。相当の損害が出ている」

「ならば良かった」

「ギルバート諸島を足がかりにしても、せっかく再建した艦隊を潰されてはたまらないのだろうと思う」

「確かにそうですな」

「さらにイギリスがインドからの物資や人員の輸送量が激減してアメリカに泣きついているらしい」

「一機艦がインド洋を封鎖してしまったようですな」

「まあ、他にやることも無かったしな。イギリスとのコロンボ沖海戦も勝てたからインド洋に向こうも手を出せなくなった。それで陸伝いの輸送しか出来なくなったわけだ」

「ではどうされますか。我々の処遇です」

「困っているのだ」

「まあそうでしょうな。こんな正体不明の集団だ。戦後に困る。まあまだ時間はあるのでしょう。考えておきます」

「済まんな」



 南雲長官は急に何故か艦に戻らなければいけない気がしてきて戻った。他の乗組員も同じように感じたのだろう。軍港は混雑していた。

 そして当地の乗組員を降ろし全艦出港した。

 艦隊は単冠湾に向かう。何故か向かわなければいけない。そう思っていた。


 そして単冠湾に全艦が集結したとき。追尾してきた艦艇の前で光と共に消えた。

 こうして後に「神秘の零艦隊」と言われる艦隊はこの地から去った。

 彼らはどこに行ったのだろう。元の世界に帰ることが出来たのだろうか。


こんな終わり方でごめんなさい。

使命を果たしたということらしいですね。

と言うことは、帰るのです。


ハワイで撃墜されたのは当然ながらご当地機体です。

レベルアップです。

艦載機の一部は真珠湾でレベルアップしていますので、爆弾の威力や機銃の威力はさらに上がっています。一部は二十五番徹甲で八十番通常の爆発力だったり機銃は三十七ミリ砲並みだったり。

二十五ミリ機銃の威力は五割増しくらいでしょうか。

徹甲爆弾の貫徹力は硬さと重量と速度が肝なので、重量が変わらない以上硬くなっても大幅な貫徹力の増加はないはず。

元々、栄も金星も一応自力で発動機を始動出来るようにフライホイールを回すスターターモーターが付いています。バッテリーなど電装系がひ弱で余り出来なかったらしいです。

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