問い
読んでくれると嬉しいです
冷たい夜の月明かりの上に、私の影が落ちている。それはまるで、自分を見つめ返す別の存在のようでした。私のような、それとも全く他人のような影です。こんなにも薄く頼りない影を引きずって、わたしはどこに向かっているのでしょう。どこへも行きたくないのに、歩みを止めることもできません。
深い夜、街は深い眠りの中に沈んでいるはずでした。ですが。私にはその静けささえも、どこか嘲笑のように感じられたのです。そして突然、答えようのない問いを無慈悲に突きつけてきます。
「どうして私は生きているのか」
私は突然の難問に頭を抱えてしまいました。今まで感じたことの無いような、いや。必死に感じないように耐えてきた絶望や不安が津波のように押し寄せてきました。闇に響く私の足音さえも恐怖の感情によって押し潰されてしまいます。
絶望が、まるで霧のように私を包んでいます。私が誰かを愛した記憶も、何かを信じた瞬間も、自分を愛した記憶だって。たった一つの問いで全て塗りつぶされてしまいました。
私の希望はまるで消えかけの蝋燭のように、弱く、小さく、頼りないものです。吹きつける風に怯えながら、それでも消えることを拒むように揺らめいています。
「私は生きる意味が無いのではないか」
とっさに言葉が出そうになりましたが。私はなぜかそれを口に出せませんでした。
ただ心の中で反芻されるだけでした。私には、世界から消える勇気も、問いに立ち向かう覚悟も、どちらもありませんでした。その事実さえもわたしを追い込みます。だから私はただ、生きているふりをして、ここに立っている。それが私にできる唯一の抵抗でした。
今、月は雲に隠れてしまいました。それでいいのです。あの輝きは、私には少々眩しすぎたようです。