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(95)感情

 とある中堅企業、毛瓜物産に勤める小早川は、さてどうしたものか…と、雑念に惑わされ、思い悩んでいた。毛瓜一族の一人である若い小早川に役員待遇で招聘(しょうへい)すると誘いをかけたのは毛瓜物産と競合する、ライバル会社の川徳通商だった。小速川は毛瓜一族でありながら役員になれない毛瓜物産に不満を抱いていた。

「小速川さん、ということでよろしいですね。このお話は極秘裏にお願いしますよ。会長の川徳から、よろしく…という伝言です」

「はあ…有難うございます」

 小速川の感情はこのとき、川徳通商に(なび)くとは、まだはっきりと決まっていなかった。小速川の脳裏に巡るのは、先々への雑念だった。

『毛瓜本家からは絶縁されるかも知れない…。いや、待てよ。そうだとしても毛瓜一族としてこのまま会社に残っても重役になれる保証はない。一族の浮田は常務じゃないか…』

 小速川の感情は川徳通商へ傾いた。

『いや、待て待て待て…。川徳通商で重役になれたとしても、一時的でお払い箱にされるかも知れん…』

 しばらくすると、小速川の感情は毛瓜物産へと、またUターンした。毛瓜物産と川徳通商の激突は避けられず、どちらが関原ホールディングスの傘下に入れるか? が、その後の物流シェアの支配権を決定するだろう…と誰しも考えていた。

「小速川さん、あなたをお呼びしたのは他でもない、関原会長の意向です。川徳通商と毛瓜物産、あなたはどちらが将来性があると思われますか?」

 関原ホールディングスの一室で小速川は(たず)ねられた。そして、ついに小速川の感情は川徳通商の招聘を受けることを決断したのである。

「川徳通商かと存じます…」

「そうですか…。では、そのように会長にご報告させて頂きます…」

 ひと月後、川徳通商は関原ホールディングスの傘下に入ることが決定した。選に漏れた毛瓜物産は、その後、衰退し、規模を縮小せざるを得なくなり、倒産した。川徳通商は毛瓜物産のシェアを濡れ手で粟のように手に入れたのだった。

 このように人一人の感情で、組織全体が影響する事態になることもある訳です。人の感情は恐ろしいですよね。^^


                  完

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