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腐った姉の最推しとして爆誕した俺!!  ~転生した先は「ドS鬼畜メガネ」でした……(泣)~  作者: 夢追子(@電子コミック配信中)


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第五章 戦慄の学園祭、到来!!⑤

     五


 道明寺レイにモデルにされていた一件が片付いた後、休憩中に南野タケルと買いに行った軽食を取出し頬張り始める鈴木ハルト。

 もぐもぐと次々に口に放り込んでいくさまは、まさに頬袋に餌を溜めこむ小動物のようだった。

 その姿を明人に見られていたことに気付き、ばっと顔を赤く染めるハルト。

 明人は関わり合いにならないように、何か会話が発生する前に仕事に戻った。

(危ない危ない。今日はまだ終わってないんだ…。気を引き締めなければ。)

 荷物を取りに行ってふいに遭遇した光景だが、気にしたら負けである。この程度の切っ掛けでイベントが始まってしまっては、今日まで無視し続けた努力が無駄になってしまう。

 明人にとっては今日こそが正念場である。今日の出来如何によっては、今後の未来が暗黒の絶望に彩られてしまう可能性も大いに秘めている。はっきり言ってしまえば、最悪、学園祭がどうにもならない事態で大惨事になることがあったとしても、今日水嶋シュウルートにさえ分岐しなければそれでいいのだ。もしも、分岐以外の失態を犯したとしても、個別ルートに進みさえしなければ全ては挽回できる。やり直せるはずだ。ルート分岐以外は、たぶん。

 主人公・鈴木ハルトが万が一にも声を掛ける隙を作らないように、忙しく立ち働くことで明人はイベント発生とルート分岐を徹底的に避け続けた。

 先程の光景を見られたことで、本当は背後で鈴木ハルトが何か言っていた気もするが、明人には聞こえない。聞こえるはずはない。特に今日は鈴木ハルトの声は聞こえなくなっているのだ。

 どうせ聞いていないと分かれば、そのうち諦めて他のキャラの元へ行くだろう。

 何せ今日は他の攻略キャラにとっても、主人公と二人の幸せな未来を掴むためには避けて通れない日でもあるのだ。せいぜい主人公・鈴木ハルトにアピールして、自分を選んでもらえるように仕向けるので忙しいはずだ。

 次々に起きている他の攻略キャラの学園祭イベントを尻目に見ながら、明人は自分だけの世界に閉じこもるようにして運営の仕事をこなし続けていた。

 そんな誰も寄りつかせない雰囲気を漂わせる明人に、果敢にも話しかけてくる豪傑が現れる。

 それは、もちろん会長の藤原スオウだ。

「おい、シュウ。」

「何だ?」

 手を動かしながら、親友のスオウに返事をする明人。

 スオウは会場全体の見回りから帰って来たばかりのようで、その手にたくさんの荷物を抱えていた。

(……見回りがてら学園祭を楽しみ尽くしてやがるな、コイツ。)

 こういう時のスオウは、とんでもなく器用だ。仕事を着実にこなしながらも、楽しむことを絶対に忘れない。

「お前、何か食ったか?」

「……お前ほどではないな。」

 食ったか?と聞きながら、持っているイカ焼きを食べているスオウ。他にも、たくさんの食べ物を両手に抱えていた。

 明人はスオウと違い、会場の見回りではなく運営本部に詰めるのが主な仕事なので、そもそも出店で食べ物を手に入れることすら出来ていない。今日、学園祭が始まってから口にしたのは水と栄養補助食品のブロックだけで、忙しさのあまり休憩すらまともに取っていない。

「やっぱりな。お前、こういう時、ストイック過ぎるんだよ。」

「……お前ほど上手くサボれないだけだ。」

「何言ってんだよ。俺はサボってないぞ?」

「知っている。お前に見回りに行かせているのは、俺だ。」

 慣れたやり取りをしながらも、スオウはこちらを心配してくれているようだ。こういう時、当たり前のように他人を気遣えるスオウという親友の存在は有り難い。その上、スオウは他人を寄せ付けない雰囲気を自ら出し続ける水嶋シュウ相手でも臆さず話しかけてくれるし、完璧で隙がないように振舞う水嶋シュウのことも気にかけて見ていてくれる。

「ほら、とりあえず食え。少し休め。まだ学園祭は続くんだぞ。」

 スオウは有無を言わせず、明人のことを椅子に座らせ、持っている食べ物の中で食べ易そうなものを押し付けてくる。

 親切は有り難く受け取ることにして、明人は文句を言わずに頷くことにした。

「……分かった。」

 だが、忙しさは明人を休ませてくれる気はないようで、本部にはまたしてもトラブルが舞い込んでくる。

 明人が椅子から立ち上がろうとしたが、スオウはそれを押し留めた。

「大丈夫だ。俺に任せろ。」

 こういう時、この藤原スオウという男は本当に力強い。圧倒的な信頼感を、その背中に漲らせて、即座にトラブルの対処に向かっていく。

「ハルト。お前も一緒に来い。」

「はい!会長。」

 鈴木ハルトとスオウの二人が並んで出かけて行く。

(次は、スオウとの学園祭イベントか……。)

 二人の小さくなっていく背中を見送りながら、明人はそんなことを感じていた。


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